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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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結果の行く末は

目が覚める。いや、何故俺は眠っていた?そうして、考えて、やがて思い出す。

「バッジは!!」

思い出した記憶の中には、最強と戦った記憶が残っていた。そうして、それから4時間ほどが経っている。あの男が全部奪っていないとしても、バッジがなくなっている可能性がある。そして、残り時間は30分。今、飛んでもない焦りを感じていた。どうかあってくれ!!と願いながら、バッジを保管していた場所に確認しにいくと・・・

「あれ。ちょっとしか減っていない」

数は元あった20個から、4個減った16個へとなっていた。こんな長い間眠っていて、奪われた数はたったの4個?意味がわからない。普通なら、一人でもライバルを減らすためにバッジを全部奪っていくだろう。だと言うのに、

「何が目的なんだ?」

分からずじまいだ。まぁ、幸運だとでも考えておけばいいだろう。残りの30分を生き延びれば一次試験は合格となる。そうして俺は、身を潜め続けるのであった。

それからなにかあったわけでもなく、そのまま30分が経過し、試験が終了してしまった。結果は、条件のバッジ数を越えた数を所持していたので、合格。Fクラスの中では、数少ない合格者となった。次の試験まで、丸一日。次の試験は、トーナメントだ。一人一日一試合開催される。そして対戦相手は、完全ランダム。つまり、強者と当たる可能性があるのだ。そんな俺は、寝る間も消費して異能力を鍛え上げないといけなかった。

「っ・・・」

少し、体が痛む。が、こんな程度じゃ初戦敗退でもおかしくないだろう。そうして、鍛練を続けていると。

「少し、時間があるか?」

と、一人の人物に呼び止められる。

「えっと。まぁ、はい」

「わしは、学園の長なのだが」

「えぇっと」

学園の長・・・。つまり、学園長?

「学園長が、どうされました?」

「お前さん、最近入学したばかりのFクラスの人間じゃったな。たしか名前を・・・無叶大和と言ったか」

えっとまぁ。よくご存知で。

「そうですけど、どうしました?」

「いや、少し気になってね。ちょっとお話を。とでも思ったんじゃが、流石に時刻は0時を上回る時間帯じゃし、そろそろ就寝か?」

そこで俺は少し悩んだ。たしかに、学園長の言うとおり、気づけば日を越していた。トーナメントは朝の5時から行われるから、実践のために体力を蓄えておかないといけないのだが、学園長のお誘いとなると、否定しづらい部分もある。少しどうしようかと考え、やがて、

「いえ。時間には余裕があります」

「そうか。それじゃあ、少し学園長室へ来てくれ」

と、そう言い残した学園長に、俺はついていくのであった。

「そうして、話したいこととはなんですか?」

やや緊張しながらも、俺は学園長にそんな質問を繰り出した。

「なぁに。そんな緊張するでない。ただの世間話じゃ。そうじゃな。お前さんは、つい先日までは巷では有名な無能力者じゃったな」

「えぇ。まぁ。はい」

ちょっとコンプレックスになりつつあるぞ。その過去は。

「噂に聞くには、今後異能力を覚醒させることがないと断言されていたが、お前さんは覚醒してみせた。そこで疑問に思ったのじゃが、何故覚醒させることが出来たんじゃ?」

「正直言ってしまえば、おれも何故覚醒できたかは分かりません。そして、初めて異能力を使用したときも、どんな異能力を使ったかわかりません。ただ俺に残ったのは、その『異能力を覚醒させた』という事実だけが残ったんですよ。だから、自分自身でもなんで異能力を覚醒できたかは分からないんです」

「なるほど。お前さんは、一番人間が異能力を覚醒させやすいときって、どんなときか分かるか?」

「いや、わからないです」

「ならば、教えてやろう。人間は、死に関わる危機を感じたとき、またはどう手を打ってもその状況を切り抜ける手段がないときなど、そういったときに、異能力の覚醒は突然起こる。突然起こってしまえば、それは初見殺しじゃ。そうじゃろ?」

「はい。そうですね」

「そして、先ほどわしが述べた、異能力が覚醒しやすいとき、それとお前さんの異能力の覚醒を照らし合わせてみたんじゃ。お前さんは、そのような危機に瀕したことはあるか?」

勿論、異能力を覚醒させたときの出来事は覚えている。少し振り返ろう。俺は、夜風を浴びるべく散歩をしていた。すると、見知らぬ男がやって来て、そいつは今俺が通っている新聖学園の生徒だったそうだ。そんな異能力者に絡まれて、次第に攻撃を繰り出されていった。そこまではしっかりと覚えていた。が、それは危機的状況に値するのだろうか?

「ないと言えば、嘘になるかもしれません。けど、それが危機的状況なのかと問われたら、そうだとも言えないですかね」

と、そんな微妙な返答をすることしか出来なかった。

「なるほど。つまり、結局は謎のまま。ということじゃな」

「まぁ、そういうことになりますね」

「まぁ、その謎は追々解明していくとしよう。で、だ。お前さん、一次試験のときに、とある最強と対峙しなかったか?」

「あぁ。いましたね」

結局あの男のことは謎のままだ。俺と戦って、勝ったというのにバッジの数は最低限の数しか奪っていかなかった、あの男が。

「その男がどうしたんですか?」

「あいつ、実はSクラスの人間なんじゃが」

どうりで強いと思った。すると、学園長はこんな事を口にする。

「お前さん、また異能力を覚醒させたのか?」

と。

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