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第三章 ついに……?

結局昨日のアレはいったいなんだったんだろうか?

そんなことを考えて玄関を出るとそこにいたのは竹城怜だった。

「おはよう」

「おう、おはよう」

俺は昨日のことで頭がいっぱいで……そういえば、たしか女子に触れれば俺の能力が発動するんだっけ? 竹城も能力者の一人だし俺が昨日能力に目覚めたってことぐらい言ってもいいよな……

「あ、あのさ、ちょっと触らせてくれないか?」

「へ? は、はぁぁぁああああ!? な、なにい、言ってる、るのよぉおお! そんなのできるわけないじゃない!」

そういって俺に拳を振りかざす……

俺は拳をよけて竹城の肩に触れた。

「『コピー・メモリー』」

……あれ? な、なんというか、さっきと対して変わってないような。

「な、なにを……してるいの?」

んー…… なんだったんだろう結局、ただの夢だったのか?

「ちょっと、聞きなさいよ! いつまでも無視してるんじゃないわよ!」

――バシッ……

「え? どうして……?」

竹城も驚いているらしい……

状況を説明すると、竹城が俺にパンチを食らわせようと、俺めがけて打ち込むが、俺が竹城(パワーブースト状態)のパンチを片手で受け止めたのだ。

正直なところ、俺も驚いている。

「たぶんこれが俺の能力なんだと思う」

「え? あきら君の能力?」

竹城はいまいち状況が呑み込めず戸惑っていて、さらに俺の発言で余計に混乱を招いたらしい……

「昨日さ、変な箱を拾っただろ? あの中に変な石が入ってて……」――俺は竹城に昨日あったことを話した。

「ふーん、なるほどね。つまりさっきのは私の能力をコピーして、私の攻撃を回避できたと……」

「まあ、そういうことらしい。実際使うのは初めてだし、実験は大成功に終わったよ」

「む、なんかその言い方はむかつくわね」

「とにかく行くか、ここにずっといると、また遅刻しかねないぞ」

――俺らはまったく玄関から動いていないのだ。


なぜか竹城は俺の2、3歩後ろを着いて来ている。

――隣歩けばいいのに……?

ちなみに意地悪で走ってみたところ不意を突かれた竹城は転びそうになったのだった……。

まぁ、竹城観察はなかなかおもしろかった……。

あれ? 俺の言動、まるで変態じゃないか……。

そんなこんなで学校に着いて――もちろん遅刻はしてない

――俺の靴箱に靴を入れようとした時にふと目につく物が……。

我ながら目を疑ったね……。

隣にいた竹城は「なにそれ……」と驚いていた。

そこに入ってたものは今の時代にはとっても珍しい、ラブレター(ピンクの封筒にハートのシール)だったのだ……。

人生初のラ、ラブレターかぁ……

「ふーん、あきら君意外とモテるのね?」

「意外とはなんだ! 意外とは……まぁ初めてこんなのもらったけど……」

「なんて書いてあるのよ?」

あれ? なんか竹城の機嫌が悪くなったのか?

「た、竹城には関係ないだろ!」

「そ、そうね」

そう言うと竹城はそそくさと去って行った……。

なんだ、あいつ?

とりあえず、手紙を読んでみた。


――佐藤 あきら様へ

突然のお手紙ごめんなさい。

どうしてもあなたに話したいことがあって手紙を書きました。

特別校舎裏の階段でまってます。

――風華

とりあえず始業のチャイムが鳴るまで充分に時間はある……

女の子を待たせるのはよくないよな。


特別校舎裏の階段っと……

あれ? 誰もいない……

「上をみて下さい あきらさん……」

上? あ、いた……

彼女もとい、風華? は階段に登っていたのだった。

「君が俺に手紙をくれたのか?」

「ええ……ちょっとお話したい事があって……。あ、まってて下さい今すぐ下に降りますので」

そういうと風華は階段を降りてこず、階段の手すり――高さは5メートルほど――からジャンプして降りてきた……。

「よっと……うん、うまくいった」

風華は満面の笑みだった……。

「すごいな……」

「そうですか? 意外と簡単ですよ?」

背は低く155ってところだ、金髪でショートツインテール、優しそうな落ち着いた感じの目で、それでも竹城に似た凛とした感じがあった……まぁ、竹城頑張れ……いろいろと……。

リボンカラーを見ると風華は1年生らしい。

「で、俺に話しがあるんだよな?」

「はい。その単刀直入に聞きますけど、怜先輩と付き合っているのですか?」

「は? べ、別に付き合ってはないぞ」

「そうですか……」

風華の顔つきが一気に逆転して、

「これ以上、怜先輩に近づくなよ……ゴミ溜のくず虫が」

おいおい、ものすごい豹変の仕方だな……。

えっと、あれはラブレターではなく、警告するための呼び出しだったってわけだ……。

「つまり、竹城の近くに俺がいるのが気に入らないわけか、竹城のどこがいいんだか……すぐ暴力ふるう暴力女なのに、はいはい、今後は気をつけるよ……」

「今、怜先輩の悪口をいったな……くず虫」

「俺の名前はくず虫じゃない、だいたいどんな虫だよ……」

「そんなことは、どうでもいいから、私と……闘えくず虫……」

え、この子は今なんて? 闘えってどういうことだよ女の子相手に暴力をふるえって? 冗談じゃない……。

「無理な話だね」

例え、ボクシングや武道をやっていようが相手は女の子だ。

目の前にいるのが悪なら別のだけど、ましてや年下だ……。

「なら、こっちから行くまで!」

風華は人間離れしたスピードで俺の懐に入ってきて鳩尾に拳をねじ込んで来た……。

「ぐっ! なんてスピードだ……本当に人間かよ?」

「私は能力者……『アクセル』を使う。私自身のスピードを一気に上げることができるんですよ? それでもまだ闘わないとほざくのかくず虫ヘタレ野郎が」

「いいのか? 俺は一般人かもしれないんだぜ、それなのに能力なんて使って?」

「それで、怜先輩にくっついているくず虫が排除できるなら安いものだ!」

そういえば、昨日ようやく竹城という人物を知ったのになんでこんなに言われるんだ? それどころか、ほとんど人目のつかないところにいたと思うけど……?

「なあ、なんで俺らの事知ってるんだ?」

すると、風華はぐっと足が止まった。

「そ、それは……も、問答無用! なんと言おうと、くず虫を排除する!」

風華はさっきまで構えがなかったのだが、今、確実に構えを取った。

「いくぞ! くず虫これが私の必殺技『高速拳ラッシュ』だ」

さっきの不意打ちと同じように俺の懐に入ってきて、今度は文字通り高速で俺に拳を打ち付ける……正直一発の威力はあまりないのだが何度も来るので耐えるのもきつくなってくる……。

俺は、何とか対応としようとするが、なにしろ高速のパンチだ。防御の姿勢すら取れないのだ……。

――お前には私が教えた能力があるだろ……。

どこから聞こえたかはわからないがおかげで何とかなりそうだ。

確かに高速のパンチを繰り出してくるが体制の一部が固定されていることに気付いた俺は、風華の動かない場所に手を置いて。

「『コピー・メモリー』!」

「な、何を! くっやっぱりくず虫は能力者だったのね……」

「だから、俺はくず虫じゃない! それと借りるぜ?風華のスピードをな!」

俺はさっきまで防ぐことすらできなかった風華のパンチを素手で受け止めることができるようになった。

「は、離しなさいよ! こ、この!」

風華は俺の腹に蹴りを入れようとするがそれも難なく防御した。

「離しなさいっての!」

「……はいよ」

――どすん!

勢い余って尻餅をつく風華は、俺をキッと睨みつけてくる。

「まだ……やるか?」

俺は地べたに手をついている風華に手を差し伸べてやる。

しかし、風華は俺の手を取らず自分でたった。

「いつかまた、必ず勝つから。覚悟しておきなさい……佐藤!」

そういって風華は去って行った。

「俺は一応先輩だよな……。ま、くず虫よりかは……さて、俺も教室行くか……ってうわ!」

俺が振り返ってすぐに一人の女子。

黒髪のセミロングで赤のカチューシャ、顔は大人しめで、どこか優しさを醸し出していた。リボンカラーは橙色――3年――……胸はでかかった。

彼女の表情はニコニコ笑っていて、何を考えているのかわからない……。

「女性をみて驚くのは失礼よ……フフ、あなた私の妹に勝つなんてね」

「見てたんですか……」

「もちろんよ、ちなみにわかってなさそうだから一応自己紹介しておくわね……私は鈴峰高校生徒会長……鈴峰美華よ。今日の放課後生徒会室にきなさい。いいわね?」

たぶん今初めて俺らの高校名が出た気がするぞ……。

「た、たぶん大丈夫だと思います……」

「ふふ、待ってるわね……斉藤あきら君」

「佐藤です!」

「冗談よ、それじゃ遅れないようにね……教室に」

え?

キーンコーンカーンコーン……

「やばい! 5分前のチャイムだ、いくら校内でも……間に合うか心配な場所だ……ん? そうだ、まだ『アクセル』の力が残ってるはず、なるべく人目のないところを通ればなんとかなりそうだ」


ふーギリギリセーフ……。

「佐藤君は1分遅刻っと……」

「ちょっ、先生! そりゃないッスよ!」

教室中でゲラゲラと男子が笑い、女子はクスクスと笑っていた。

竹城は外を見ていた……。

何見てんだろ、あいつ……? まあ、後で聞くか……。

「よ、また遅刻か? 昨日はどうだったんだよ?」

トミカだった。

「うるさいな……昨日はあれ以上の事なんて何もなかったよ」

「ちっ、詰まらん奴だな……」

つまらないってなんだよ、まったく……。

「第一、俺とあいつはただの友達だ!」

「何を言うか! 昨日仲良く竹城とファミレスに来てたくせに、よく言うぜ」

「ちょ、おま!」

トミカが竹城の名前を出したときにクラスの女子--主に情報通の奴ら--が、なになにと群がってくる。

「なになに何の話?」

「いや、昨日な、あきらと、竹城がファミレスにぐぅえ!」

「余計なことをしゃべるなよおい!」

俺はトミカの腹にかるーくパンチを見舞ってやった。

「ねぇねぇ、どういうことなのかな? 佐藤君?」

こいつは確か笹野とかいう、このクラスで最もおしゃべりなやつだ。

笹野に続いて、他の女子も「どういうこと?」とよってくる。

「あー、もう俺はなんも知らねぇ! 聞きたけりゃ竹城に聞け!」

半ば八つ当たりで、誤解を招きやすい竹城にまかせることにした。

そしたら女子は一斉に竹城(読書中)に目を向けた……

竹城ごめん、そしてなるべくうまく回避してくれ!

「え? わ、私? ちょ、ちょっと」

今度は竹城に女子たちが群がる……。

なんで女子は、こういう他人のいわゆる恋バナとかいうやつに興味深々なんだ? 俺にはまったく理解できんな……。

「――ええええええええ!」

女子たちが一斉に声を上げた。

何を言ったんだ……竹城のやつ……。

俺は気になって、竹城の席に近づいた。

「お、おい……何をい……」

「ちょっと、佐藤君はあっち行ってて!」

なぜか怒られた……。

その時に他の女子たちの中から「私、応援するね!」とか「頑張って!」だとか「えー、鈍感がなんたらかんたら」

とかいう声が聞こえたが、なんの話をしたんだ……?

そんなことをしているうちに1時限目の始業のチャイムが鳴った。


もちろん俺は1時限目から爆睡だ。

おかげで、体育以外はほとんどテストができない。

でも、自慢ではないのだが、数学だけはできるのだ……。

4時限目が終わり、昼の休みになると、購買に走る生徒は何人もいるのだ。

けど、俺は、そういうのは面倒なので、この学校では珍しいらしいが、基本的には弁当を持参している。

無論トミカも購買に走る生徒の1人だ。

竹城は……あれ? 購買とは反対の方向に歩いてる……。

「どこ行くんだ? あいつ?」

「気になるんだ?」

「うわっ! びっくりした……」

俺に話しかけてきたのは、笹野だった。

「そんな驚かなくてもいいじゃない……」

「後ろからいきなり声をかけられるとびっくりするもんだ!」

「そんなことはどうでもいいの!」

聞いてきたのはお前だろ……と心の中で笹野にツッコミをいれる。

「ねえ、正直竹城さんの事どう思ってる?」

「はぁ? いきなり何聞いてんだ? まさか朝の話の続きか?」

「うーん? 半分は正解だけど……で、どう思う?」

「いや、どう思うって言われても……昨日初めてしゃっべったからな……友達ぐらいじゃないか?」

「んもっ! ほんとに鈍感!」

なんでまた俺が怒られてるんだよ!

笹野は「あー、竹城さん可哀そうに……」といって去って行った。

なんだったんだ?

ていうか、鈍感ってなんだ鈍感って。

「いやー、購買はやっぱり混んでるな……おかげで、目当てのものが手に入らなかったよ……」

購買から戻ってきた、トミカの手にあったのはここの購買ではそこそこ人気らしいホットドックだった。

「で、目当てのものって?」

「そりゃビックカツドックに決まってるだろ」

どうやら今日は1週間中不定期に1日だけ出されるビックカツドックの販売日だったらしい。

ちなみに駄菓子のビックカツとは無縁だ。

カツを棒状にしてそれをホットドックのごとくパンで挟む……味はソースか味噌を選べるらしい。ビックとつくだけあってカツ自体がかなりでかいらしい……。

俺は自分の弁当に目を落とす……質素だな。

おかずは全部冷凍食品――自然解凍のやつ――を適当に詰め込んだだけ。

「ビックカツドックは昼休み始まって3分で完売したそうだぜ……」

「相変わらずの人気なんだな」

「佐藤は購買で買わないのか?」

「めんどくさい」

トミカと他愛ない話をしていいると呼び出しの放送がかかった。

『生徒の呼び出しをします。2年の佐藤あきら君、今すぐ生徒会室に来てください』

お、俺かよ……。

「今の声、生徒会長じゃないか? お前何やらかしたんだ?」

「何にもしてない!」

「そうか……浮気はするなよ?」

「バカかお前! そんなんじゃねーよ」

俺は教室を出てダッシュで生徒会室に向かった。


今週2回目の生徒会室……。

俺は扉をノックした……。

「失礼します。佐藤ですが……」

「どーぞ、入って」

この声は会長さんか……。

「失礼しま……えっ?」

驚いた……なんでこんなところに……机の上に10個ほどのビックカツドックが置いてあるのだ。

「えーっと俺が呼ばれた理由てのは……」

「もちろん、ここのパンを食べてもらうためよ……ね? 怜ちゃん……」

会長の視線の先、扉の横、俺の横に竹城が体育座りでいじけていた。

「お、おい竹城、何やっってんだよ……?」

「ご、ごめんね……あきら君……」

「なんであやまるんだ?」

「ふふ、こんなにも買ってきたら他の生徒の迷惑でしょ? で、その罰ゲームなの、で、こんなにも怜ちゃん1人で食べれないでしょ? だから佐藤君が呼ばれたってこと。わかった?」

「一応は……。でも俺に絶対に食べなくちゃいけない理由はないですよね?」

会長はニヤリと笑う、いわゆる不敵な笑みだ……。

「ないと思う?」

あ、この人絶対ドがつくほどのSだ……。

「ですよね……」

「だよね? それじゃ……」

会長は、ビックカツドックを持てるだけもって、俺の前に差し出す。

「はい、どうぞ?」

いまさら、無理なんて言えないよな……。

「ちなみに……無理なんて言ったら佐藤君が……フフ」

怖っ! って心読むやつ多くないかこの学校?

そのあと、俺がパンを食べ切れなかったことは言うまでもなかったと思う。

「うう、さすがに、あれは食べ過ぎたかな……」

「ご、ごめんね……」

竹城は落ち込んだままだった。

「まあ、今回は購買のパンが食べれたってことでまあよしにしてやるよ」

「あ、うん。ありがと……」

「なあ、竹城どうした? 元気なさそうだけど……?」

竹城はビクッとさせ、俺を見てため息をつく。

「お、おい、今のため息なんだよ?」

また、竹城にため息をつかれた。

「ほんとに……なんだから」

「なんだって?」

竹城は笑顔で言った。

「なんでもない」

不覚にも…一瞬ドキッとしてしまった。

「あきら君、早くしないと、昼休み終わっちゃうよ?」

「あ、おい待てよ!」

俺は先に行った竹城を追いかける。


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