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My Possessed Day~彼女に取り憑かれた日~  作者: フィーカス
彼女に取り憑かれた日
6/34

二人の友人――誰も知らない夏の大三角

 雑貨屋は休日ということもあってか、かなりの賑わいを見せていた。

 中高生ぐらいの女性客が多いが、ちらほら中年男性や小学生くらいの子供、親子連れも見える。

 明は人ごみを軽快にすり抜け、人気のアニメグッズやキャラクターグッズの中でも特に女性に人気のキャラクターグッズがたくさん置いてあるスペースに向かった。

「妹さんは、こういうキャラクター物が好きなのか?」

 明の後を四苦八苦しながら亜留はついて行く。

「ああ、最近集め始めたらしいんだ」

 亜留がグッズ売り場にたどり着いた頃には、明は既に品定めをしていた。

「じゃあ、ここら辺にあるのを適当に買って行ったらいいんじゃないか?」

 あれこれ迷っている明に、亜留が言い放つ。

「それが決められないから困っているんじゃないか」

 グッズ、と一言で言ってもさまざまな種類がある。文房具から日用品、最近では電卓や小型テレビのような家電製品まで売ってあるのだ。

 明と共に、亜留もグッズを色々と眺めてみる。

「そうだなぁ、これとかどう?」

 亜留はその中から、文房具セットを取り出した。

「いやいや、そういうよく使う物は自分で買うだろ」

 明はいやいや、と手を振った。

「たしかにそうだな。じゃあこれは?」

 亜留は先ほどの文房具セットを元に戻すと、今度はパズルを取り出した。

「うーん、あいつはこういうの苦手だからなぁ」

 明はどうだろうか、と考える素振りをしたが、否定しているようにも見える。

 あれこれと亜留は明に提案するが、ことごとく自分で買っているものか、好みでは無いものと言われて否定されてしまう。

「なかなか難しいもんだな。特に女の子だし」

「な、そうだろ。俺一人じゃ到底決められそうに無いって」

「確かに」

 そうは言っても、男二人だけでは、女の子へのプレゼント選びはどうもうまくいかないようだ。

「亜留なら、女の子のプレゼント選びが得意だと思ったんだがな」

「だから僕はそこまでたらしじゃないって。それに妹さんのプレゼントならおまえの方が詳しいだろ」

 女性客が多い中、無数にあるグッズを前にして、腕を組みながら立ち尽くす男二人。


『ねえ、あれなんてどうかな』

 ふと、亜留の耳に沙織の声が聞こえた。

「ん?」

 目の前には、太陽電池で動く、首を左右にゆっくり揺らすタイプの置物があった。

 亜留はそれを手に取り眺める。

『これ?』

『そうそう』

『こういうのが好きなのか? 女の子って』

『結構女子高生の間でも人気らしいんだけと、こういうのって、気にはなるけど自分で買おうとは思わないじゃない。だから、プレゼントにぴったりかなって』

『なるほどね。じゃあ明に見せてみるか』

 そう言うと、亜留は手に取った置物を持って、まだいろいろと探している明の元に向かった。


「明、これはどうかな?」

 亜留は座り込んでグッズを選んでいる明の肩を叩いて言った。

「ん、何だ? 置物?」

 明が立ち上がると、亜留は持っていた置物を渡した。

「こういうのって、自分で買おうとは思わないじゃん。だから、プレゼントにいいんじゃないか?」

『亜留君、それ私のセリフ……』

 沙織が呟くが、亜留はスルーした。

「ふむ、一理あるな。値段も手頃だし。さすがは女子へのハイプレゼンターだ」

「いや、意味がわからない。とりあえず、他に候補がなければそれでいいんじゃないかな」

 しばらく明は考えていたが、本当はもう決めていたのだろう、「それでいこう」と、すぐに決定を出した。

「じゃあ、会計済ませてくるわ」そういうと、明はすぐさまレジに向かった。


『ありがとな、沙織。助かったよ』

 会計に向かった明を見送りながら、亜留は沙織に声を掛けた。

『やっぱり女の子が欲しい物は、女の子がよく分かってるからね。亜留君も、えっちなことばかり考えてないで、少しは参考にしてくれるとありがたいんだけど』

『別にえっちなことばかり考えているわけでは……』

『じゃ、お礼としてあれ買ってよ』

 ふと見た先にあるのは、キャラクターの手鏡だった。

『これ?』

『そうそう。私、最近手鏡割っちゃったから』

『ほう、沙織ちゃんは毎朝自分の顔を見てにやけるナルシストさんですか?』

『お、女の子の身だしなみのためです! 鏡を見てえっちなことを考える亜留君とは違うんです!』

『手鏡でえっちなことを考えるって、相当高度なテクニックだな』

 はぁ、とため息をつき、亜留は手鏡を手に取る。

『仕方無いな、じゃあ、お見舞いの品ということで』

『やった、亜留君ありがとう!』

『渡すのはお見舞いのときだぞ』

 亜留は手鏡を手に取ると、そのままレジに向かった。

 レジの列に並ぶ間、亜留は手鏡で自分の顔を見ていた。

『あれ、亜留君どうしたの? もしかして、人前で手鏡で自分の顔をみてにやけるナルシストさんですか?』

『え、いや、やっぱり沙織は鏡に映らないなぁって』

『え……あぁ、そうね。映ったらホラーの世界だもの』


 明と亜留は会計を済ませ、雑貨屋を後にした。

「あれ、何だ、亜留も何か買ったのか?」

「まあね」

 そう言うと、亜留は買った手鏡を袋ごとかばんにしまった。

「ちょっと腹減ったな。亜留、今日の買い物のお礼に奢るから、喫茶店でも行かねえ?」

「ん、腹が減ったのか。ならちょうどいいものがある」

 そう言うと、亜留はかばんから紙に包まれた何かを取り出し、明に差し出した。

「これは?」

「愚直な思考により置き去りにされ生み出された、穀物と肉と乳製品、そして少々の野菜のシンフォニーだ」

「……?」

 亜留の説明に、明はぽかんとしている。

「率直に言うと、うっかり頼みすぎて残してしまったチーズバーガーだ」

「最初からそう言えよ。大体お前が残したんだから責任持って食えよ」

「ちっ、せっかくの好意だったのに」

 亜留は仕方なく、チーズバーガーをかばんにしまった。

「好意だったら舌打ちしないだろ。それより、ここを出たところにケーキがおいしい喫茶店があるから、行ってみようぜ」

 そう言うと、明はすたすたとエレベーターに向かった。

 亜留もその後についていく。明の甘いもの好きに脱力したのか、何かがすっと抜けた気がした。


『アイツの前世は、きっとスイーツ好きの女子だな』

「そうね、佐渡君が甘いものが好きなんて、意外ね」

「あぁ、そうだな……って、うわっ!」

 ふと亜留が左を向くと、霊体姿の沙織が明のほうを見ながら立っていた。

「ん、どうした亜留? なんか幽霊を見たような顔してさ」

 亜留の叫び声に明の足が止まり、亜留の方へ振り向いた。

 亜留は思わず「お、良く分かったな。実は幽霊が見えてるんだ」といいそうになったが、すんでのところで思いとどまった。

 なんとか返答しようと目の前を見渡すと、ちょうど婦人服売り場の前にあるマネキンが見えた。

「あ、ああ、突然目の前にマネキンが現れて、ちょっと驚いただけだ」

「……そうか。なら亜留にとって二階の衣料品売り場は驚きの連続なんだろうな」

 明は不審な目をしていたが、すぐにエレベーターのほうを向いて歩き出した。


「お前、何で急に幽体離脱してるんだよ!」

 亜留は周りにばれないよう、独り言のようにまっすぐ歩きながらつぶやいた。

「だって、喫茶店だったら、三人で席に座って話をしているように見えた方が楽しいじゃない」

 亜留の隣で、沙織が歩きながら話しかける。

「といっても、見えるのは僕と沙織だけだけどな。むしろ憑依してなくて大丈夫なのか?」

「数時間程度なら大丈夫って言ったでしょ。それに」

 そういうと、沙織は今までしゃべっていた口を閉じた。

『この状態でも、憑依しているときと同じように意思疎通できるから』

『……それを早く言ってくれ』

 亜留がエレベーター前で待っている明に追いついたとき、ちょうどエレベーターのドアが開いた。


 デパートから出て少し歩いたところに、「喫茶 ミルキーキャニオン」という看板が見える。大型デパートの影になっているからか、あまり目立ったところに無く、それゆえか見た限りあまり客が入っている様子はない。

「ここだ。ちょうど今は空いている時間かな」

 明がそういいながらドアを開ける。カラン、という音と共に冷たい空気が肌に触れて心地よい。

「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ」

 店員が案内すると、明は適当な四人席に座った。その向かい側に亜留が座り、その隣に沙織が座る。

 明と亜留がメニューを見ていると、店員が水を三人分持ってきて、それぞれの前に置いた。

「メニューが決まりましたら、お呼びください」

 そう言うと、店員はカウンターに下がった。

「とりあえず、ケーキセットでいいか?」

「そうだな。飲みものはコーヒーで」

 メニューが決まったところで明が店員を呼ぶと、先ほどと違う若い店員が注文をとりに来た。

 その店員に注文すると、オーダーを書いて厨房へと向かった。

「そういえば、すっかり忘れてたんだが、昨日メール送ったのに返信が随分遅かったよな。何かあったのか?」

 水を手に取り、飲もうとしたところで明が亜留に話しかけた。

「ああ、そういえば明には話してなかったな。実は……」

 亜留は隣に座っている沙織の顔を横目で見た。沙織は静かに下を向いている。

「昨日、沙織が事故に遭って……」

「え、天川が? 大丈夫なのか?」

 明は驚いてコップを倒しそうになった。

「打撲と怪我くらいで、命に別状は無いんだって。でも、まだ意識が戻らなくて入院中」

「お見舞いとかは?」

 心配する明をよそに、亜留は水を一口飲む。

「意識不明なのに行ってもしょうがないだろ。意識が戻るんなら行くけどさ」

「まあ、それはそうだが……」

 明が言いあぐねていると、店員が注文のケーキセットをトレーに入れて持ってきた。

 それぞれのケーキを明と亜留の前におくと、その隣にホットコーヒーを置く。淹れ立てのコーヒーの香りが、店内に広がった。

「幼馴染なんだろ? 心配じゃないのかよ」

 店員が離れたのを確認すると、明は話を続けた。

「まあ、心配は心配さ。でも、心配すれば退院できるってわけじゃないだろ?」

 そう言いながら、亜留は目の前のチーズケーキを小さなフォークで切り分ける。

「まったく、少しは心配してやればいいのに。それともあれか? 幼馴染だから、お互いのことはちゃんと分かってます、とかそういうのか?」

「お前は船出さんと同じようなことを言うんだな」

 亜留がそう言うと、急に明は飲みかけたコーヒーを噴出しそうになった。

「な、何で重菜ちゃんの話が出てくるんだよ」

「いや、今日こっちに来る前に散歩してたら、偶然船出さんに会って、少し話をしたんだよ。そしたら、幼馴染だからお互い分かってるとか、明と同じようなことを言ってたからさ」

 亜留と明のやりとりに、隣で沙織もくすくすと笑っている。

「なるほど、幼馴染とかで一緒にいると、そういうところも似てくるんだろうな」

『わ、私は亜留君みたいに、えっちなことなんてあんまり考えませんよ!』

 何故か亜留の言葉に、沙織が反応した。

『ほう、あんまり、ってことは、沙織ちゃんもえっちなことを考えることがあるのかい?』

『え、あ、あの、そりゃまあ、女の子だって、たまには……って、亜留君のえっち!』

 つい沙織の言葉ににやけてしまう亜留。

「な、なんだよ。俺と重菜ちゃんとのことがそんなにおかしいか?」

「え、ああ、いやいや、それはそれでいいんじゃないか? まあ俺と沙織は小学生の頃からだけど、お前と船出さんだって、中学生の頃からずっと一緒じゃないか。大体船出さんのことを『重菜ちゃん』なんて呼ぶの、男子でお前くらいだぞ?」

「だからって、別にそこまで特別な関係じゃないぞ。そもそも重菜ちゃん、男子にモテるから、俺なんて相手にしてくれないって」

「へぇ、そうなんだ」

「へぇ、って、おまえなぁ」

 あまりに興味なさそうに振舞う亜留に、明は少々あきれ気味である。一方で、亜留は亜留で話半分にケーキを口に運ぶ。

「男子人気ナンバーワンの重菜ちゃんに興味が無いとはねぇ」

「え、そうだったんだ。だったらやっぱり悪いことしたかなぁ」

「ん、重菜ちゃんと何かあったのか?」

「いや………」

 沙織がいる手前、話すのをやめておこうかと思ったが、ここまで言ってしまったので仕方ない。亜留は朝のことを話すことにした。

「実は、朝船出さんに告白されちゃって」

「な、何、重菜ちゃんに!?」

 明は思わず叫んでしまった。店内が一瞬静かになる。

 おいおい落ち着け、と亜留が明をなだめる。隣で沙織も同じことをしていたように見えたが亜留はスルーした。

「……で、返事は?」

「ごめんなさいしちゃったよ。あんまり仲良くなかったし、船出さんのこと、あまり知らなかったしね」

「そりゃ、悪いことっていうか、もったいないことしたな。クラスの男子が聞いたらフルボッコされるぞ」

 といいつつ、明は亜留のチーズケーキのカケラを奪おうとする。お返しにと、亜留も明のチョコレートケーキにフォークを突き刺す。

「だったらお前が船出さんに告白すればいいじゃないか。中学から仲がいいんだから、他の男子より可能性あるんじゃないか?」

 亜留の言葉に、明はケーキをのどに詰まらせかける。げほげほと咳き込みながら、明はコーヒーで何とかケーキを流し込んだ。

「大丈夫か?」

「あぁ。てか、男子人気ナンバーワンの重菜ちゃんだぜ? さっきも言ったけど、俺のことなんて取り合ってくれるわけ無いだろ」

「ほほう。じゃあさ」

 亜留はコーヒーを一口飲んで続ける。

「沙織のことはどう思ってるのさ」

『え、ちょ、亜留君、何を言い出すのよ急に』

 あまりに唐突な質問に、沙織が声を上げた。

「いやいや、天川は亜留がいるだろ」

 明のあっけない答えに、亜留は一つため息をつく。その息で、コーヒーから立つ湯気がゆれた。

「そこだよな。相手が人気ナンバーワンだからとか、幼馴染がいるからとか、そう言うのは関係無いんだって。告白する前から振られてるわけじゃないんだから、一度は声を掛けてみろよ。もしかしたら、本当は相手も待っているかもしれないじゃないか」

「しかしだなぁ……」

 明は言いかけたが、それ以上言葉が続かなかった。

 傾いた太陽の光が、窓から差し込む。その光が先ほどよりも眩しい。

「言葉の力って、結構強いもんだよな。たとえ好きな人がいても、別の誰かに好きですって言われたら、よほど嫌いだとか気に食わないとかじゃない限り、心がそっちに動いてしまう。何ていうのかな、一瞬思考が停止してしまうんだ。そこからはいって言うのもいいえって言うのも、結構苦しいもんなんだよ」

 そう言って、亜留は残ったケーキを全て口の中に運ぶ。明は何故か呆けた顔をしている。

「まあ、確かに中途半端に仲がいいと難しいよな。振られたら気まずくならないかとか。そのときはそのときで考える、それでいいじゃん」

 そういうと、亜留は一気にコーヒーを飲み干した。

「僕から言えるのはそんなもんかな」

 一気に言い終え、亜留はふぅ、と息をついた。目の前には、ぽかんとした表情をした明の顔があった。

「……亜留よ、いつの間にお前の恋愛講座が始まったのだ? それに、なんだか、俺が重菜ちゃんに告白する前提で話が進んでないか?」

「え、違うのか?」

『あれ、違うの?』

 明の言葉に、亜留と沙織は同じ反応を示した。明はため息をつくと、残りのケーキを口に運んだ。


 夕方の街は客層が入れ替わり、夕食の買い物に来た主婦で賑わっていた。

 朝昼の曇り空が嘘のように、夕日があたりを照らす。その中で、亜留はバス停のほうへ、明は駐輪場のほうへ向かおうとする。

「亜留、今日は助かったよ。また明日、学校でな」

「ああ、妹さんと船出さんによろしくな」

「おうっ……って、重菜ちゃんは関係ないだろ!」

 冗談だよ、と亜留は声を出して笑う。目の前の明の顔は、夕日のせいか赤くなっているように見えた。

 明が自転車に乗り、家のほうに向かうのを確認すると、亜留は手を振って明を送った。沙織も手を振ったのだが、恐らく気が付いていないだろう。

「さて、俺たちも帰るかな」

 そうつぶやくと、亜留はバス停の列に並んだ。その隙を見計らって、沙織は亜留に憑依した。


 帰りのバスは行きのバスと異なり、最初は座れる状態ではなかった。そのため、亜留は入口から近いところでつり革に捕まって立つ。

 しかし、込み合った車内もバス停に停まるごとに減って行き、住宅街を抜ける頃には座席を確保することができた。

『まったく、明も素直じゃないなぁ。好きなら素直に言えばいいのに』

『亜留君、人それぞれタイミングがあるのよ。全員が全員亜留君みたいにえっちじゃないんだから』

『そうだな……って、そこでえっちかどうかは関係ないと思うがな』

『亜留君はスケベ心丸出しだから、かわいい女の子にすぐに声を掛けるんです。佐渡君は、ちょっとシャイだから、そういうのは難しいんですよきっと』

『スケベな奴でも女の子に声かけられない奴だっているぞ。明とか明とか、あと明とかな』

『もう、亜留君のえっち』

 そうこうしているうちに、一人、また一人と乗客は下りていき、海が見える頃には亜留たちだけになってしまった。

『そういえば、朝はあんなに雨が降っていたのに、今はすっかり天気がよくなったな。今日天の川でも見に行ってみようか』

『あ、いいわね。えっと、どこがいいかな』

阿流野辺あるのべ川でいいんじゃないかな。海でもいいけど、もう少し山側のほうが明かりの影響が少ないから』

『そうね。海もちょっと明るいもんね』

 窓の外を見ると、少しずつ夕日が沈んでいるのが見える。反対側では、恐らく藍色の空が広がっているのだろう。

「次は、阿流野辺、阿流野辺です」

 しばらくすると、音声アナウンスが亜留たちの家の最寄のバス停の名前を告げた。

 亜留がボタンを押し、しばらくするとバスはゆっくりと停まった。


『そういえば、ずっと言おうと思ってたんだけど、何で喫茶店の店員さん、私の分まで水を持ってきたのかな』

 降りる寸前、沙織が突然つぶやくと、亜留も「そう言えば」と不思議がった。

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