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第一章第六話 銀のロザリオ。

兄さんはご飯の支度中←

玄関を開け、中に入ると兄さんはキッチンにいた。

どうやら晩ご飯の支度をしているらしい。


「……ただいま、…」

「ん? あぁ、おかえり…っと お客さんだね。 どうぞ、ゆっくり」


料理を一旦中断して振り返り、柔らかな笑みをこちらに向ける。

兄さんが言い終えるのと同時にルキが軽く頭を下げた。

そして私に耳打ち。


「マリア様…あの方は、どなたです…?」

「…私の、兄さん」


ぶっきらぼうに答える。

ルキは私の部屋に車椅子を押してくれている。

すると、不意にルキが言葉を漏らした。


「…まさか…あの方が、結界師だったなんて……」


ぽつり、と。

意識していなければ聞き逃すほどの小さな声で呟いていた。

どうやら独り言だったらしいのだが、どうしても気になってしまう。


-兄さんが結界師?


振り返ってチラリと一瞥する。

しかし、ルキは悩ましげに顔を曇らせていた。


追求するかしないかを考えている内に部屋の前に着いた。

ルキに言い、扉の前で待っててもらって 私は部屋内に入る。

部屋の中は兄さんが掃除をしてくれているからいつも清潔だ。


ルキに廊下で待っていてもらっているのはとあるモノを隠すため。

ソレは私にとってとても大切なモノであり、他人には決して見せたくないのだ。


「…、ママ……」


私が手に取ったのは銀のロザリオ。 ママの形見だと言ってもいい。

これだけは、兄さん以外の誰にも見てもらいたくないし 触れてほしくない。


そういえばこのロザリオには不思議なところがある。

中央から羽を広げるように描かれた白い蝶々。まるでルキの話してくれた白の刻印のようだ。

そういえば刻印の話をしていたとき、ルキは私の瞳を見つめていた。

もしかすると、刻印は-


「マリア様、まだ駄目ですかー?」


はっと我に返り、扉を見つめる。

少しの間の後、机の引き出しにロザリオを仕舞ってから扉を開けた。

そしてルキを部屋の中に招き入れる。


「わぁ…!」


ルキはまた両手を胸の前で組み、興味津々に部屋の物を見回す。

私の部屋に来た人は皆、こうやって瞳を輝かせる。

けど、普通の物しか置いていない筈。


私の部屋は白を基調とした家具が多く、様々なぬいぐるみも置いている。

兄さん曰く、ぬいぐるみ達は"魔除け"だそうだ。

後置いているとするならば、観葉植物ぐらいの物。


しかし、ルキが興味を示していたのは他のモノ。


「すごい…すごいです! こんなに複雑な術式は 見たことないですよ!」


術式。私には全く見えないが、ルキはかなり嬉しそう。

ソレはどうやら兄さんが置いてくれた魔除けのぬいぐるみ達を中心としているようだ。

そういえば、兄さんがぬいぐるみを置くときは 確か手を宙に翳してたような…。

何か関係があるのだろうか。


ルキはしばらくぬいぐるみ達の前に膝をついて静かに祈っていた。

巫女は、やはり祈るのが似合う。つい、そう思ってしまった。

何となく近寄り難い雰囲気だった。


「ルキ…?」


不意に声が漏れた。

それに気づいたルキは振り返り、私を見てフワリと微笑んだ。

そして私に向かって手招き。

私は車椅子を動かしてルキの前へと移動する。


ルキ…巫女らしいところ、あったんですね…←

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