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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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もしも、生きていたら?

その日になるまで、俺はトレーニングを欠かさなかった。足手まといにならないように、とにかく動き続ける。

「はぁ。はぁ・・・」

これでも、体力は存分に増幅していた。まだ異能力を覚醒させていなかったときに比べると、明らかに体力も増え、同時に身体能力が爆上がりしていた。これで、すぐ死ぬことはないだろう。とは言っても、油断大敵なのは知っている。

それから、数時間が経過し、深夜に俺は学園の屋上に来ていた。俺は、ソレを吸いながら考える。いざ、こうやって空気を吸っているとなんだか世界が変わっているような気がする。なんとなく、昔の空気が漂っているような。

「そんな、不快な」

いずれ、またあの世に戻ってしまう。それは、俺だけでなく、世界中の人々にとって辛い世の中になるだろう。だが、その先にある明るい未来のためにも。そして、

「あいつとの、約束のためにも、な」

もし、これから起こる戦争で、俺が呆気なく即死してしまったら、俺は死後どんな顔をして会えばよいだろうか。もし、そうなったら彼女は何て言うだろうか。

「ろくでなし!!」

などと言われるのだろうか?

「あいつに限って、そんなことはないか」

俺の幼馴染だった真愛は、優しいという言葉が一番似合う人間だった。誰に対しても、分け隔てなく接して、悪義にはしっかり渇を入れることが出来て、また面倒見がいい。そんな、人間だった。だが、そんなやつが死んでしまったんだがな。

「あいつは、なにも悪くないというのに」

再度思う。いや、何度だって。その気持ちは変わらない。だからこそ、そんな彼女との最後のお願いを叶えるためにも、俺は世界を変えないといけないんだろう。そうして、俺が街を見渡していると、屋上のドアが開く音が聞こえた。そこに立っていたのは。

「まだ未成年だっていうのに、よくもそんなブツを吸い上げられるな」

「別に。俺の地位はたしかに高まったんだろ?だったら、問題ないじゃねぇか」

「まぁ、そうだな。現時点では、まだ実力主義の世界だからな」

故に、俺が未成年で煙草を吸おうと、なんの問題にもならないのである。

「それで、何しに来たんだ?」

「お前と同じで、煙草を吸いに来たんだ。ちなみに、お前とは違って成人しているからな」

「さいですか」

そんなことはどうだっていい。と、俺はそう思いながら、また煙草を口に運ぶのだった。


それから、数日が経過した。その間、訓練してはソレを吸い上げるの繰り返しだった。そして、敵軍の動きは見られなかった。

「正直、これは異例だ。そろそろ襲撃に来るかと思われたが、まだ動かないか。大和。スパイを行ったときにいつ襲撃をするかなどは聞かなかったのか?」

「そこまでは聞いてないっすね。あくまで、近いうちに最終戦争が開始するとだけ」

「困ったもんじゃ。まぁ、いつ襲撃が開始されてもいいように、準備は怠らないでくれ。以上」

とのことだった。これは、あえての作戦なんだろうか?数日行動をあらわにしないことによって、いつ襲撃に来るのか。または襲撃が来ないのかを戸惑わせる、心理攻撃なのだろうか。ただ、俺がスパイしたときにあの男は言っていた。近いうちに、襲撃を開始すると。まさか、あの時から勘づかれていた可能性が?いや、だったら即座に俺を始末していただろう。そんな考え事をしていると。

「大和」

「?あぁ、進治郎」

「何かお困りの様子だな」

「あぁ、少しな」

「なんだよ。何があったんだ?」

「いや、いつ、襲撃が開始されるんだろうか。と思って」

「たしかにな。思いの外、敵軍の行動は遅いようだね。おそらく、こういう駆け引きを行って、予想できないときに襲撃を開始するのかな?それこそ、深夜とかね」

「なるほど。しかし、これだけ待つ意味もあるのだろうか?」

「と、言うと?」

「あの組織は、結局俺がスパイだったことが暴けて、また俺は危険人物に戻った。そして、俺は組織から抜け出した。もし、俺らから行動を起こす。などとは考えないのか?まず、俺が抜けた時点で不利な状況にはなる」

「こういうのは、無闇に行動できないからね。とりあえず気分で行って、それで負けました。なんてなったら、あちらとしては都合が悪すぎる結果になるからね。あちらも、実力主義の世界を目指すために本気だ。だから、長い時間をかけて準備しているんじゃない?」

「なるほど」

だったら、言い訳が聞くかもしれない。たしかに進治郎の言う通りだ。互いに、この戦いでは負けられないからな。すると、進治郎が突然こんなことを訊いてくる。

「なぁ、大和。お前は昔、好きな人を失ったって言っていなかったか?」

「あぁ。言ったな。それがどうしたんだよ」

「お前は、もし生きていたら。なんて考えたことはないの?」

「そんな、考えたって意味がないだろ。だって、あいつは俺の目の前で殺されたんだ。だから、どう考えても生きているはずがないんだ」

言っている意味が分からなかった。生きている?そんなはずがない。すると、進治郎の口がまた開いた。

「この前、言っていなかったか?組織には、クローンを産み出す奴がいる。と」

「言ったが、それがなんだ」

「もし、そいつが大和の彼女のクローンを作っていたら?」

「それは・・・」

「もし、その場合、彼女は今どうなっているのか。その可能性が出てきたら、彼女がどこにいるか気にならないかい?」

「それが、なんだってんだ!!」

「彼女が、もし生きていたら・・・ね」

不気味な笑みを浮かべて、そして。

「きっと、魔改造されているだろうね」

刹那。

<<ドカーン!!>>

と、とても大きな音が鳴り響いた。そして、その方を見ると。

”学園の一部が、爆発されていた”

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