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天才

それから数日が経過しており・・・・・・。

「まったく・・・・・・なんで無能のお前さんが全く壊れないんじゃ!!」

一応説明しよう。俺の名前は夢叶大和といい、元は異能力を絶対に覚醒させることの無い無能力者として有名だった。・・・・・・しかし、俺が不良に絡まれたとき、異能力を覚醒させた上、自分より立場が上の異能力者に危害を加えたことによって、無能力者のみが通うことが出来る学園を退学になり、処罰として牢獄に閉じ込められ、拷問を受けることとなった。と、言うのだが・・・・・・

「だって、威力弱めてるだろ?そりゃ耐えられるに決まってる」

「だ、だって・・・上の者から殺しだけはするな。と言われたら弱めないといけないんじゃ。・・・・・・しかし、驚きじゃのぉ。お前さんのような無能力者・・・いや、覚醒したての異能力者でも、わしの拷問には耐えられないと思っていたんじゃがな・・・・・・お主、何をしているんじゃ?」

「俺は、異能力を覚醒することができない代わりに、せめて身体能力くらいは鍛えておこう。と思って、日々トレーニングを重ねていただけだ」

「だとしても・・・・・・その見た目からじゃ鍛えているとは見えないぞ。だって、特にお主のお腹周りじゃな。腹筋の形すらも視認できないし、鍛えていたら自然と太くなるはずじゃ。だというのに、お前はもやしのような細い体をしておる。その体で、鍛えていると分かるわけなかろう」

「ラズは、強者な癖に、そこまでは見抜けないんだな」

「な、なんじゃと?このわしを弄りようたな。・・・・・・もっと酷い拷問をしてやろうか!?」

「お好きにどうぞー」

俺がそう言ったので、ラズはさっきよりも強力な異能力を使って俺に拷問を仕掛けたが・・・。

「なんで効かないんじゃ・・・・・・!!」

「鍛えているからな」

「何故だ。鍛えているから。と言っても、手足は拘束して、抵抗できないようにしてあるというのに・・・・・!!というか、気安く名前を呼ぶでない!!」

「じゃあ、なんと呼べば良い?」

「そう言われると、少し悩むのぉ」

手を顎におき、漸くラズは考える。・・・そして

「そうじゃ!ラズ様とお呼びなさい!!」

「そうやって呼べば文句は言わないか?」

「名前を呼ばれるのはイラっとくるが・・・まぁ、呼び捨てよりマシじゃろう。これからは、ラズ様とお呼びしなさい!!」

「わかりましたよ。・・・・・・ラズ様」

「おぉ。やればできるじゃないか」

と、そんな会話を繰り広げる。

「・・・・・・思ったのだが」

そこで、俺は気になったことをラズに訊いてみることにした。

「おま・・・ラズ様は、拷問を頼まれたんだろ?」

「そうじゃな」

「なんで、拷問するだけで良いものを、俺とこうやって会話をするんだ?」

それは、純粋に思った疑問だった。・・・しかし、ラズはその質問を聞いた時、少しだけ暗い表情を見せた。

「お主よ・・・・・・時には、人には聞いてはいけない質問だってあるんだぞ?」

「悪い。タブーな質問だったか?」

「・・・・・・別に、タブーというわけではないが・・・少し、悲しくなってしまうな」

「・・・・・・そうか。悪い。良かったら、聞かせてくれないか?」

「なんじゃ。何を企んでおる?」

「いや、別になにも企んでねぇよ。・・・・・・ただ単純に、気になっただけだ。何故、最強な人間が、最弱の人間と会話をしようとしている?」

「・・・・・・あまり、詳しい内容は言えないが、折角お前が優しさで聞いてやってくれると言うのなら・・・・・・それに甘えることとしよう」

そうして、ラズは真実を話し始めるのであった。

 私は、小さい頃から有能だった。小さい頃から、多彩な異能力を扱うことができた。そのため、わしは優遇される生活を送ってきた。・・・・・・その生活に慣れてしまい、遂には同級生の子ですらも私に敬語を使わせていた。当時のわしは、それが正しいと思っていた。自分の方が立場が上だから、敬語を使わせるのは当たり前だ、と。そう思っていた。のだが・・・・・・そんなことをさせているうちに、気づけば周りから人が消え去っていっていた。仲が良かった親友まで・・・わしから離れていった。離れ際、わしは親友にこんな言葉を吐かれた。

「最近のラズはおかしい!!たしかに、異能力も、何もかもが強いから、自然的に立場は上になるけど・・・同級生の子にですら敬語を要求するようになって・・・・・・!!私は、そんなラズとはもう関われない。それじゃあ」

と言って、親友は離れていった。それから長い年月が経ち、気づいた頃には周りに人はいなかった。孤独の世界に・・・・・・ただ一人立たされた。自業自得だ。そんなことは分かっていたが、私は泣き続けた。誰も構ってくれる人がいない生活に、泣き暮れていた。そして、とある日、私は新聖学園の学園長に拾われた。

「そうだな・・・。悪人の拷問を行ってくれるなら、安定した生活を送らせてやろう」

そのときの私は、ようやく救われた。と実感していた。しかし・・・牢獄へと投げ出された犯罪者達は、面白くないものばっかだった。すぐに壊れてしまうし、それに会話をしようとしても、いざ話しても全く面白味を感じなかった。・・・・・・そんな中、現れたのがこの男、夢叶大和という犯罪者だった。最初は、こいつも他の奴らと同じだろう。とそう考えていた。が、話してみると・・・他の奴らとは感じられない楽しさを感じられた。そこから私は、数日間、今までの寂しさを埋めるためにこいつと会話をしていた。

 「・・・・・・なるほどな」

たしかに、俺もラズの立場だったらそうしているだろう。それほど、こいつは寂しさを感じていたということだ。だったら・・・ここで俺が突き放すのは違うだろう。

「だったら、おま・・・・・・ラズ様が良ければ、満足するまで関わってやるよ」

その誘いに対し、ラズは・・・

「お前さんに、言われなくとも、そのつもりじゃ・・・」

と、少し顔を赤らめながら、そう呟くのであった。

追記: ちょっと時間がないので明日の分が投稿できないかもです。

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