玉虫色の万華鏡
最新エピソード掲載日:2026/01/07
やぁ!エイノア帝国ナッシュル地区にようこそ!
君の永住を心から歓迎するよ。私は地区長を務めている者だ。
〈一等地〉に居を構えているから、分からない事があったらいつでも尋ねてくれていい。あぁ、そんなに怯えなくても大丈夫。ナッシュル地区が真っ暗なのはいつもの事だ。なぁに、君も何日か過ごせば目が暗闇に慣れて普通に生活できるようになる。勿論、目が慣れてないからと言って、〈足場〉を沈めるのはナシだぞ。あれは生活に深く結びついているからね。詳しく知りたいのなら地区専用回覧板『酒の肴』を読むといい。
恥ずかしながら私が考案したものだが、あれはいい。地区のことだけでなく、ベイファやベイガ地区の住民のことも知れるからね。君も何か耳寄りな情報があったら書き込んでくれたまえ。
特にフィーク家のことに関して正確な情報を書きこんだら、君は英雄になれるぞ!あの家は色々と秘密が多いからね。
狙い目はそうだな。末っ子のラァズ君がいいじゃないかな?
勿論、私達の事を日々見下し、蔑んでくる貴族や軍人たちの醜聞も歓迎だ。
貴族の誰かが賊に殺されたりなんてした日には一杯奢るよ。
だが、気を付けてくれたまえ。軍部の手先である〈第四の門〉の門番たちは醜悪な怪物たちだ。大事なモノは家に置いておき、友人と連携して門を潜りなさい。
それと学生の君には酷な話なのだが、学校でのクラス分けは生死の境といってもいい。しっかり勉学に励んで好成績を死守しなさい。間違っても主席になんて成らないようにね。
主席になったところで、苦労に見合う将来の可能性が開ける訳では無いんだから。
何事も慎重に事を運びなさい。一寸先は闇だ。君のような若者の死体を見るのは心が痛む。あ、死体にも価値があるからクダラナイ倫理観など捨ておくといい。
だが、もし君が心の底から栄華を望むなら、手が無いわけではない。私が生きた証人だ。詳しく知りたいって?ははははははッ!
じゃあ、まずはハザイスという軍人を殺し
――――これ以降の文字は夥しい血痕で解読不可――――