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3.聖魔法の練習は孤児院で

「すみません、笑ってしまって」


「構いませんよ。ユミ様は出来るだけ早く仕事は始めたいのでしょうか? 遅いならどの属性についても魔法を教えたりできますが……均等ですしね、教えがいがありそうです」



 へぇ~。私の魔法の属性って結構均等なんだ。

 どこで知ったんだろう?



「どちらでもいいですが、仕事は多いので、まずは聖魔法を習得したいです」


「分かりました。まず、怪我を治癒する魔法の呪文を教えましょう。呪文は『光——汝の糧になれ』らしいです。

 魔力を怪我した部位に持っていくことによって、補われるようですが……私は使う事が出来ないので分かりません」



 ですからはやく試してみてくださいよ!



 そんな声が聞こえてきそうだ。



「けが人は今いませんけど……」


「あ、そうですね。ではしばしお待ちを。小刀を持って参ります」


「え? 小刀? 何をやるつもりですか?」


「もちろんユミ様の実験台になるためですよ! こんな機会は滅多にありません!!」


「待ってくださいよ! それなら、一度孤児院か病院にでも行きましょう!?」



 思わず声を荒げてしまった。


 孤児だったら小さな怪我は放っている可能性が高いから、いい練習になりそう。



「いえいえお構いなく」


「構いますから! ……ベノン、孤児院に連絡を。他の者は先生が何かしないように見張っておいてください」


「「「「はっ!」」」」


「ちょっと!?」



 カンゲたちに囲まれて叫んでいる先生がいる。


 ふぅ……。これで一安心、かな?





「連絡が取れました。準備が出来てなくてもよければ、来ても構わないそうです」


「ありがとう。先生、孤児院に行きますよ」


「はぁい。仕方ないわね。だけど、私が怪我をした場合は、治癒して頂戴ね? 授業料の代わりよ?」


「授業料はいいんですか?」


「もちろんよ」



 研究馬鹿ならそういうものなのかな?



「そうと決まったなら、早速孤児院に行きましょう!!」




 となって孤児院に今いる。



「こんにちは~。お邪魔します」


「ええっと?」


「聖女のミアです。今日は急だったのにありがとうございます」


「ミア様!? それは失礼しましたっ!」


「こちらこそ急に失礼しました。事情は聞いていますか?」


「はい。たしか魔法の練習をしたいとは聞きましたが、詳細は……」


「では詳細を説明しますね。実は今聖魔法を習得しようとしているんですけど、怪我を治そうにも怪我をしている人が今いなかったので、孤児たちなら、小さな怪我はそのままにしているんじゃないかなーって思いまして」


「確かに、それならご希望に添えそうです。すみません、準備ができないっといったから来るとは思っておらず、子どもたちにも伝えていないんですけど」


「構いませんよ。そのつもりでしたし」


「では子どもたちのところに行きましょうか」


「「お願いします」」



「みなさん、お客さんですよ」



「おきゃくさん!?」


「だれだれ?」


「偉い人?」



「どうぞ、ミア様」


「はい。みなさんこんにちは。この前この世界に召喚された聖女のミアです。今日は、魔法の練習をここでしたいと考えているんだけど、いいかな? 小さな怪我とかを治す練習をしたいんだけど」



「けがを治してくれるの?」


「わたし、今日こけちゃったんだよね」


「じゃあ最初はジャスミンだな!」


「いいの?」


「いいよな?」


「「「「「「うん!!」」」」」」



 てくてく。


 一人の女の子がやってきた。紫の髪の毛の女の子だ。



「こんにちは、聖女さま」


「こんにちは、何か怪我したの?」


「うん、ここ」


「膝かぁ。痛かったね」



 えーと、確か、「光——汝の糧になれ」だよね?



「光——汝の糧になれ」



 そう言って、魔力を怪我に込める。


 暖かな印象をもたらす白い光が、手からあふれてきて、傷口を囲み、けがを癒した。



「うわあ! すごいすごい! あっという間にきれいになった!」


「見せて!」


「本当だなぁ」


「俺のこの古い傷もなおるかな?」


「おい、カンダも行ってみたらどうだ?」


「うん! 行ってくるぞ!」



「聖女様、この傷は治りますか?」



 火傷……かな?

 本人が言っていたように古傷のようだ



「光——汝の糧になれ」



 また、白い光が生まれた。


 そして、その傷は治った。



「すげぇ……! 聖女様、ありがとうございます!」


「どういたしまして」



 なんだか私も嬉しくなった。



「私も行こう!」


「俺も俺も!」



「わたしもいいですか? せいじょさま」


「いいよ。 光―—汝の糧になれ」



 そんな風にどんどん治していった。


 途中からは先生の助言も活用して、全体的な治癒もやってみた。

 これだと魔力の消費量は多くなるけど、子どもたちについているいろんな傷を治すことができる。



「どうですか、先生?」


「素晴らしいわ!! いいなぁ、私も治癒されてみたい……!!」



 魔力もかなり減ってきたので、今日はこれで終わることにした。



「ではミア様、呪文を今からたくさん覚えてくださいね」



 笑顔の先生がいた。


 そして、私はたくさん呪文を覚えさせられた。


 そう、聖魔法だけでなく他のものも……




「まったく、あんなに早く魔法を習得できるならはじめからそう言って下さいよ。損しました」


「先生? 何か言いましたか?」


「独り言ですのでお気になさらないでください」


「そうですか……」





「ベノン、明日はどうするのがいいと思いますか?」


「そうですね……ミア様はもう病院に行っても問題ないと思いますか?」


「まだ試していない呪文があるのでそれは遠慮したいかもしれません」


「でしたら明日も孤児院でいいのではないでしょうか?」


「明日も?」



 でも、今日であらかたの傷を治しちゃったよ?



「今回は民の間にも広めましょう」


「え?」



 まさかそんな大ごとになるなんて。

 だけど、確かに昨日の調子だと上手くいくかもしれないな。一発目から上手くいくことが出来たし、もしかしたら魔法の才能があるのかもしれない。


 この油断が、危ない事態を引き起こさないことを、神様にでも祈っておこうかな。



「一応、治らない可能性があることも伝えてくださいね。あと、病院でも問題ない怪我は、するつもりはない、ということも出来れば伝えていただけるとありがたいです」


「……! 畏まりました」



 なぜだろう、ベノンが一瞬驚いた顔をしたような気がした。気のせいだよね?


 それにしても、今は夜なのに、その時から明日聖女が神殿に現れるなんてこと、そんなに広まるのかな?

 あまりにも少ないと、さすがに悲しいんだけど。


 それに、病院に行っても治らなそうなものを持っている人って、そこまで多くないと思うけど……


 一体どれぐらい来るのか、明日が楽しみだ。




ちなみに、先生が、ユミの魔力が均等なのを知ったのは、水晶のときです。

水晶に現れる光が占める割合で何属性が強いのか、ということが分かります。

ユミの場合は均等でしたが、ユウナの場合は聖魔法が強く、聖女向きです。


聖魔法、闇魔法を持つものは、基本的に闇、聖以外は全属性持っています。

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