始まり
*金曜日*
クラス、いや棟乃学園一モテる佐藤凛。友達もたくさんいて、充実している生活。のはずなのに、最近、一週間に二日休み、一日遅刻でやってくる。それが何週も続いている。
「凛、最近必ず週に2日休むよね~。それってさ、なんか理由でもあるの?」
彼女の友達が少し食い気味で言うと彼女は言った。
「私、準ニートだから。」
は…?それを聞いたとき、俺はそう思った。周りも「何言ってるの?」というような顔をしていた。
「ははは!何それ、何かのキャラ設定?ウケる~!!」
彼女の友達がそう言って笑った。なので、周りも「あぁ、そうだったのか。」と思った、その刹那。また彼女が言った。
「私、本気だから。」
「(いやいや、準ニートかどうかも分かんないけど、ニートで本気出す必要ってある!?)」
きっとクラス中がそう思っただろう。でも俺は、そんな彼女が好きだった。
*
昨日の彼女の発言から三日。彼女の発言通りなら今日、休むはずだ。
「何ボーッとしてんだよ、束樹!」
そう言って俺の背中をドンッと押した幼馴染の柊木叶多。
「何すんだよ。」
と、隣を歩く俺、垣根束樹。
「やっぱ今日休むのか?佐藤。」
「まぁ、あの発言通りならな。」
「でも『準ニート』って面白いよな。」
「そうか?なんか事情がないとそんなことしないと思うけど…。」
そんな会話をしながら歩く。今日、彼女が来ると願いたい。