なんで・・・?
刹那、会場中の全員の驚きの声が響き渡った。俺だってビックリだ。だって、あんな場面から、生き残ったんだから。しかし、それには訳がある。
「な、なんで死んでないんだよ!!お前!!俺は、たしかに殺したはず。そんな感触がしたっていうのに。なんで」
みんなも気になっているだろう。なんで、俺が死んでいないのか。それは、咄嗟に発動した異能力があるから。学園長も言っていただろう。人間は、窮地に立つと、異能力が覚醒しやすい。と。だから、俺は学園長のその言葉を信じて、頭のなかで異能力を想像した。結果、俺は最終的には生き残った。でも、俺が発動した異能力は・・・。まぁ、それはまたの機会に明かすとしよう。そんなことよりも、だ。
「お前、俺を殺そうとしたな」
「あ、あぁ!?だからなんだってんだ!!」
だったら、と付け加えて、俺は学園長に問う。
「学園長。こいつは、俺を殺した。その結果、どうなった?」
「勿論、殺しはルール違反じゃ。勝ち負けなく、退学にした」
「だったら、どうせ退学は決まっている。なぁ、学園長。俺は、」
そして、その男が体を震わせるような発言をする。
「こいつを、殺してもいいか?」
「うーん。たしかに、退学にはしたが、この世界の法律では、弱者が強者を殺してはいけないだろう」
「いや。俺は強者だ。だって、こいつはルール違反を犯してまで勝とうとした弱者だ。それでも、殺しはだめか?」
そんな屁理屈を言うと、学園長は仕方がない。と言った表情をして
「許可する。例外じゃ。この戦いでのみ、この男の殺害を許可する」
「せんきゅっ」
そうして俺は、その男に向き合い。
「覚悟はできてるか?カスが」
「お前、格上に偉そうな態度を取り上がって・・・。なら、格の違いを見せてやるよ」
「そりゃどうかな」
手招きをすると、その男は一瞬にして目の前から消えた。でも、わかる。わかるぞ。その移動する影が、見える。そうして、タイミングを見計らって・・・
「ふんっ!!」
「グハッ!!」
突進してきたそいつに、軽いパンチを食らわせた。
「な、なんで」
「だから言っただろ。覚悟しろって」
「な、なら!!」
そうして、その男は構える。
「生成」
その手には、ロープが生成されていた。
「それで、どうするんだ?」
「どうするってな・・・。こうだよ!!」
この速度なら、簡単に・・・
「!?!?!?!?」
まずい。隙を・・・!!
「っ!!」
「はっ。どうだ。縛られる気分はよ」
「最悪だよ」
突然、その縄は跡形もなく消滅した。かと思えば、気づけば俺はその縄に縛り上げられていた。
「くそっ。面倒くさい奴め」
「俺だって、Sランクとして負けられねぇんだよ」
そんなことよりもはやく、この拘束から抜け出さないと!!ポケットから、ナイフを取り出す。これで、切れればいいが・・・。
「だめか」
流石に、異能力のロープであるため、切断は困難だった。だったら、相殺しないと。でも、この異能力の元はなんだ?それがわからないと、相殺ができない。そうしているうちに、
「炎」
「うぐっ!!」
拷問を、受けている気分だった。なんで、俺は一回殺されたのに、こんな思いをしなくちゃいけないんだ。もこもこと、怒りが込み上げる。異能力が直撃する痛みと、情けなさで。段々と、正常じゃなくなる。あぁ。もう。なにも考えられない。それなら、俺は・・・。
結局、大口を叩いたその男は、ただの落ちこぼれでしかなかった。最初こそ焦ったものの、結局はこいつの実力はFクラス。なんてことない。もう、俺の退学は決まってしまった。なら、最後くらいはもう、暴れよう。こいつを、殺しちゃってもいいや。そうして、俺は放つ。
「メイクフラッシュ」
刹那、俺は異能力を放つ。
「肉体強化。レベル2」
同時に、俺は地面を強く蹴って、そいつへと突進する。
「小惑星」
その攻撃は、そいつの腹に直撃する。
「グハッ!!!!!!」
宙を舞って、そして、
<<バチーン>>
「がぁっ!!」
「これ以上、抵抗するか?」
「っ・・・」
「これ以上、まだ動くってんなら」
ポケットから、ナイフを取り出して、そして、そいつの額にナイフの先端を突きつける。
「本当に、殺すぞ?」
「ひ、ひぃっ!!」
「さあ、選べ。死ぬか、降参するか」
その男は、考える間もなく
「降参だ!!降参する!!敗けだ!!俺の、完封負けだ!!」
と言って、そいつは走って逃げていってしまった。
「ゴホン。改めて、勝者、大和!!」
その名があげられた瞬間。
「うおーーーっ!!!!!」
と、一気に歓声が沸き上がる。
「Fクラスが勝ったぞ!!」
「よくやった!!無能!!」
そんな歓声に見送られながら、俺はそこを後にするのだった。
そして、俺が廊下を歩いていると。
「ねぇ、どういうこと?」
そこには、見慣れた少女が立っていた。・・・そう。夢だ。
「どういうことって?」
「たしかに、あなたは殺された。はずなのに。なんで生き返ったの?教えて?その答えを」
答えは、俺しか知らない。こいつだったら、それを明かしてもいい。と、一瞬思ったが
「世の中、知らないこともあった方が楽しいぞ」
と、言い残して、俺は自室に戻るのだった。




