同棲!?
「生活するって、どういうことだ?」
先程、彼女は一緒に生活をしないかと申し出てきた。意味がわからない。彼女の話を要約するとしよう。先日教師から伝えられたルールに違和感を持った彼女は、最弱の俺から食料を奪おうとした。しかし、突然何を思ったのか、俺を救おうと思ったらしい。本当に何を思って。なんだ。
「よく考えてみなよ。この島には、全員が一週間満足して食べられる量の食料はない。だったら、争いあって奪うよりも、協力して生活した方が全然よくない?」
「確かにそれはそうだが、それはそれで考えが甘いんじゃないか?」
「それはどうして」
「確かに、協力して生き抜くというのも両者ともに得する策ではある。しかし、この世はそう簡単には行かない。何故なら、異能力が当たり前の世界だからだ。この異能力に対して不満を持つ人間は多数いるが、それ以上に異能力を好んで使う人間も多い。そんな世の中に、裏切りがないわけがないだろう」
「言われてみればそうかも。でも、それは貴方だからなんだよ」
「は、はぁ・・・・・・」
「貴方って、無能で有名な学園の最弱でしょ?」
酷い言いようだな。いやまぁ、間違ってはないが。「そんな最弱の貴方が、私に楯突いたところで、勝てるの?」
「それは・・・・・・そうだな」ここで言い返したいところだが、事実を言われてしまっては、返す言葉もない。
「だから、私は貴方を信頼するの。どうせ寝込みを襲ったところで、私には勝てないし」
「そ、それは、やってみないとわからないだろ」
「分かるから言ってるんでしょ。ほら、つべこべ言わずに、貴方としてもそっちの方が楽でしょ?」
無論、その話は俺にとっても損はない話だった。一週間食事の量は少々減ってしまうが、争いに発展してあっさり負けるよりかは、ずっといい話だ。この女からは、裏切ろうというオーラは感じない。俺が言った通り、こんな世界だからあまり人を信用しない方がいいが、何故かこいつは嘘を付かないような気がする。だから俺は、そのお誘いを承諾するのであった。
彼女にそうお誘いをされてから、初めて一夜を越した。彼女の宣言通り、本当に一緒に生活をするつもりらしい。警戒を施しながら眠りについたが、彼女から不意打ちをされることはなかった。
「貴方に襲われなくて安心」
「そりゃこっちの台詞だ。特に俺は、お前を襲ったところで勝てない。それに対してお前は、俺よりも強い。だから、俺を襲おうと思ったら簡単に襲えるからな。全く、寝ている間も警戒をしないと行けないから、全然寝れなかったじゃないか」
「そういうわりには貴方、ぐっすり眠っていたわよ」
「え、うそだろ?」そんなはずはない。だって、いつもより眠いし。
「本当だよ。でも、いい経験が出来たんじゃない?」
「それはどういう」
「貴方、今まで寝るときに一切敵を警戒したことなんて無いでしょ?」
言われてみれば、そうだな。
「確かに貴方はぐっすり寝ていた。けど、そんな貴方から微かな殺気を感じた。そんな経験、初めてでしょ?」
「あぁ。たしかにそうだ」じゃあ、警戒をすることが出来ていたのは、嘘じゃなかったらしい。一つ、異能力者として進展できたんじゃないだろうか。
「さて、そんなことはおいておいて。食料を確保しに行くぞ」
「まてまて。こんな朝早くに?」
「当たり前だろ。朝早くだから。だ。いまの時間帯は、ほとんどの人が寝ている。つまり、活動が少ないということだ。食料を確保するチャンスは、今しかないだろう」
「な、なるほど」
「そんなこともわからないの?貴方、実力だけじゃなくて、知識まで最弱なんだね」
そんな煽りを受けるが、俺はなにも言い返せず、「悪かったな」と、そんな返事をすることしか出来ないのであった。
外に出て食料を探しているときに思った。確かに、活動量は少ない。かれこれ20分ほど探索を続けているが、誰一人として鉢合わせをすることがなかった。お陰で、快適に食料調達をすることが出来た。
「そっちはどれくらい集まった?」
「結構集まったよ。1日食べれる分くらいには。そっちは?」
「わりと探したんだがな。思った量は見つからなかった。朝御飯程度の量だな」
「んー。おかしい」その時、何を思ったのか、彼女は自分の顎に手をおいた。
「なにがおかしいんだ?」
「いや、昨日食料を確認したときには、少なくとも4日分の食料は集まると思ったのに、私と貴方で朝方に頑張って食料を集めても、大体1日分しか集まってないって・・・。例え貴方がどれだけ狩り能力がなかったとしても、さすがにそれはおかしいと思ってね」
「他の人達が昨日のうちに大量の食料を確保したんじゃないか?」
「それも考えたけど、それだとしても1日でこの食料の減りは早すぎると思うの」
「そうか?別に、考えすぎなんじゃないか?それとも、まだ寝ぼけてるっていうのか?」
「そんなわけがないでしょ。もう日も上がるし、はやく拠点に戻るわよ。拠点に戻ったら、近くの川で水分を確保する。わかった?」
「わかったよ」少し彼女の様子に違和感を感じながらも、俺たちは急いで拠点へ戻るのだった。




