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2.召喚の理由と魔法

「私が、此度ユミ様の護衛になりました第八隊の隊長、ベノンです」


「私は副隊長のカンゲと申します」


「これからよろしくお願いします」


「「はっ!」」



「あなたたちはこの国の事情をちゃんと把握していますか?」


「ある程度は」


「だったら、私たちが召喚された理由も知っていますか?」


「はい」


「それでは、私たちの召喚の理由を説明してくれますか?」


「分かりました」



 彼らが護衛だと公表された時の周りの反応を見るに、彼らは不遇にされている騎士のようだ。



 私と同じ。



 だから、国王とかは佐藤さんと上手くいくのだろうな。

 似ているもん。


 まあ、その後の国は滅びるかもしれないけど。これはよくあるストーリーだし。


 私はやるべきことをするだけだ。



「実は、聖女様は光魔法を使えるのですが、自身には使えないのです」


「だったら他の人にかけてもらえば問題ないのでは?」


「それも効かないそうです。聖女様はなかなか生まれてきませんので、その存在が分かるとすぐに神殿に引き取られるのです。

 そして聖女様の機嫌を損ねないようにと守られて育てられ……」


「傲慢になった、のですか?」


「そこは正直どうでもいいんです。問題は聖女様に治癒が聞かないことを利用した輩が出てくることでございまして……」


「どのように利用するのですか?」


「脅すのです」


「脅す……そしたら甘やかされた聖女は死にたくなくて、相手の言いなりになるかもしれませんね」


「我々の仕える聖女様が聡明な方で嬉しい限りです。その通りでして、今では多数の聖女様があまりいいとは言えない組織にとらわれております」


「だから、私たちに活躍してほしいのですね」


「そうです。……ただ、陛下はあちらの方に期待していそうですけどね」


「それは、私にあなたたちがあてがわれたからですか?」


「そうです。我々はあまり上層部にいい顔はされていないので、嫌われて、難しい課題を押し付けられているのです。

 おかげで任務達成率は低く、それを見て、陛下は我々を付けたのでしょう」



 そっか、少し希望が見えてきた。



「では、あなたたちには期待しておきます」


「分かってもらえたなら嬉しいです」



 私に随分と優秀なものをあてがってくれた陛下には感謝しないとね。


 くっくっく


 笑いが込み上げてきた。



 ……ああ、この笑い方の時点でもう異世界に毒されているなぁ。



 そんなことを思った。


 どうやら、異世界転移というものをとおして、私は少なからず興奮しているようだ。





「ベノン、まず何の仕事をすればいいですか?」


「そうですね……あ、確かやることのリストが作られていると伝えられていました。持ってきます」


「ありがとう」



 忘れていたなんて、ベノンは少し抜けているところでもあるのかな?

 それを言ったら私を見る目が厳しくなっちゃうから言わないけど。



「持って参りました」


「ありがとう。それでどんなことが書いてありますか?」


「ええっと……孤児院の訪問、病院の訪問、畑の訪問、などが書いてありますね」


「そうですか……けど、その前に聖魔法の使い方が分からないといけませんね」


「あ、そうですね。考えていませんでした」



 ……。

 私も途中まで気づいていなかったから何も言えないや。



「魔法はどのように習得するのですか?」


「まず感知できるようになって、その後に使い方を学び、後は詠唱するだけで使えるようになります」


「ベノンはどれくらいで使えるようになりましたか?」


「あ……私はあまり魔力量が多くなく、質もそこまで高くないので、魔法は使いません」


「そうなんですか? そういう人は多いのでしょうか?」


「多いと思います」


「そうですか」



 それは、なんだか残念だな。


 ただ、魔法を使えない人で作った隊があるのなら、魔法が使えない人も別に差別されているわけではないのだろうし、問題ないんだろうな。



「誰か私に教えられる人はいるのでしょうか?」


「私の隊にはいません」


「ベノン、あなたが信用できる、魔法の使える人を呼んできてくれませんか? カンゲの信用できる人でも構いません」


「分かりました」



 こんなことを話したのが召喚された日の夜のこと。



 そしてその次の日である今日。



「ユミ様、彼女が教師をしてくれることになりました」


「エンナと申します」


「彼女は私の幼馴染で、そこまで権力とかは気にしない人物なので信用にたるかと思います。どうでしょうか?」


「構いません。聖魔法も教えることができるのでしょう?」


「もちろんです! 文献で聖魔法の記述をたくさん見てきて、いずれ聖女様に会ってみたいと常々思っていたのです。神殿のガードが固く、今まで会うことは出来ませんでしたが。

 私の念願を叶えてくださったのです。いろんなことを教えて差し上げましょう」



 なんていうか……研究馬鹿?

 信用には足ると思うし、構わないかな。



「これからよろしくお願いします、エンナ……先生?」



 先生、が適切だよね?



「誠心誠意頑張ります!」




「聖女様は魔力の感知は出来ますか?」


「できます。あの、聖女様じゃなくてミユでいいですよ?」



 魔力感知については昨日ベノンに聞いた後に、少し頑張ってみたんだよね。


 体に日本にいるときにはなかった違和感があったからそれを動かしたりしていた。

 これが魔力かは確定できないけど、これ以外に特に変わったものは感じられなかったから、これだと思う。



「ではミユ様ですね」



 ……。

 様付けなのは変わらないんだ。



「一度魔力を手に集めてもらっても構いませんか?」


「はい」


「確かに集まっていますね。普通の人はここで戸惑うのですが。

 では次の方に行きたいと思いますが、その前に、これに魔力を流してもらって構いませんか?」


「分かりました」



 水晶みたいなものに魔力を通す。



「なんと……!?」



 水晶が白色に光った。

 ……と思えば、白、赤、青、緑、水色、この5色が出てきた。



「非常に安定したバランスですね。さすがとしか申せません」


「どういうことですか?」


「白は聖属性、赤は火属性、青は水属性、緑は土属性、水色は風属性、黒は闇属性を示しているのです。黒はありませんが」


「白は聖属性なのに黒は闇属性なんですね」


「闇属性も国は丁重に扱っておりますが、やはり重要になってくるのは聖属性の方なので、闇属性と同列なのは失礼だろう、と聖に変えたそうです。そして、聖属性を使える女だから聖女、と。」


「聖属性を使える男性はいないのですか?」


「おりません。逆に女性で闇属性を使える方もいらっしゃらないのでユミ様にも闇属性はありません。闇属性をもつ男性はいい言い方が思い浮かばなかったので、悪魔、となりました。男は皆悪魔を夢見るんですよ? 面白いでしょう?」


「はい、そうですね」



 悪魔をみんなが夢見ている……くっくっく


 また笑いが込み上げてしまった。




ちなみにユミは魔力量は多いとは言えませんが、質は高めです。

そしてユウナは魔力量は多くとも、質が低いです。


結果的にはあまり変わりませんが、魔力は増やすこともできるので、ユミの方が便利そうですね。

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