敵わない・・・
「っ。死んだか」
俺は、現在の世界最強に君臨していた。つい先程、ウェレスが死んだことを知った。まぁ、あいつは実力でいえばそこまでだから、強者を相手すれば負けてしまうだろう。ましてや、元世界最強だと。さて、誰にやられたのか。を、確認したら、
「夢叶、大和?」
噂で聞いたことがある。無能力者だったとか。そんなやつが、なんで?
「まさか、異能力を解放させたか?」
だったら、大成するのは納得がいく。それが、この世界のお決まりだから。
「しかし、夢叶大和って」
たしか、あの元世界最強の息子じゃなかったか?そう、元世界最強、その名を、夢叶大夢は、数年前に子供を産んでいた。それが、たしか夢叶大和だった気がする。
「だったら、アレを解放させるかもしれないか?」
そうなったら、こちらとしては結構厄介になる。ただ、同時に、好奇心も湧いてくる。長い間、俺は強者と渡り合ってこなかった。この新たなる新星の実力によっては、存分に楽しむことが出来るだろう。
「ふふっ。楽しみにしているよ。大和くん」
いつか、出会える日が来るまで。
それから、俺は街を守っていた。やっぱり、ファズの存在が中々に厄介だった。倒しても倒しても、敵が湧いてくる。
「キリがねぇ」
この量、どうしたらいいんだ?と、考えていたら、とある兵士から声をかけられる。
「お前、たしか組織を抜け出した奴だろ?」
「だからなんだ」
ここで、とぼけても意味がない。故に、俺はその質問に答えることにした。
「お前達の目的は、なんなんだよ」
「俺たちは、世界の平和を願って戦っているんだ」
「それは、どんな世界を目指しているんだ?」
「異能力なんかなくて、誰もが平等で平和に生きれる世界を」
「だったら、矛盾していると思わないか?」
「うるさい。さもないと」
「早まるな。俺がどうせ死ぬのは分かっている。だから、死ぬ前の遺言として受け取ってくれ」
そのお願いに、俺は無言で返答した。
「俺たちは、異能力があって、それで実力主義の世界を望んでいる。しかし、お前達はさっき言っていた通り、異能力がない世界を望んでいるんだろ?だったら、そんな奴らがなんで異能力なんかを駆使するんだ?それは、目指すものとは矛盾しているとは思わないか?」
「・・・話は、それだけか?」
「あぁ。それだけだ」
「じゃあ」
「最後に。死ぬならお前に言いたいことがある」
「さっさと言え」
「お前がこちら側にやってくるときには、幸せになってこちらへ来いよ」
「っ・・・」
その言葉を最後に、俺はそいつの頭を撃ち抜いた。なんでだろう。敵軍のはずなのに、悲しい感情があふれでる。いや、あの言葉から分かる。きっとあの男は、いい奴だったんだろう。だったら、自分が死ぬと分かっていた間際に、あんなことを言えるはずがない。
「ごめん。ほんとうに、ごめんなさい」
そんな、今言っても遅い謝罪を届ける。俺が出来る償いは一つ。
「幸せになって、こちらへ来いよ」
最期に俺に届けたお願いを、叶えるのみだった。
それから俺たちは、悩みの元凶、ファズの討伐に携わっていた。
「あいつが、クローンの製造元か」
「おや。お客さんかね。っと、そこにいるのは、大和ではないか」
「あぁ。久しぶりだな。ファズ」
「それで、何しに来たんだ」
「世界を救うために、俺はお前を倒しに来た」
「はははっ。おもしろいことを言うねぇ。君たちは、どうしてそんなに敵対心を抱いているのだい?」
「当たり前だろ。正義を手に入れるなら、悪を成敗するのは付き物だろ」
「僕たちからしたら、君たちが悪人なんだけどね」
「まさか、忘れたって言わないよな?数年前、どうして世界がこんなにも豹変したと思っているんだ」
「昔と今では、話が別だろう?それに、今の僕たちは何か悪いことをしているか?」
そう聞かれたら、俺たちは返す言葉がなかった。実際、今の異能力政府軍は特別何かを起こしているわけではなかった。昔のようなデモも、虐殺も行っていなかった。
「図星を突かれた感じだな。結局は、過去の事をいつまでも引きずって、俺たちを悪者扱いし続けているのはお前達じゃねぇか」
「ただ、俺たちは世界の住民には一切手を出していない」
「はぁ?だからなんだってんだ。まぁいい。お前達は、俺と戦いに来たんだろ?だったら、相手してやるよ」
そう言われたので、俺たちは戦闘態勢にはいる。しかし、
「手加減は、しないけどね」
「・・・え?」
刹那、俺は何かに吸い込まれる。抵抗しようとしても、とっくに俺の体は言うことを聞かなかった。そうして、段々と視界は暗闇へと染まって行き・・・。
「うそ、でしょ?」
また、封印?なんで、なんで大和だけが。
「これで、最重要人物は処分できた」
「大和!!チッ。許さねぇ!!」
「おっと、無闇に動いたって、当たらなければ意味がないぜ?」
そうして、ラズが繰り出した攻撃はあっさりと交わされ、
「がはっ!?」
気づけば、蹴りをお見舞いされていた。
「なにするの!!」
「お前も、受けたいか?」
「え?」
その声は、気づけば背後から聞こえてきていて。そして。




