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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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魔術展開

それから、特に何かあったわけでもなく、俺も、そして夢も、順調に勝ち進んでいた。他のFクラスは脱落していったというのに、少数のFクラスが生き残っていることが、他のクラスからしたら驚かずにはいられない事象らしい。まぁ、そりゃそうか。最弱のFクラスが、勝てているんだから。たまたま、運が良かったとしても、カードはもうすぐ準々決勝になる。流石に、ここまでくるとAやSクラスの人間がわんさかといた。

「流石に、そろそろ厳しくなってきたかもね・・・」

夢も、なんとか異能力を駆使してここまで勝ち上がってきた。1日一戦、とは言っても、夢はまだしも、俺や他の奴は体力が回復するのにも時間がかかる。そこで、俺はとあるアナウンスに興味を惹かれた。

「続いては、~VS」

そして、その名前が読み上げられる。

「ラズ」

「お、あいつが戦うか」

忘れている人も、少なからずいるだろう。ラズとは、俺が一時期牢獄に収容されていたとき、話し相手になってくれたSクラスという、最強クラスに座っている奴だ。そのラズの戦いが気になった俺は、観客席から見守ることにした。

「ふ~ん。無能じゃないのね」

そんな、少し残念そうにした声色で、そこからやる気のなさが滲み出ている。しかし、開始の合図が出された、その瞬間。


「え?」

誰もが、彼女の姿を目で追うことができなかっただろう。その瞬間、彼女の姿が一瞬にして消え、対戦相手の男は気づけば倒れていた。戦闘不能、と確認された男は、あっさりと負けが決まってしまった。

「ど、どういうこと?目で、追えなかった」

あれが、最強のSクラス。彼女は、俺を強者と認識するが、そこには差が大きく開いている。

「まったく、本当に狂ってる」

流石の実力に、俺は苦笑を浮かべることすらままならなかった。そうして、その戦いは、一瞬の時を経て、幕を閉じた。

そうして、俺が自室でダラダラしていると、俺の名前が読み上げられた。

「あー。次か」

正直、まだ体力は回復しちゃいなかった。お願いだ。強い奴こないでくれ。と、願っていると・・・

「FクラスVS”Jクラス”」

と、その、聞いたことのない階級が読み上げられた。

「J、クラス?」

果たして、それは一体どのようなクラスなのか。好奇心と同時に、不安に駆られる。

「ま、まぁ。戦ってみないと、わからないよなもしかしたら、めちゃくちゃ弱いかもだし」

そんな淡い期待を抱きながら、俺は恐る恐る闘技場へ向かうのだった。

そうして、相手の姿を視認したが

「・・・」

何故か、その男は仮面を被っていた。何故だろうか。見られたくない事情でも、あるのだろうか?そうして、開始の合図が宣言される。まずは、様子見だ。一応、防御を展開しておいて・・・


刹那、とんでもない轟音が響き渡る。その音がした方に視線を飛ばすと、気づけば対戦相手は壁に激突し、やがて横たわった。なにがあった?まったく、見えなかった。

「う、うぅ・・・」

その男は、唸り声をあげる。すると、その男の姿が、豹変する。

「う、うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「!!!なんだあれ!!」

突然その男が、火だるまへと変化した。その表情を見れば、朱色あかいろに染まった炎に包まれながら、目は白目を向き、その目から涙から溢れ出ている。ほんとうに、どうしたんだろうか?すると、

「うわぁぁぁぁぁ!!」

「まずい!!」

突然、火だるまになった男が、こちらへ急接近してきた。それをなんとか交わし、まずは炎を止めるために、相殺異能力を発動する。

雨滝うたき

空から大量の水が、その男を一点集中して降り注ぐ。やがて、その男は避けることもなく、その異能力は直撃する。

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

そんな、悲しさが入り交じった叫びが、ジュウジュウと炎が鎮火する音と同時に響く。相変わらず、その目は白目を向き、泣いていた。段々と、見ているとかわいそうになってくる。しかし、ここで感情的になってはいけない。そして、炎は鎮火したと思われたが、再びまた燃え盛った。わからない。どういう構造なのか。わからない。まず、謎が多すぎる。聞いたこともない、Jクラスに、突然火だるまになった男、そして、鎮火してもまた燃え盛った炎。挙げれば、キリがないほどに謎が湧き出てくる。あちらから攻撃されることがないから、どうした方がいいのか。と、考えていると。

「う、うわぁぁぁぁ・・・」

ずっと叫んでいたその声が、突然声量が抑えられる。なんだ?なにか始まるのか?様子を伺って、数分。

「スーッ。スーッ」

その男は、炎が鎮火すると同時に、眠りについてしまった。

「え?・・・えぇ?」

戦闘不能、になったのだろうか?息はしているが、動き出す感じが取られない。

「これは、どうなるんですか?」

「いや、私たちもわからない。しかし、動き出さなくなったから、戦闘不能、という処理でいいと思う」

そうして、審判は数分悩み、

「証拠として、未だに眠り続けている。動き出す余地がないと見て、夢叶大和の勝利」

と、そう宣言された。刹那。

「魔術、展開」

と、その一言が、静寂に染まりきった闘技場に、響き渡るのであった。

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