『IF』
刹那、会場の誰もが驚愕する声が響き渡る。それは、前代未聞だった。
「なんだ、それ」
前例のない、異能力。それが、展開。レベル2と言ったやつだ。
「こっちだって、プライドがある。流石に負けられないからね」
どうしたらいい?本にも、何にもそんな異能力は載っていなかった。本当に、打つ術がないかもしれない。
「死なないでよ?」
そうして、夢はそれを放つ。
「炎天散漫」
その瞬間、火玉が飛び散る。
「なんだこれ!!」
とりあえず、水系の異能力で相殺しないと!!
「無駄だよ」
「は?」
夢は、大きく手を翳して、思いっきり振り下ろす。
「着炎」
「あつっ!!」
何故、何故だ!!なぜ・・・
「相殺ができない!!」
たしかに、水の壁を張ったはずだ。なのに、どうして?
「説明することはできないね。わざわざ弱点を教えるほどのバカじゃないから」
考えなくとも、答えは出る。そう、展開だ。異能力の展開によって、異能力を無効にしている。ということだろう。ただ、それだったらレベル1の展開の方が強い気がする。その違いは、なんなんだろうか?
「まだ、序の口だよ」
「これで、まだだっていうのか?」
展開によって、相殺ができないなら、もう異能力を使うのは無意味だろう。ポケットから、ナイフを取り出す。
「そんなので、対抗できると思っているの?」
「わからない。けど、ないよりはましだ」
「ふーん。そう。まあ、無意味な争いを続けても意味はないままだわ。はやく、楽になりたいでしょ?だから、終わらせてあげる」
そういった瞬間、
「っ!!」
うごけ・・・!!
「爆壊!!」
あぁ。負けてしまった。その攻撃を受けて一瞬で、意識は暗闇へと引きずり込まれた。これまでに、強くなっているとは思わなかった。勝ちたかった。こいつにだけは、負けたくなかった。祈ろうにも、祈れなかった。ここは、所謂生と死の狭間だろう。なにもなく、なにもない。そんな空間だから。願うこともできない。もしもを、信じることもできない。そんな、幻想の世界。でも、ただ暗闇に取り残された俺は、その無い奇跡に祈って、告げる。
「もしもが、存在したら__」
戦いには、あっさり勝利をしてしまった。勝因は、私が展開のレベル2を極めたから。あれを発動したことによって、異能力は発動できるけど、効果は成さないという地獄を造り上げた。しかし、彼は一瞬で察知をしてしまうもんだから、簡単には壊れなかった。けど、
「なんとか倒れてくれて、助かったよ」
そうして、勝者が宣言される、その刹那。
「______」
さて。どうするか。展開の上限を越されてしまったもんだから、どう立ち回ればいいかわからない。しかし、やってみないとわからないか。この一撃に、全てを懸けよう!!
「っ!!」
思いっきり地を蹴り、そして、
「これで、終われ!!」
<<グサッ>>
そんな鈍い音が、響く。感触もある。流石にこれで・・・!!
「ったい・・・」
な、なんで。
「なんで、立っているんだよ」
不意を突いたのに。異能力を展開する素振りを見せて、途中でやめてナイフで隙を突いたっていうのに。これじゃあ、
「もう、無理じゃないか」
わりと強めに地を蹴ったもんで、肉体は悲鳴を上げていた。あぁ。失敗に終わったか。だったら、どうしたら。やっぱり、異能力を使うしかないか?いや、ダメな気がする。とにかく、決着をつけられる前に、なにかしないと。そこで考えた俺は。
「だったら、仕方ない」
もう本当に、全てに賭けよう。これで不発だったら、終わりだ。
「スーッ」
大きく息を吸って。
「なぁ、夢」
「なに。今は戦い中よ」
「お前は、初見には対応することができるか?」
「なに、いきなり。まさか、必殺があったりでもするの!?」
あぁ。そうだ。俺が、今までやってきたように・・・!!ここで、これを発動しよう!!
「IF」
刹那、違和感を覚える。その違和感を証明するべく、私は彼に向けて異能力を放とうとする。・・・しかし。
「なんで!!なんで、発動しないの!!」
展開したはずの異能力が、発動できない。どういうこと?私の展開で、異能力の効果は無効にしたはず。だというのに、どうして!!
IFとは、”もしも”という意味だ。だから、その名の通り、俺はもしもを産み出した。『もしも、異能力を使用不可にしたら』というイフを発動させることによって、彼女は異能力が使えなくなった。これで、展開の影響は受けないだろう。
「さて、ここからが本番だ」
異能力を使えるようになった今、ここで彼女を伐つ!!
「鋭利殺戮」
無数の槍が、彼女を襲う。これで、終わりだ。そう確信した瞬間。
「・・・はぁ、・・・はぁ」
「まだ、生きてるか」
中々しぶといやつだ。しかし、この一発で仕留められなかったのは、状況が一変する。俺のイフは、まだ一度しか適応しない。そうして、この一撃で仕留めることができなかった。とどのつまり、
「まずい」
あいつの体力が残っていたら、もしかしたらもっとやばいのを撃ってくるかもしれない。
「じゃ、じゃあ。今度はこっちの番よ。歯、食いしばってよ!!」
防御を展開しておく。かなり、体力を消耗しているようだ。これなら、勝てるかもしれない。と、そんな淡い期待を抱いた。その瞬間。
「フルフォール・セラット」
まずい!!それだけは・・・!!その瞬間。




