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第一章 平凡な日常だよな……

はー珍しくもないが遅刻か……

遅刻ってなんだか学校の門くぐるのが嫌になるんだよ。

こういう時にこそ時間を止められたりしないもんかな……


一応この時代には超能力者が結構いるらしい。

結構といっても千人に一人いるかいないかぐらいだが……

そのせいもあって、あんまり知られてないので超能力者というと周りから「この人おかしいんじゃない」と思われるんだ……

なぜ俺がそんなことを知ってるかって? そんなの今は情報社会だろネットで興味本位で調べてたら、まあヒットしたってわけだ。

でも、能力者ってのも大変みたいだ。

国から出される規約書とか、能力の定期検査、そしてその能力の代償。

この代償は能力によって違うらしい、詳しくはわからないのだが……

俺はそんな代償とか必要なら能力なんてほしいと思わないな。

――そんなこんなで考え込んでいたら、教室の前にいた。さすがは授業中かなり静かだ先生の声以外は聞こえてこない……

こういう時って入り辛いよな……

――仕方ない、屋上で授業が終わるのを待つか。

屋上は基本的に鍵が掛かっていて入れないのだが、たまたま屋上の鍵を拾ったので、遅刻した時に使えると思ってこっそり合い鍵を作ったのだ。

バレたら鬼教師どもに説教くらって、反省文100枚とかグランド100周とかなんだろうな……

まあ、使う回数がそんなにないから、バレないだろうし。

屋上は南京錠でしっかり鍵が掛かっている。

「俺には鍵があるから南京錠なんて意味はないぜ」

俺は周りに人がいないことを確認してから、鍵を開ける。

「やっぱりサボるのは屋上に限るな……」

ついでに、かわいい女の子でも現れないかな……なんてな、授業中に現るなんてありえないよ。


――ガチャ、キィィ……

ヤバい誰か来たみたいだ、今は授業中だし生徒のわけがない、てことは暇な先生が見回りにでも来たのか?

「ここに誰かいるのはわかってるわ、誰かわからないけど出てきなさい……」

俺は屋上にある屋根にいる。

下を確認してみたら、女子生徒が一人立っていた。

「ここは立ち入り禁止のはずよ」

「――って! 立ち入り禁止の場所になんであなたがいるんですか」

しまった! 思わず声を出しちゃった……

「そこにいるのね! そこから動くんじゃないわよ」

動くなって……ここから逃げられないし! この状況は、まさに崖ぷっちってやつだ。

あ、でも上がってくる方と逆に降りれば逃げられるじゃないか!

――梯子を登ってくる音が聞こえたら梯子と反対側に飛び降りる。

よしこの作戦でいこう。

――カツン、カツン……

よし今だ!

バッ、ドッシーン!!


飛び降りるまではよかった、しかし最後の最後にやってしまった……

――つまり飛び降りる方向を間違えたのだ……

「イテテ……えっと、あの大丈夫ですか?」

……返事がない。

目を開けると、何故か俺が下で彼女が上にいた、その彼女は口をパクパクさせている。無声音だが多少読み取れる。

――コロス、コロス、コロス……

ヤバい! 本格的にヤバい……

状況を説明しよう。

俺は彼女の下敷きになっていて、彼女の制服が捲れ上がってる……つまり、ハート柄の下着が丸見えである、ついで胸はBぐらいかな?

――ドゴッ!

地面コンクリートに彼女の拳がめり込んだ。

「貴様、見たな……私の下着を。フフ、そして何を考えていたのかな?」

彼女は不適な笑みを浮かべている。

――ああ、そうか、俺今日死ぬのか……

って、死んでたまるか!

「いや、み、見てなんかないぜ……そんなお子さまみたいな下着」

「ほう、見てないのにどんな下着かわかるのか? 貴様には透視能力でもあるのか? えぇ?」

う、やってしまった。

つい口がすべっちまった……

ん? 『貴様には』?って事はこの人には能力があるのか?

「黙ってないで返事をしたらどうだ!!」

「え、えっと、『貴様には』って事は、あなたは超能力者ですか?」

俺が質問したら彼女は黙ってしまった……

質問の仕方がまずかったかな?

「……そ、そんなわけないだりょ!」

あ、かんだ……

「そうなのか、いらん勘違いして悪かったな、……えっと、いつまでこの体制でいるつもりなんだ?」

「おっと、すまないな……って、なんで私が謝ってるんだ!」

ズコッ!!

――また地面に鉄拳をめり込ませやがった。

こいつのパンチをまともにくらったら命の保証は無いな……


ようやく、あの体制から解放された。

彼女は亜麻色の髪に凛とした目つき、顔は整っていて、かわいい方だと思う。身長は俺より低めの159ってところか? 胸はさっきの通り残念だ……

「なんか、今すごくムカッとしたんだけど……」

「さ、さあ? 気のせいじゃないのか?」

彼女の勘は異常に鋭い……

「まぁいいわ、あなたなんて名前?」

「俺は佐藤あきら、君は?」

「私は生徒会副会長の竹城怜(たけしろ れい)よ、というかあなた私の事知らなかったの?」

「いや、生徒会とか興味ないし……」

彼女――竹城は深い溜め息をもらす。

「同じクラスなんですけど……」

同じクラスだったのか……

「それすらも知らないって感じの顔ね」

「う、ま、まぁその通りなんだが、授業はどうしたんだよ?」

なんとかこっちのペースに持ち込まないと、いつまでも質問攻めというか、半分罵倒去れ続けちまう……

「授業はいいのよ、あなたみたいなサボりの校則違反者を捕まえるために免除されてるの……」

そんな会則があるのか? でも、その仕事は生徒会ってより風紀委員だよな。

「やっぱり、嘘……。私も遅刻してきたのよ」

竹城はアハハと苦笑いしている。

――たぶん俺と同じで教室に入るのが気まずかったんだろ。

それに副会長だし。

「ここ立ち入り禁止なんだよな? なんでここに来たんだ?」

「理由は簡単よ、ほらこれ」

竹城がポケットから出したのは、たぶんここの鍵だろう。

「言っちゃうけど私、能力者よ。この意味わかるかしら?」

なんとなく嫌な予感がする。この学校、まさか超能力者が集まってるっていうのか?

「てことは、屋上(ここ)は能力者の集会所みたいなところなのか?」

「ご名答! この学校、私の他にも結構な数の高校生能力者がいるのよ」

能力について調べたことはまだあって、実は能力者の能力によってはどこかの軍を一人で壊滅させることもできるらしい……

そんな奴らがこの学校にうようよいるのかよ

「まあ、ここに来た理由はあなたと一緒でサボりなんだけどね」

おいおい、副会長さんがそれでいいのかよ……

「そうだ、さっきから『あなた』としか呼んでないけど、さっき自己紹介しただろ、俺は『あきら』だ!」

「そうね、じゃあ最後だから呼んであげるわ……、フフあきら君を生かしてはおけないわ」

こ、こいつ何を言ってるんだ? まるで俺を殺すみたいな……

ハッ! まさかさっきの出来事まだ根に持っていたのか!

ニヤニヤしながら、近づいてくる竹城から後ずさるように俺はだんだん屋上の隅に追い込まれる。

「ま、待て! あれは偶然なんだ。別に見たくてあんなお子様みたいな下着を見たわけじゃないんだ!」

「――ふーん。偶然ね……」

竹城の拳が思いっきり握りしめられる……

あ、あれ? 言い方が悪かったのか?

「あきら君には死んでもらうわ……」

なぜ、怖いことがさらりと言えてしまうんだぁああああ!


――ガシャン

俺は屋上のフェンスにぶつかった。

つまり逃げ場を失ったわけだ。今度こそ死んだかもなぁ……

「さようなら、あきら君……」

竹城の拳が振り上げられた瞬間、授業終わりのチャイムが鳴る

「ちっ、運がよかったわね。きっといつかあきら君を殺すから覚悟しておきなさい!」

た、助かった……今回ばかりは授業のチャイムに感謝だな。

「それと、ここの事とかは他の人にも生徒会の人にも他言無用よ、屋上にはなるべく来ないこと。いいわね? それが守れる約束で鍵は没収しないことにするわ」

ただ単に竹城がサボっていたことをほかの人に言われたくないから、「譲歩してやったんだぞ」みたいな感じか。

副会長様も大変だな……

「わかった、ここでの事は誰にも言わないよ」

「そう、物わかりがよくて助かるわ。それじゃまた教室で。早くしないと2限目もサボることになるわよ」

そんなこと言われなくてもわかってるよ――なんて言ったらまた襲われかねないからな……言葉1つで俺の人生に終止符を打つことになるな。

なるべく竹城には近づかないようにしなきゃな。現に殺害予告までされてるんだし、いつ殺されてもおかしくはない。

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