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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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まさかの・・・!?

それから、気づいたときには、カードは決勝まで進めていた。準決勝は階級は高かったが、難なく勝利を収めることができた。決勝は、誰と当たるだろうか?ラズ?それとも、他のSクラスほどの実力がある人間か?とにかく、決勝までのアナウンスを待つ。正直、奇跡だと思う。異能力も十分に備わっていない戦力の中で、俺は決勝まで勝ち進んだ。まぁ、何がどうであれ、勝ち進めた事実はかわりないが、本来僕の実力の程度であれば初戦敗退でもおかしくないほどだ。だから、俺がここまで勝ち進めることができたのも、運命が味方をしてくれたからなんだろう。すると、決勝を知らせる放送が流れる。

「お待ちかね。決勝戦を発表いたします。決勝は・・・」

そして、おれの名前が読み上げられる。のだが、その瞬間、対戦相手の名前を聞いたとき、俺は驚きを隠せなかった。

「大和、VS夢」

そう、対戦相手は、俺がよく知る人物である、夢だった。

「え?」

訂正される様子はない。なので、本当に対戦相手は夢なんだろう。でも、どうやって・・・?たしかに、準決勝までは、ラズは勝ち上がっていたはず。そして、俺の準決勝の相手はラズではなかった。つまり、必然的に夢は準決勝でラズと対戦していることになる。夢は、それなりの実力はあるが、それでもラズには劣る。実力の差が、ありすぎる。そんな中で、どうやって勝つことができたのだ?

「大和」

すると、聞き慣れた声が響き渡る。

「あ、ラズ」

俺は、問いただすことにした。

「お前は、何故準決勝で敗退した?ラズの実力があれば、十分優勢な試合だっただろう。だというのに、どうして」

「わしも、最初は勝てると思っていた。なんせ、相手はFクラス。勝ち上がっているにしても、所詮Fクラスだから。それに、この前会った時に感じたオーラと同じように、彼女からは強者の風格が感じ取れなかった。しかし・・・」

彼女の表情は、徐々にくもり始めながら、

「彼女は、試合の途中で急性の覚醒を起こした。それによって、流石に実力差はあると言っても、初見には弱かったのじゃ。覚醒を果たした彼女に、最終的に敗退をしてしまったのじゃ」

「なるほど」

それなら、負ける可能性が生まれてしまうのも、無理はないだろう。たとえ、どんな強者でも、少なくとも弱点は存在するのだから。

「だから、大和。わしから警告を出しておく」

そうして、彼女は告げる。その、警告とやらを。

「今のあの少女は、強すぎる」

と。

そうして、決勝の舞台に立って、俺は夢と向かい合わせに立っていた。

「まさか、お前が決勝に上がってくるとは思わなかったよ」

「それはこっちのセリフよ。かつて、無能力者と唱われた、そんな男が・・・異能力者の集う学園のトーナメントで、決勝まで進むなんてね。誰が想像できたことか」

脳内に、最終的にこうなると予想していたであろう人物を、二人思い浮かべる。あの人たちなら、絶対そうなると確信していたんだろうな。なぁ、Sクラスの最強と、学園長よ。

「はっ。まぁ、いい。折角本気を出す試合ができるんだ。互い、思いっきりやりあおうぜ」

「言われなくとも・・・・・・!!」

そうして、戦いの火蓋は切られる。先に動き出したのは、夢の方だ。・・・なるほど。初動は、遅めで行くか。まぁ、小手調べと言った感じだろう。それなら、俺はさらに威力を出して・・・

「ふんっ!!」

彼女の腹に、思いっきりの一発をお見舞いしてやった。しかし、防御を展開していたのか。

「ははっ。そんな程度?」

全く、聞いた様子を見せていなかった。感触はあったが・・・それなら、恐らく治癒魔法を展開していたのだろう。

「あぁー。厄介だな」

ラズは、たしかに言っていた。覚醒をした、と。もし、その覚醒によって、体力が向上したなら、もっと厄介だ。俺が知る限りでの、現在の夢の治癒魔法は、『回復魔法』までしか、解放しているのは知らなかった。だったら、一度調べを入れるとしよう。確実に、傷を入れる攻撃を打ち込んで、それで、確認をする。もし、傷が残ったのであれば、回復魔法まで。傷も消滅するのであれば、治癒魔法までとなる。そうなってしまうと、一番厄介ではあるが。とにかく、調べることとしよう。

「発動」

そうして、地面を思いっきり蹴りながら・・・彼女へ突進する!!避けられる可能性は、低い。それは、余程動体視力がよくないと、追い付くことができないだろう。そのようなスピードで、彼女へ接近する。右腕を大きく振り上げて、そして・・・。

「えいっ!!!」

その攻撃は、腹をめり込ませた。確実に、傷が付く攻撃だった。・・・しかし、彼女の体から、ジュー。と、何かが焼けるような音がした。そして、一瞬痛がりの表情を見せた彼女だが、やがて・・・。

「傷も癒えたか」

何事もなかったかのように、表情はもとに戻った。つまり、結果は、彼女は治癒魔法まで解放を進めた。なら、相当厄介だ。面倒な戦いになることが、予想される。長期戦にまで持ち込まれたら、敗けの確率が上がるだろう。なんせ、俺は体力がない。そうなってしまうと、異能力の威力も、弱くなってしまう。

「チッ。面倒くせぇ・・・」

そう、吐かざるを得なかった。

「それじゃあ、私からも攻撃をお見舞いしようか」

どんな攻撃がくるのか、と、身構えていると。

「展開。レベル2」

と、予想外の異能力を発動させるのであった。

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