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”無事”に何事もなく散歩を終え、俺は本を読んでいた。その本とは、異能力の詳細が書かれた本だ。別に、能力を手に入れて暴れ回りたいわけではないが、世界を変えるには、能力が必要となる。・・・・・・本によると、どうやら能力というのは家系によって代々引き継がれる”代能しろなう”という異能力があるそうだ。例に挙げるなら、その家の昔からの能力が、炎系の場合、その炎系の異能力が子孫へと引き継がれていくそうだ。また、それとは別の、自分で能力を覚醒させる”自醒じせい”というのもある。その名の通り、元々自分の体に宿っている異能力を、ある出来事を境にして能力を覚醒させること。らしい。そして、なにより、これが一番重要な異能力といっても過言ではないだろう。異能力は、元々2種類しか系統がなかった。先程挙げた、代能と自醒。・・・・・・しかし、昔存在した、”とある人物”がこの世界のバグとして産み出した異能力があるらしい。それは、自分のみしか所持しない、固有の異能力。勿論、自分しか所持しない固有スキルなので、体験談によると強力な異能力だそうだ。・・・・・・もし、これからも固有異能力を所持する異能力者が現れたら、世界を簡単に破壊することが出来るほどの破壊力になるのだとか。それが、第三の異能力だ。謎の、『世界最強』が産み出した・・・・・・固有能力。この本を読んで、俺はそれに憧れを抱いてしまった。今では”幻”と唱われた、固有スキルに。・・・・・・ちなみに、その謎の人物についての紹介をするとしよう。名前は分かっておらず、当時は仮面を着用しており、誰一人も彼の素顔を見たことがないだとか。そして、どの年代になっても目撃情報が相次いでいるので、噂では『不死身』ともいわれている。・・・・・・まさに、バトル漫画で出てくるような完璧超人だった。しかし、ある日突然、誰一人として目にすることがなくなったそうで、そこから現在までの約50年、未だに消息が不明なのだとか。世界最強がいなくなると、誰が世界を治めるのだろうか。一応、こんな異能力の世界にも政府は存在する。世界異能力政府軍と、その異能力の世界に反対する反世界異能力政府軍。その二つの政府が存在するが、どちらもほとんど意味がなかった。存在するだけで、どちらも何も行動を表さない。ただ、立場が上な人間だけが集っている。

「やっぱり、この世界はクソだ」

きっと、子供の頃の真愛も、それを察していたのだろう。・・・・・・俺は、

「好きな人の約束を守るためなら・・・・・・」

 次の日、俺が何事もなく学校へ登校した。・・・・・・はずなのだが、なにやら、様子がおかしい。いつもは賑やかな雰囲気が漂う学園なのだが、今日は朝から騒がしい。周りから、ちょくちょくこんな言葉が聞こえてくる。

「裏切り者!!」

「お願いだ!!殺さないでくれ!!」

・・・・・・と。必死に命乞いをする奴もいれば、大ブーイングを浴びせる奴も・・・・・・。その様子が気になった俺は、親友である進治郎に話を聞くことにした。

「なぁ。なんでこんな騒いでるんだ?」

「なんでって・・・お前、まさか気づいてねぇのか?」

「なんだよ。気づいてないって・・・・・・」

親友が意味の分からないことを言っていて、俺は終始戸惑う。

「じゃあお前、昨日の夜、なにしていた?」

「なにしてたって・・・普通に散歩しているだけだったけど」

「道中、誰かに絡まれなかったか?」

確かに、能力者のみが通う学園に通っている生徒に絡まれたことはあったが・・・

「まぁ、そうだが。それがどうしたって言うんだ?」

「この学園に通ってる奴が、お前が能力者を能力で返り討ちにしたっていう目撃情報が流れているんだ」「・・・・・・は?」

意味が、分からなかった。確かに、昨夜散歩に出掛けてその道中に不良に絡まれることはあった。そこから記憶はないが・・・・・・しかし、その後は何事もなく帰ったような気がするが・・・・・・。

「デマじゃねぇの。そんな情報」

「でも、目撃者が出ているんだ」

「逆に考えてみろ。無能力者で有名な俺が、異能力者をどうやって倒すんだ?」

「・・・・・・たしかに」

「検証だってされた。全世界に公開された。未覚醒の、異能力すら持っていないって。・・・・・・だというのに、俺が能力を覚醒させただって?・・・・・・有り得ない」

「確かに。よくよく考えてみればそうだな。お前が、異能力を引き出せるわけ無いもんな!!」

しかし、この噂はどうしたらよいものか・・・・・・。流石に噂がここまで膨れ上がってしまったら、教師達もいずれ耳にするだろう。・・・・・・そうなってしまったら、俺の平穏な学園ライフが、早くも終わりを告げてしまう。・・・・・・そうなる前に、なんとかしてこの噂を終息させたいところである。そうして、俺が噂を終わらせるための説得方法を考えていると・・・。<<ピンポンパンポーン>>と、学校中に放送のチャイムが鳴り響いた。

「1年生の夢叶大和君。至急、学園長室まで来なさい」

と、明らかに噂についての話である校内放送が流れるのであった。

「あぁ。終わった・・・」

「大和。頑張ってこい」

「あぁぁ~~」

何故、朝からこんな騒ぎにならないといけないのだ。と、肩を落としながら学園長室まで向かうのであった。

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