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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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効かない

そうして、零距離でその異能力を放ったが。

「え?」

たしかに、その異能力が被弾した感触はあった。だと言うのに、何故・・・。この男はダメージを受けていないの?防御の異能力でも展開していたか?あのまま突っ立っているままなら、その可能性は十分あり得る。しかし、私の放った異能力は、肉体強化を使用しての攻撃だった。余程防御能力に長けているならまだ説明はつくが、それでも多少衝撃があってもおかしくない攻撃だった。だったら何故。

「なるほど」

とその男は言って、頷く素振りを見せた。まずい。今の攻撃で何かを掴まれたか?いや、そんなことはどうだっていい。とにかく、勝つために早く手を打たなければ・・・!!そうして、また私は動き出す。素早い速度で彼との距離を縮め、その勢いのまま放つ!!

拳は、たしかに直撃をした。だが、またその男はびくともしない様子だった。なんで?あの威力であれば、流石に防御に長けていても攻撃を食らうはず。それとも、私が威力を錯覚しすぎているのか?だったら、どうしたら。そうしているうちに、

「充電完了」

そう、男が言葉を発した。その言葉で、全てが繋がる。彼が動かなかったのも。攻撃が通らなかったのも・・・。言葉通り充電が完了したその男は、明らかに様子が変わった。

「女の子にしては、凄まじい威力だったね。けど、ここからは俺のターンだよ」

刹那、後ろの壁が爆発する!!

「なに!?」

私がそっちに気を取られていると・・・。

「ぐっ!!」

しまった!!突然の爆発に注目してしまって、完全に油断をしてしまった!!私の急所に差し込まれた攻撃によって宙を舞う。なんとかして、受け身を取らないと!!

「中々手痛いわね」

最小限のダメージで抑えることはできたが、それでも相当なダメージを負ってしまった。このままだと、確実に負けてしまう。だったら、どうすれば。治癒魔法を発動しながら、考える。しかし、

「なるほど。そうやって傷を回復させることが出来るのか」

「っ・・・」

一番バレてはいけない事がバレてしまった!!治癒魔法は、いくら傷を回復させることが出来るとはいえ、流石に重傷を負えば全部を回復させるのは厳しい。それに、異能力は発動すると同時に体力も食う。だから、こうやって治癒するのにも限界があるのだ。どちらにせよ、逃げ回るだけであったら確実に勝つことが出来ない。だから、私の勝ち筋は、相手に重傷を負わせる攻撃を放つこと。でも、できるのだろうか?先程は、充電中だったとはいえ、ダメージ一つ与えられることが出来なかった。そして、充電が完了した今、ダメージを叩き込めることが出来るか?彼の今の状態は、フルパワー。つまり、充電中よりも更に耐久性がある。そんな彼に、異能力は叩き込める?・・・いや、やってみないと分からないか。それなら、私は・・・。そうして、再び動き出す。さっきと同じ異能力じゃ、確実に受け止められてしまう。だから、また別のパターンの異能力を展開しないといけない。が。私に、これ以上未使用の異能力は備わっていない。肉体強化を更に固めるか?そうしているうちに、

「まずい!!」

咄嗟に防御を展開する。

「はぁ・・・はぁ・・・」

彼の攻撃は凄まじい。なんとか受け止めることはできるが、異能力を展開したことで、体力切れが近づいてきた。まずい。時間がない。体力は、治癒魔法で回復させることは出来るが、今の私はそこまでの領域に達していない。もう、どうしたらいいかなんて考えている時間もない。残された手段が残っていない。体力も限界に近く、攻撃を当てようにも少ない体力じゃ、少量の威力しかでない。長期戦に持ち込もうとも、体力が先に切れてチェックメイトだろう。負けを認めるか?いや、それなら。

「壊れるまで、戦い続ける!!」

「よく言った。俺としても、そっちの方が快い」

だったら私は、負けてもいいから。と、そうして最後まで戦い抜く・・・!!


「その選択を取ったか」

あいつ自信、分かっていて取った行動なのだろうか。彼女には、いろんな選択が残されていた。そんな中、彼女は、戦い続ける選択を取った。

「こりゃあ、また面白い展開になりそうだな」

言えば、彼女の状況は、危機だ。そして、学園長が言っていたことが全て繋がれば、そのうち彼女は新たな力を手に入れるだろう。そうなったら・・・現在劣勢の夢が、逆転して優勢になり得る。この戦いは、弱者にとっても面白い試合になりそうだ。

「がんばれ。夢」


それから数分、私は逃げては軽いパンチを入れる動作を繰り返していた。

「はぁ。はぁ・・・」

段々と息切れは激しくなっていく。一方、この男はまったく息を切らしていなかった。

「どうしたら・・・」

「なぁ。少女」

「なに」

「息切れもしているのに、戦い続けて。そして、逃げても多少はダメージが入り続けて。辛くないのか?」

「そりゃあ辛いよ。けど、最後まで戦うって決めたもん。だから、どれだけダメージを負っても、息が切れても、戦い続けるの」

「そうかぁ~。それがお前の価値観か。俺とは真反対だ。俺も正直、もう戦うのには飽きてきた。なぁ。再度問う。これ以上、戦っても意味あるか?」

その問いに私は・・・。

「もちろん。あるとも・・・!!」

と、そう力強く返した。すると。

「はぁ。めんどくせえ。これだから弱者は、諦めが悪いんだよ。もういい。早く終わらせるためにも・・・」

そうして、その男は告げる。

「展開」


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