表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/57

最弱

流石に、俺はあの男が入学試験に不合格する姿は、見たくなかった。本来、この試験には手を貸すつもりはなかった。何故なら、手を貸さずとも、決着はすぐ着くと思っていたから。だというのに・・・

「あの少年は・・・・・・」

流石に負けてしまうと俺の計画が全て狂ってしまうので、今回は仕方なく降霊術を利用して、少年を助けることにした。

 刹那、彼の雰囲気が一気に変わる。

「え・・・」

感じたことのない。威圧感。いくら弱い私でもわかってしまう。きっと、今彼に憑依した魂は・・・・・・私じゃ勝てるわけがない。それほどの、強者の予感がしていた。

「少女よ。動かなくていいのか?」

「あ?え、いや・・・」

思わず、腰が抜ける。そりゃそうだ。とんでもない威圧感に襲われているんだから。次第に、倒れ込んでしまう。必死に起き上がろうと抵抗をしても、体はびくともしない。

「一体・・・・・・なんだっていうの・・・・・・!?」

「少なくとも、今のお前が知る必要はない」

ゆっくりと、その男は歩き出して・・・・・・

烈火れっか

「歯食いしばれよ・・・・・・?」

防御能力を展開しなきゃ・・・・・・!!この攻撃を真に受けたら、確実に、死んでしまう・・・・・・!!

 彼女は、怪我を追わない程度に意識を失った。

「こいつのためにならなかったか・・・」

実際そうだ。今俺がここでこの少年に憑依したところで、この少年の成長には何も繋がらなかった。

「本当ですよ」

「しかし・・・・・・ここでこいつが負けるわけにはいかないんだ」

「何故貴方は、こんな無能力者に希望を懸けているんですか?」

「その理由を、まだお前が知る必要はない」

しかし、俺がこの少年に賭けを寄せた理由は、しっかりとある。・・・・・・まぁ、それはまた後日に明かすとしよう。

「とにかく、事実上はこの少年が勝負に勝った。それでいいか?」

「え、えぇ・・・。でも、貴方が・・・・・・」

「文句あるか?」

「・・・いえ。ありません」

「それじゃあ、入学手続きを」

 気がつくと、俺は体育館のど真ん中で、立ち尽くしていた。そして、辺りを見渡すとそこには、俺と戦っていたはずの対戦相手が、地面に倒れていた。つまり・・・・・・勝ったということか?

「おめでとうございます。貴方は決闘の末、彼女に勝利をしました。よって、この学園への入学が正式に認められました」

「・・・・・・え?」

俺が、倒したっていうのか?こいつを・・・?たしかに、確実に倒してないとは断言できない。何故なら、記憶がないから。何者かの声が聞こえたところまでは覚えている。ただそこから・・・記憶が途絶えていた。

「すまんが、いまいち状況が理解できていない」

「まぁそうでしょう。でも、貴方が勝利したことは変わりありません」

「そ、そうですか・・・」

と、突然の状況に理解が追い付いてない中、放送が入る。

「入学おめでとう。夢叶大和君。貴方は晴れて、この学園の生徒となりました。さて、少し話があるので、学園長室までお越しください」

「とのことです。早速行ってらっしゃい。大和様」

「は、はい」

その放送を聞き、俺は学園長室まで足を運ぶのだった。

 「失礼します」

「いらっしゃい。大和よ」

「は、はい」

「そんな固くならなくともいい。・・・・・・さて、改めて祝福しよう。おめでとう。夢叶大和」

「ありがとうございます。・・・・・・それで、どういうご用件ですか?」

「そうだ。放送でもいった通り、お前は学園の生徒となる。そして、ご存知だと思うのだが・・・・・・この学園にはクラスが存在するんだ」

「よく知っています」

「過去の功績と試験で得た異能力の評価から・・・・・・お前さんはFクラスとさせてもらう」

まぁ、それが妥当な評価だろう。こんな異能力を覚醒したての生徒がもしFクラス以上のクラスへと配属されたら、生徒は不満を隠せないだろう。なんでこんな最弱がFクラスじゃないんだ。と・・・・・・。

「今日は色々手続きがあるから、一度かえってもらうが、明日からFクラスに登校するように。・・・・・・いいな?」

「わかりました」

「話はそれだけだ。帰ってもらって構わない」

そう言われたので、俺は学園長室を出て、家へと帰るのだった。

 そういえば、俺の昔について語っていなかったな。俺の昔を語るとしよう。約15年前、俺は生まれた。俺には、2個下の弟と4個下の妹がいた。長男だった。それは、毎日大変だった。世界が変わる前は、まだ俺が小学生の頃だ。学校に行きながら、弟たちの面倒を見て。幼馴染の真愛に構ってはの生活を繰り返していた。今ほどに比べては悪くない生活だったが、当時の俺は嫌気がさしていた。真愛は好きな人だったし遊んでいるのは楽しかったが、弟たちの世話は面倒で仕方がなかった。・・・・・・というのも、俺の家は母子家庭だ。俺が生まれたときから、父親を目にしたことはなかった。どうやって弟たちを生んだのかは未だ不明だが、とにかく、俺が生きている間で父親は俺の目の前には現れなかった。そのため、母親は夜遅くまで仕事へ向かい、俺は弟たちの世話をする・・・・・・。その生活が、嫌だった。俺だって甘えたいのに、甘えられない。そんな生活。実は、俺も甘えたがりな性格である。時には真愛が助けてくれることもあったが・・・・・・それでも甘えることはできなかった。

「今頃、元気にしているかねぇ・・・」

やはり、恋しい。みんなも、きっと体験してみたらわかる。大好きだった人が、殺された気持ちを。いつまで経っても、忘れられないのだ。

「まだまだ約束は果たせそうにねぇな」

異能力を覚醒させることはできたが、まだ塵のようなものだ。・・・・・・そんな状態で、俺が彼女との約束を果たせるときはいつになるのだろうか。そのときの俺は、まだ知る由もなかった・・・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ