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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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50/57

負___

「また封印されてしまったのかよ」

今度は、抜け出そうにも相当手厳しい封印だった。どれだけ歩いても終わりはなく、壁もない。そして、歩けてはいるが、床もない。つまり、思いっきり叩いたって、そもそも当たるところがないからひび割れたりもしない。また、何度か試したが、異能力も使えなかった。これは本気で、封印されたようだ。

「どうすることも、出来ないな」

解放されるときが来るまで、待つしかないか?いや、もし解放されることがなかったら、どうする?それに、今ラズや夢がどんな状況に遭っているかも分からない。だから、無理矢理にでも出たいのだが。

「その対策が見えないんだよな」

無事で、あっていれば良いが。


私は、学園内ではトップの実力を誇っていた。故に、誰にも負けることがないと思っていた。しかし、目の前のそいつは違った。私では、到底敵わないほどの実力差が開いていた。

「もうへばったか」

夢は、おそらく昏睡状態に入っている。今動けるのは、私だけだ。なんとかすることはできないけど、とにかく大和か夢が復活するまでは時間稼ぎをしないと!!しかし、

「はっはっは。体力満タンの俺と、疲労の君。どちらが勝つかねぇ」

そいつは、勝負の結末が分かっているかのようにそう言った。

「っ!!なめやがって!!」

私だって、まだ体力は残っている。だから、異能力を!!

「あ、れ・・・?」

異能力が、討てない?どうして、

「気になるよねぇ。どうして異能力が討てないかって。それは、君は体力の限界を迎えているんだよ。それなのに、よくまだ立っていられるね」

「嘘でしょ?」

私が、体力切れ?嘘、そんなはずが・・・。でも、事実、異能力を放つことも出来ないし、いつもならもっと全力で走れるが、今はスピードも出ていなかった。

「そんな状態で、俺に勝とうって言うのか?」

「勝とうなんて、思っていない。あくまで、時間稼ぎが出きればいいんだ」

「なるほど。それでどちらかが復活するのを待つ作戦なのか。しかし、残念だねぇ。いいことを教えてあげる」

すると、その男はこんなことを言い出す。

「二人は、死んだよ」

「!!」

「大和に関しては、正確に言えば死んではいないけど、彼には永久封印をかけた。だから、もう絶対に深い眠りから醒めることはないよ。そして、彼女の体温を感じてごらん?」

そう言われて、私は恐る恐る夢に手を伸ばす。すると、

「うそ、でしょ?」

体が、冷たくなっていた。

「嘘じゃない。それが本当の答えで、それが現実だ」

冷たい。ということは、この世界では”死”を表していた。つまり、本当に、二人は、死んだって言うの?

「うそだ。嘘だ嘘だ嘘だ。そんなわけが、ない。二人が、そんな簡単に死ぬはずがない。よね?ねぇ、そうよね?」

そう問いかけても、あたりは静寂を返してきた。

「なんで、どうして」

「あぁ。これだよ!!俺たちが望んでいることは!!この絶望する顔が見たかったんだよ!!」

悲しさと同時に、自分の無力さに絶望を感じる。私が、もっと強ければ、彼女達を救えたかもなのに。

「それほど悲しいか?だったら、お前もあいつらと同じところへ送ってやる」

そうして、その男は異能力を放つ。抵抗しようなんて、考える暇もなかった。死ぬことだって、怖くなかった。そうして、私は目を閉じて。死を覚悟した。すると、その瞬間。

「そこまでだ」

「・・・・・・え?」

ここで響くはずのない、一人の声が響き渡った。

「なっ!?どうして出てこられて!!」

そうして、その場からもう一つの声が響き渡る。

「まったく、勝手に死んだ扱いしないでくださいね?忘れちゃいましたか?私の異能力は、『治癒魔法』ですよ?」

同時に、二人の声が響き渡った。

「なんで?どうして?}

「んー?根性」

「根性で生き返るって、どんな世界だよ!!」

「さぁ、そんな事を言ってられるのはもう終わりだぜ?」

俺たちは、復活を果たした。

「さて、戦う準備は出来ているか?」

ファズの顔は、余裕だった表情が、段々と強張っていった。さて、どんな行動に出るか。と、俺たちは待ち構えていると。

「・・・っ!!」

「っておい!!どこ行くんだよ!!!」

突然、ファズは逃げ出した。怖気ついたのか?いや、実力差はそこそこある。故に、こいつがビビって逃げるなどないだろう。だったら、どうして?考えているうちに、ファズの速度は上がっていった。まずい、そろそろ見失ってしまう!!なんとかして、追い付かないと!!とするが、あまりのスピードだった。

「見失ってしまった」

とにかく、行った横行に向かって進もう。走って、走って、走り続けた結果、一つの山道につく。ここの山は、何やら少し様子がおかしかった。僅かに、血の臭いを感じとる。まさか、ここで誰か殺された?だとしたら、山頂で。

「急いで向かわないと!!」

そうして走る。山頂に向かって、走る。すると、山頂の近くにある丘に足を踏み入れたとき。

<<ベチャ>>なにやら、変なものを踏んだ感触がした。まさか?と思って下を見る。刹那、俺は驚きが隠せなくなる。

「なんだ、これ」

あたりを見渡すと、そこには大量の死体があった。間違いない。これは学園の生徒だ。一体、なにがあって。すると、奥から一つの声が聞こえてくる。

「やっと会えたよ。大和くん」

そうして、その奥には・・・・・・。

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