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無能

この世界では、『能力』という所謂『異能力』が体に宿っていることが常識だ。異能力には、いろんなタイプがあるのをご存知だろうか。よく、戦闘系の漫画やアニメで目にすることは少なくもないだろう・・・・・・。攻撃系や、防御系、または物体や液体に特化した能力もあるだろう。そんなような異能力が・・・・・・。この世界には存在していた。僕の名前は、夢叶むと 大和やまとこの世界で生きている人間の中では・・・・・・。ある意味有名かもしれない。何故なら・・・・・・。

「俺には異能力が存在しないから______」

 言ってしまえば、この世は異能力の強さ、希少さなどの観点から、その人の立場が決まっている。・・・・・・つまり、俺のような弱い能力だったり、または異能力を覚醒していない人は、カースト社会の最底辺に位置する。この世界は、腐っている。誰もが・・・・・・強者が偉いと言って、最底辺のやつは殺されても加害者は無罪となる。・・・・・・そんな、世界だ。俺にとってこの世界は生きずらかった。この腐った世界によって、俺は大切な人を沢山失った。

「世界が変わってしまった日は、あの日だったか______」

 その日、俺はいつものように幼馴染であり・・・・・・おれの好きな人であった、真愛まなと学校へ登校しようとしていた。当時は、まだ異能力が日常のように駆使される世界ではなかったから、世界は比較的平和だった。・・・・・・しかし、学校への登校途中・・・・・・。

「ん?なんの音?」

「これって・・・・・・」

どこかで聞いたことがあるような、そんな音が町中に鳴り響いた。瞬く間に、世界は闇へと放り投げ出された。

「まさか・・・・・・」

「ねぇ、大和くん。どうしたの?」

「真愛。逃げるぞ!!」

「に、逃げるって・・・・・・え?」

「いいから・・・!!行くぞ!!」

それから華の返答も聞かず、俺は華の手を掴んで必死にどこかへ逃げた。

「ねぇ、ねぇってば・・・!!大和くん!!」

華がそう俺を呼びかけるが、本能的にやばいと感じていた俺は、その声を無視してとにかく逃げ回った。・・・・・・そうしてやがて山の廃墟へとたどり着いていた。

「ねぇ、大和くん・・・・・・!!どうして急に走り出したの・・・!!」

俺は、あの一瞬で感じ取った異変について、華に話した。

「な、なるほど・・・。でも、その可能性って低いんじゃないの?だって、確かに能力は存在するし、多種多様の異能力があるけどさ・・・。今まで誰もその能力を悪用する人なんていなかったんだよ?」

「あくまで、それは”姿を表さなかっただけ”の話だ。どんな世界においてもそうだろ?必ず、なにかを悪用しようとする人は現れる____。つまり、そういう事だよ」

「え、じゃあ、それって・・・つまり・・・・・・?」

「あぁ。そういうことだ」

この世界が始まって以来・・・・・・恐らく、最初で最後になるであろう『世界戦争』だ。それから、俺達は的に見つからないように必死に身を隠し続けた。何日も、何週間も・・・・・・その廃墟で生活を続けてきた。飯だって、飲み物だって・・・・・・。できるだけバレないように調達をしてきた。・・・・・・しかし、戦争が始まってから3週間が経ったある日・・・。

「やっぱり、そろそろお風呂に入りたいなぁ」

「そんな甘え言っても仕方ないだろ・・・。敵に見つかって死ぬよりかはマシだろ」

「そりゃそうだけど・・・。だって、臭くなるじゃん」

「確かに嫌だけどな・・・」

と、少しでも不安な気持ちを紛らわすため、俺達はそんな会話をしていた。・・・・・・ただ、その時、<<ガサッ>>と、微かな物音を感じ取った。

「真愛。隠れろ」

「えっ?」

「敵がきたかもしれない。いいから隠れろ」

「うん。わかった」

そうして真愛は、廃墟の奥へと潜り込んでいく。俺は、もう今動いてしまったら敵に見つかってしまうので、その場に留まることにした。・・・・・・それから、物音もなくなったので、真愛を迎えに行こうとした。そして、廃墟の中を探し回っていると・・・。

「・・・・・・っ!!」

「・・・」

「真愛!!」

「おっと、それ以上動いたら、お前ら二人とも殺るぜ?」

助けに来るのが、一歩遅かったようだ。あの時しっかり逃げた真愛を見送って、安心しきっていた。敵に先回りされることを、完全に想定していなかった。

「真愛!!」

そう呼びかけたが、華から必死に抵抗する様子が見られなかった。

「ま、な・・・・・・?」

「っ・・・」

「はっ。どれだけこの時を待ったか・・・・・・。なぁ、お前、この女の事は好きか?」

「あぁ。そりゃ勿論・・・・・・好きだよ」

「そうかそうか。じゃあ、ガキ。約束の時間だ」

「・・・・・・え?」

言っている意味が、分からなかった。約束の時間?・・・・・・まさか、真愛は解放されるのだろうか。と、そんなことを思ったが、世界はあまりにも残酷だった。

「・・・」

真愛が、意を決したように、俺の方を見つめてくる。

「・・・・・・真愛?」

「おい、ガキ。最期の言葉くらいは言わせてやる」

敵がそういった瞬間・・・。

「大和。大好きだよ。」

そして、今でも、最期に真愛が言い放った”あの言葉”がまだ脳内に残っていた。

「この世界を___よろしくね______」

真愛がそう言い残した刹那___。

「っ!!真愛・・・・・・!!」

・・・・・・そこからの事は、もう何も覚えていなかった。ただ、言えることは一つ。”俺が愛した真愛は死んだ”それからの日々は、残酷だった。家族が殺され、友達も、真愛の家族も・・・・・・。俺を幸せにしてくれた人達が、全員、この世界によって殺された。悲しみと同時に、罪悪感が俺に押し寄せる。大切な人達を失った悲しみと・・・その中でたった一人だけ生き残ってしまった、罪悪感。

 それから世界は少し変わり、能力が日常化し、更にはカースト社会が生まれてしまった。そんな俺にも、通わせてくれる学校があった。それは、無能力者が通うことが出来る、そんな学園。この学園は、少なくともこんな世界よりかは過ごしやすい学園だった。能力を持たないもの同士で、互いに助け合える学園だ。「この世界を___よろしくね______」

未だに、真愛のあの言葉が忘れられない。よろしくね・・・・とは、どういうことなんだ?俺は、これからも、こんな世界で生きていくことが出来るのだろうか・・・・・・・・・・・。

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― 新着の感想 ―
・・・が多いし、もうちょっと改行してくれないと読みにくい。
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