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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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最終話『二人だけの結婚式』

「うぅっ・・・」

最後まで、進治郎は唸っていた。泣いていた。そんな、悲しい感情を見せた。しかし、終止エンドラーを放った時点で、終わることは確定している。さぁ、終わらせよう。俺は、地面に向かって、思いっきり拳を振り落とした。そして、

「終わりだ!!!」


世界は、閃光の光に包まれた。眩しいほどに、強く光っていた。数秒後、その光から解放されると。

「や、やった・・・」

魔王は、倒れていた。意識も、なかった。

「倒した。倒したんだ・・・」

戦争は、終結した。俺たちの勝利によって。しかし、

「まだ、私が、いる・・・の」

そんな、一つの声が上がった。

「なんだ。やるのか?」

そう問いかけると、真愛は少し黙った。そして、数分間の沈黙が流れたあと、

「私だって、嫌だった!!」

そんな、力強い返答が来るのであった。

「あの日、突然誘拐されたの。そして、人体実験をさせられて、気づいたときには異能力を手にしていて、そして組織の仲間にされていた。私は、あんな組織なんて嫌いだった。私は平和な世界を望んでいたのに。嫌だった。また、大和に会いたかった!!でも、大和に会ったとき、私は生きててよかったと思ったの」

「・・・」

俺は何も言わずに、ただ真愛の話を聞き続ける。

「対峙したときだって、傷付けたくないと思った。だって・・・『好きだから』」

「!!!」

その瞬間、気づいたときには俺の体が動いて、そして、

<<ギュッ>>

「え、え!?」

真愛を、抱きしめていた。あぁ、満足だ。俺だって、俺だって・・・!!

「真愛と、会えたことがどれだけ嬉しかったことか!!死んでいたと思っていた。数年間、悲しい感情と過去を背負って生きていた。でも、お前がどんな姿になろうと、気持ちや考えが変わっていようと、好きな気持ちは変わらなかった」

「!!!」

「ずっと、ずっと・・・。どこかで会いたかった。好きな気持ちを伝えたかった!!だから、俺はお前・・・いや、真愛に会えて嬉しいよ!!」

真愛に対抗するように、俺もそんな思いっきりの告白をする。あぁ、よかった。これで、よかったんだ。数年越しの、愛を確かめることが出来た。互いに、緊張しているのがわかる。俺だって心臓はバクバクだし、真愛も、心臓の音が伝わってくる。

「ははっ。そっか。実はね、私だって昔から大和くんの事が好きだった。大好きだった。だから、あの日、離れた日から心に誓ったの。次会ったら、絶対に告白をしよう。って」

「偶然だな。俺も、同じことを数年間考えていた」

そうだ。死んだと思っていたが、実は微かに希望を抱いていた。どこかで、真愛は生きているかもしれない。と思って。しかし、信じることはできなかった。でも、もう会えたからいいんだ。

「お互いに、両想いってことなんだね!!」

緊張が解けたのか、真愛は幸せそうに笑い声を挙げた。それにつられるように、俺も一緒に笑った。数分、笑いあった。そして、笑いが解けると。

「それじゃあ、同時に言っちゃわない?」

「いや、ここは俺から言わせてくれ。数年待たせたんだ」

「ふふっ。そうだね。じゃあ、貴方から言ってもらおうか」

そう。俺はついにあの言葉を口にする。数年、真愛に言わなかったあの言葉を。俺は、勇気を出して、その言葉を紡ぐ______。

『結婚しよう』





それから数年が経ち、反異能力政府軍が勝利を収めたことによって、世界は平和へと変わっていった。取り残された異能力政府軍の人間も、俺が共存できる環境にしてやった。双方、損のない生活を送れるようにした。無能力者でも平等な扱いを受け、世界に本当の”平和”が訪れた。そして、数年間交際を続けた俺たちは、あの日誓った場所で、とうとう結婚式を挙げていた。観客は、誰もいない。だって、必要ないから。この場所で、俺たち二人が結婚を約束したんだ。だから、誰にも見守られなくたっていい。そこで、結婚式を挙げた。

「これが、指輪だ」

「わぁーー!!綺麗!!!」

ダイヤモンドが、神々しく光っていた。そして、太陽に照らされる真愛も、また綺麗だった。そして俺は、その綺麗な指輪を彼女の薬指に通す。そしてその瞬間。

「好きだよ」

といい放った。その言葉に、真愛が笑顔にならないわけがなく、

「うん!!私も大好き!!」

と、笑顔で返答するのであった。そうして、俺たちはその場所で『二人だけの結婚式』を挙げるのだった。



幸せだった。結婚もして、子供も出来て、その子供が成人をして、そして孫が出来た。子供は、飽きないくらいにかわいい存在だった。無邪気な姿を見ていると、またこれが幸せなんだと感じる。

「ねぇねぇ!!おじいちゃん!!見て!!」

「おぉ~。すごいなぁー」

世界で、異能力を持ち合わせるのは、ついに俺の家計だけになった。俺は、『世界を救った勇者』として、長年称え続けられた。真愛が、前世で幼馴染みだったのは驚きだが、それはそれで来世になって結ばれたということだろう。とにかく、今が幸せならそれでいいってことだ。

「異能力は、絶対に使うでないぞ」

「どうして?かっこいいじゃん」

「格好よくなんてない。異能力というのは、不幸を産み出すんだ。和叶かなとは、幸せが好きだろ?」

「もちろん!!」

「だったら、異能力は使わない方がいい」

「わかった。約束する!!」

そうして、孫は無邪気に笑う。あぁ、これが幸せなんだ。と、再度思う。俺は、なんだかんだ言って、この世界に生まれてよかったと、そう思うのであった。




世界を救った勇者は、みんなに見守られて死んでいった。そして、死の中で目を覚ますと、そこには、一つの青白い光が光っていた。

「長い間、お疲れさまでした」

その喋った奴は、創世者だった。

「あなたは、この世界での正しい”死”を迎えました。これによって、死ぬことが出来ました。しかし、あなたという人間に、私たちは更なる興味を抱きました。そこで、これからも、どれだけ死んでも、転生するようにしたいのですが、よろしいですか?」

それは、辛いことだってある。しかし、

「人間は、転生を繰り返す生き物だ。俺は、それでもいいと思っている」

「なるほど。それじゃあ、あなたにその”呪い”をかけましょう。『輪廻転生異術』これによって、あなたは死ぬことがなくなりました。そう、完全に。完全に死ぬには、私たちが満足する死に方を行ってください。そして、前世で生きた世界の事も、継承されます。あなたのスペック全てを、継承します」

「あぁ、わかった」

人は、死んでは生まれ変わる。当然のことだろう。それでいいんだ。そうして俺は、次の世界が来るまで、目を瞑るのだった。

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