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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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いってらっしゃい____夢叶大和______

素直に話すとしよう。あの日、俺は確かに能力を発動させた。一応自己紹介をするとしよう。俺の名前は、夢叶大和。絶対に能力を解放させることの無い人間として有名だった。そんな俺が、昨晩、異能力者のみが通うことが出来る学園に通っている生徒に対して、異能力を解放させ、圧倒した。あのとき俺が使った異能力は・・・。

「どうだ?少しは落ち着いたか?」

「あぁ。お陰様で」

「そりゃよかった。んじゃ、俺は用があるんで」

「あぁ。ありがとう。見ず知らずのおっさん」

「そういえば、名前を言っていなかったな。俺の名前は、”大夢ひろむ”だ」

「ひろむ・・・。もうで会うことがないだろうけど、まぁ、覚えておくよ」

「あぁ。そうしてもらえると助かる」

そう言い残して、そのおっさんは去って行ってしまった。後々考えてみると、確かにおっさんのいうことは正しかった。自分から逃げてばっかじゃ、強くはなれない。と。でも、だったらどうしたらいいのか?世界を救う・・・と言っても、俺にはまだ微かな異能力しか持ちあわせていない。そこから鍛練して積み上げていく過程が大事なんだろうが、それを全て達成させるまでに何年かかることだろうか。少なくとも、今の俺にはそんなことは分からなかった。

 それからというものの・・・。あれから長い2週間が過ぎ、ようやく学園へと登校することができていた。本当に長かった。冗談なしで・・・退屈で孤独死するかと思った。まぁ、結果的にはこうやって登校できてるんだ。・・・・・・それでよしとしよう。ちなみに、あの噂が耐えず、未だに冷ややかな視線を向けられていることに関しては気にしないことにしよう。そうして、俺が校門へつくと・・・。

「大和」

「あぁ。確か学園長の・・・」

「そうだ。学園長の扇動滝だ」

「フルネームどうも」

「それで、なんだが・・・検査の結果が出た。・・・・・・一応、学園長室まで足を運んでくれ」

「わかりました」

あぁ。遂にバレてしまったか・・・。できれば平穏に過ごしたかったのだが・・・まぁ、仕方ない。それは能力を行使した俺が悪いのだ。まぁ、とにかくはやめに学園長室まで足を運ぶとしよう。

 「それで、呼び出された件は勿論承知しているな?」

「まぁ。もちろん」

「大和・・・・・・俺も信じたくなんて無かったぞ。だって、お前という、夢叶大和という人間は・・・。無能力者として有名な人間だった。だから・・・わしもお前さんが能力を使ったなんていう噂は・・・・・・そんなはずがないと思っていたが・・・。再度訊くとしよう。夢叶大和。お前という人間は、”異能力”を使用したか?」

「・・・・・・はい。紛れもない事実ですよ」

ここで・・・嘘をついたって意味はない。だって、鑑定結果が正式に出てしまっているから。

「そこでだ。大和。専門家とも必死に裁判した末・・・お前は、この学園を退学となる」

「まぁ、そりゃ、そうですよね」

自分より立場が上の異能力者を、殺すまでは行かないものの、傷を負わせたんだ。それに、異能力まで解放させた。・・・・・・そんな状態で、退学にならないわけがない。

「とにかく、現在の処置としては、これからはお前には拷問を受けてもらう。いくら相手が負けたからって・・・・・・お前は自分より立場が上の異能力者を痛めたんだ。だから、しばらくの間は牢獄で拷問の刑と処す。いいか?」

「はい。問題ありません」

それほどの償いをしなきゃいけないからなぁ・・・。自業自得だが・・・流石に、平常を装うことはできなかった。

「・・・・・・だが、大和」

「はい」

「わしは、お前にはさらに期待を抱いた」

「はぁ。それはどうして?」

「考えてもみろ。長い間、絶対に能力を覚醒させることができないって言われてきた奴が、遂に異能力を解放させた。・・・・・・つまり、お前はこれから更なる急成長を遂げる可能性がある。違うか?」

確かに。考えてみればそうか。俺が、異能力を解放させたんだ。・・・・・・そんな俺に、伸び代がないわけがないだろう。つまり、世界を変えるのに一歩前進したことになる。やっと、約束が果たされるのか。と思ったのだが・・・・・・。

「そういえば、牢獄に閉じ込められるのか」

その間は、流石に何もできないか。

「まぁでも、学園長のその期待を背負いますよ。ありがとうございます」

「おぉ。改めて。大和」

「はい」

「俺は、お前さんが異能力を持ち合わせたことについては、悪く思わない。・・・・・・それに、お前さんから強い意思を感じる。その意思というのは・・・『世界を変えたい』という意思じゃ。夢叶大和・・・・・・」

学園長が、最後に俺の名前を呼んだ。そして・・・・・・。

「是非、その異能力を有効活用し、世界を救ってくれ」

と、そんな期待を俺に寄せてくる。俺が、この世界で生きるとして掲げた目標だ。学園長に、そんな期待をされたら、俺は背負うしかないだろう。

「わかりました」

そう言って、俺は歩き出す。そして、扉に手を掛けた。その時・・・・・・。

「いってらっしゃい。夢叶大和よ___」

「っ・・・」

感じたことの無い暖かみを感じて、少し泣きそうになりながらも、

「あぁ。行ってくるよ。扇動滝」

と、俺も学園長の名前を呼び上げ、そうしてやがて学園長室をあとにするのだった_______

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