彼女の名前は
「夢、か」初めて聞く名前だったが、どこか聞き馴染みのある名前だ。なんだろう。この感覚は・・・。まぁ、なんだっていいだろう。軽く説明をすると、俺たちはこの一週間試験を行ってきた。そして、俺は無事この試験に合格することが出来て、単位を得ることが出来た。まぁ、得てなんの意味があるんだって話。ちなみに、明日は試験の翌日ということで、Fクラスは自由登校になっている。
「なぁ。夢」
「いきなり名前で・・・。まぁいいや。どうしたの?」
「明日って自由登校じゃん。夢は登校するのか?」
「当たり前でしょ。何のために学園に通っていると思っているの。そういう貴方は、明日登校しないの?」
「勿論するさ」忘れかけている人もいるかもしれないから一応説明を挟むとしよう。俺は無能力者として有名なのだが、つい最近、俺は異能力を覚醒させてしまった。そんな俺は、昔幼馴染みと交わした約束を達成するために、この学園に通っている。その約束とは”世界を救うことだ”そう簡単な話ではない。勿論それには、強さがないと叶わない。この異能力に染まりきった世界を、変えるなんて不可能に近い話だ。でも、好きな人と交わした約束なんだ。男として、守らないとは言えない。だから、俺は日々の授業も怠らない。
「貴方って、どうしてこの学園に通っているの?」
「あー。えっと」正直この話はあまり公言したくない。もしこいつが異能力主義の思想だったら、論争が起きるのは目に見えてわかる。だから言おうか悩んでいるのだが・・・今のこいつの目は言って欲しそうな目をしている。うぅ。そんな目をしないでくれ。その目はずるいだろ。と思ってしまうが、さすがに言うことはできない。から
「わりい。その理由を話すことはできない」
「んー。まぁ、気になるけど、あまり人のプライベートには入り込まない方がいいよね。わかった。なら、いつかその理由を聞ける日が来ることを願っているよ」
「申し訳ないな」
「謝らなくてもいいよ」
にしても、しばらく暇だな。今日のところはもう寝るとしてもいいが、まだなにか物足りない。と言っても、体には一週間分の疲れが蓄積している。寝るか、起きるかを悩んで・・・
「寝るか」と、そう結論付けるのだった。
翌日、いつも通り学園へ登校すると、教室内に人はあまりいなかった。いるのは、両手で数えられる程度。やはり、みんな試験のあとだからゆっくり休みたいのだろう。
「っと。おはよう。夢」
「ん。おはよう」
「ちゃんと来たんだな」
「あなたと違ってね」
「俺も来てるっての・・・」さて。登校してきたのはいいが、こんな人数が少ない中で授業をするのだろうか?と、考えていると。
「席に着けー」
「おっ。教師がやってきたな」
「まあ流石に人数は少ないか。それでも、試験の翌日に出席した奴らは凄いぞ。まぁ、出席したお前らには少しだけ単位を加算してやろう」
え。やった。
「それで。だ。出席者は少ないが、いつも通り授業は行う。欠席者より多く授業できることを光栄に思うんだな。ってか、無能、お前来ていたんだな」
「いい加減無能っていうのやめてくれないすかね」いやまぁ、間違いではないのだが・・・。
「てっきり。お前は適当な理由を自分に言い聞かせて、休むと思っていたが。案外真面目なのか?」
「まぁ、そうっすね」
「そんなことはどうでもよく。だ」言い出しっぺが。
「授業を始めるぞー」そうして、いつも通りの授業が始まるのであった。
ただ、授業内容は本当にいつもと変わらない内容だった。能力の基礎や、体力の付け方。など。そんな基礎的能力の話ばかり。流石に、毎日そんな話を受けているから飽きがやってこないはずもない。一週間分の疲れもあって、少し眠くなって・・・・・・。
「・・・い」
「zzz」
「おい。起きろ」
「いたっ!?なんなんだよ。いきなり」優雅に眠りについていたら、突然夢に起こされた。全く、邪魔しやがって。しょうもない話題だったらただじゃおかないぞ。
「いつまで寝ているんだ。もう授業は終わったぞ」
「え?」そう言われて窓の外を見渡すと、辺りは夕日に染まっていた。
「あ。本当だ」
「無能なくせに授業も聞かないって、どんな態度しているのよ」
「いや、だって、眠かったんだもん」
「だってじゃない。強くなりたいんでしょ?だったら、真面目に授業を聞きなさい」
「お前は俺の母親かよ」いやまあ、間違いではないんですけどね?
「ほら。そろそろ帰りなさい」
「夢はどうするんだ?」
「少しだけ残る」
「なんだ。見られたくない用事か?」
「まぁ、それと言ったところだよ」
「なら仕方がないか。じゃあな」
「うん」
本当は、もう少し夢と話して帰りたかったところだが、どうしても見られたくないって言うなら、流石に見るわけにはいかないだろう。そうしておれは、寮へ向かうのであった。
それから少し隙間時間が出来たので、おれは異能力の鍛練を積んでいた。確かに、今の俺は無能だが、世の中にはこんな言葉もある。「塵も積もれば、山となる」文字通り、小さな積み重ねも、いづれは大きなものとなる。ということだ。俺はその言葉を信じ続け、練習を怠らないようにしている。たとえ、今は蝋燭の炎程度しか放てなくても、練習を続ける。
「っと言っても、まだまだだなぁ」
練習を続けたお陰で、多少の基礎は身に付いたと思う。が、まだ体力が少ない。これじゃあ、異能力を使ったらすぐに息切れを起こしてしまうなぁ。
「はて。どうしたものか」
今日も今日とて、強くなるために悩み続ける日々であるのだった。
ご読いただきありがとうございます。長らく投稿が止まってましたが、訳を説明します。
5月12日に部活の大会があって、14~16まで修学旅行に行ってました。そして18日にまた大会に行ってきて、現在はテスト期間です。言い訳ではありますが、少し忙しい日々だったので、あまり書く時間がありませんでした。
不定期になりつつありますが、今後ともよろしくお願いいたします。