人間関係は難しい
「みなさん!!!!このクラスになんと編入生が来ることになりました!!なんと素晴らしいことでしょう。皆さんで歓迎してあげましょう!!」
「…………………………………………………。」
「無視ですか!!??」
学園長と一緒に教室に入ったはいいが、クラスの人たちは私たちの存在に気づいているのに無視を続けている。
「まあ、勝手に紹介を続けますが編入生のアザレアさんです。皆さんの勉学を支える役目を担う事になっています。」
「はあ?」
学園長が私を紹介すると何処からか威勢の良い声が聞こえる。声の主の顔と資料を照らし合わせてみると声を出したのはシランだった。足を机に上げており態度全面に反抗の意思が見える。顔には明らかにめんどくさいと言う気持ちがわかりやすく書かれていた。
「別にDクラスでも卒業できればいいんだろ?そんなやついるだけ無駄だ。なあ、ルドベキア様?」
彼が話を振ったのは扇で口元を隠しツンとした態度を貫いていたエーデル家の娘だった。同じ制服だと言うのにそこら中が装飾された服は彼女の派手やかさを際立たせていた。
「何度も言っているでしょう。小汚い下民が気安く話しかけて良い存在ではないと。無駄だとと言う部分は同意いたしますが。」
彼女の鋭い蔑むような目は冷たく恐ろしく感じるがシランはものともしない態度だった。
「ごめんねルディ、きっと私の成績が良くないならこの子が呼ばれたんだと思う。」
二人の口を挟んだカトレアが申し訳なさそうに謝る。
二人の喧嘩によりオドオドとしていて見ていて少し心配になってくる。
「まあ、カトレアの為でしたら我慢して差し上げてもよくってよ。」
「はっ、俺らの面倒見るとかこいつにできるわけねぇだろ。」
「ラナン、そんな事を聞こえるように言ったらかわいそうだよ?」
次に言葉を発したのはラナンキュラスとシオンだった。ラナンキュラスは乱暴な物言い、シオンは人をわざと煽ろうとする話し方をする。これは問題も起きると言うものだ。
私がこのクラスに来たのは思ったより不評らしい。
これ以上前に立っていても時間の無駄だと思い、空いている席シランの隣に座った。
「よろしくお願いします、シランさん。」
「………………………。」
話しかけても返事がない。意図的に無視されている。
シランと話すのを諦めて他の人に話しかけてみようと周りを見るが、誰も私と目を合わしてくれない。
「…………………………………………。」
私の表向きの任務はDクラスのサポートし進級させること。
だけど真の目的は、Dクラスの重要人物の監視、および情報収集だ。
このクラスの家は他の生徒に比べても、あらゆる分野で名をはせている者が多い。
得られる情報は莫大なもので、非常に価値がある。
だからこそ会話をすることが何より重要だ。
重要なのだが…………最初から行き詰まっているという険しい道のりだ。
それでもこの任務を遂行するしかない。それが私が造られた存在意義だから。