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『無能』と言われてきた俺が”隻眼”になってしまった。  作者: 柴田優生


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危機

おれが手招きをした。その瞬間、また彼女は姿を消した。流石の俺でも、2度も同じことは繰り返さない。そこで俺は、また後ろへと回り込んでくると予測して、防御の姿勢を取った。やがて、おれと彼女がぶつかり合い・・・・・・

「なるほど。しっかり学んだようですね」

「二度も繰り返すようなアホじゃないんで」

「流石に。ですか」

防御は取れたものの、おれには攻撃の手段が何一つとして残っていなかった。一応攻撃系の異能力はあるが、それを放ったところですぐに回避をされてしまう。だったら・・・・・・彼女にどうやって攻撃を仕掛けようか?隙を突いたり、目に追えない速度で攻撃するなど、色々な手段がある。・・・・・・しかし、どれをするにも、まだ俺にはその技術が足りなかった。

「立ち止まったままでいいんですか?」

動こうにも、策はなにもない。どうにかして、練り出さねければ・・・・・・!!

「そうもしているうちに、私は躊躇無く攻撃を仕掛けますよ?」

「構わない」

とりあえず、逃げながら考えるとしよう。・・・・・・しかし、そんな策も上手くはいかなかった。なんとか回避することはできたが、それを何度も繰り返していると、いずれ限界を向かえてしまう。そうなる前に、なんとか手を打っておかないといけない。しかし、どうしようか・・・。彼女に、隙は一向に見られない。そんな中、俺がずっと攻撃を避け続けるばかり。

「そのうち、体力を切らせますよ?」

「そんなの、わかってるっての!!」

「貴方自身も、早く楽になった方がいいと思いませんか?」

「はて。それはどういう質問だ?」

「答えは簡単ですよ・・・・・・。つまり」

そうして、どこからか、彼女はナイフを取りだし、

「この一撃で、終わらせて見せます」

そうして、大きく振りかぶったナイフが彼女の手元からはなれて・・・・・・

八裂やつざき

その言葉によって・・・・・・

 昔、まだ俺に異能力が備っていなかったとき、本でこんなことが書かれていた。

「異能力は、危機に瀕した時に突然覚醒をする」

と。まさに、現在の状況が一番の危機だった。避けようにも、避けれない。打つ手がない状態だった。そんな状況下で、異能力を覚醒させても意味なんてあるのか?と、そう思ってしまう。ポケットには、護身用のナイフは忍び込ませてある。しかし、取り出している間に、彼女が放ったそのナイフによって八つ裂きにされてしまうのが先だ。・・・・・・そうなった以上、どうすればいいかを頭をフル回転させて考える。・・・・・・すると、一つの打開策が浮かび上がった。もう、そうするしかなかった。とにかく、モタモタしている暇はない。

「○○○___」

 「さぁ。始めようか」

そうして、戦いは開始された。今なら、勝てるような気がする。とにかく、敵に攻撃を食らわせよう。そうして、俺は自慢の異能力を放った。

翡翠ヒスイ

その攻撃は、立ち尽くす彼女に直進していった。

(やった!!これで・・・・・・!!)

と、喜んでいたのも束の間・・・。そこには無傷の彼女が立っていた。

「・・・・・・あ、あれ?」

「いやぁ。まさか、早速異能力が放たれるから、防御する時間がないと思ったら、威力これだけ?」

あ、あれ・・・・・・?たしかに、その攻撃は彼女に直撃した。・・・・・・はずなのだが、何故無傷なんだ?

「さ、さては・・・・・・身体能力強化か?」

「いや、普通に威力が弱いだけ」

「そんなことが・・・・・・あってたまるのだろうか」

おれの渾身の一撃だぞ?・・・・・・だというのに

「無傷・・・・・・?」

それじゃあ、何をしたら勝てるのだろうか。どうしたら、彼女を降参させることが出来るだろうか。悩んだ末・・・・・・

「体力切れを起こさせるしかないか」

そう考えた俺は、必死に逃げ続ける。が、

「どんだけ体力あるんだよ・・・・・・」

次々と異能力を発動させる彼女から、疲労の姿は見られなかった。

「その様子だと、貴方の方が体力切れを起こしているんじゃないんですか?」

何故、バレた・・・・・・?正直言って、これ以上逃げ続けるのは不可能に近かった。おれの体力が、持たない。彼女を体力切れにさせる前に、俺が先にダウンしてしまうだろう。さて、どうしたらよいものか・・・。

(やはり、攻撃を仕掛けるしかないか?)

仕掛けるにも・・・・・・先ほどの異能力は掠り傷にもならなかった。ポケットには護身用のナイフを忍び込ませてあるが・・・・・・。流石に厳しいだろう。どうしたらいいか。考えても考えても、答えは思い浮かばなかった。それほど、俺と彼女には差が生まれていた。どうしようか悩み続けていると・・・・・・。「はぁ。仕方ねぇ」

と、どこからか声が聞こえてきた。その正体を探る前に、その声の主が異能力を発動させた。

降霊こうれい

と、そう言って・・・・・・。

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