納得
――危ない、危ない。艇長さんたちに口止めをお願いして自分でボロを出してどうする。ここは何とか切り抜けなければ――
とソフィアにとってはデスナイトの首を落とすより、クロードからの疑いを晴らす方が数倍難しかった。
「本当に?」
クロードは全く納得していなかった。
「うん。本当」
とソフィアはクロードの瞳を見つめて言った。
その時
「ソフィア様ならクロードが助けなくても炎龍の如き見事に討ち果たしたであろう」
と全く空気を読まずにコーネルは、大きな声で誇らしげにクロードにダメ押しの一撃を食らわした。
――このバカ!! いま、この場でお前を一番叩き斬ってやりたいわ!――
と皇女殿下らしくない言葉遣いでソフィアは心の中で毒づいていた。
「だよねぇ……」
と俯くクロード。
「そんな事ないよ。クロード!」
と慌てたようにソフィアはクロードに駆け寄った。その刹那、ソフィアはコーネルの足先を思い切り踏みつけて、コーネルを睨んだ。
「ぐっ!!」
と喉を詰まらせたような声を発してコーネルはつま先を押さえてうずくまった。
――お前はこのまま二度と立ち上がらなくて良い!――
とソフィアはまた皇女殿下らしからぬ言葉遣いで心の中で毒づいたが、クロードの元に駆け寄り
「あの時は本当にクロードのおかげで助かったのよ。それにクロードと出会えたおかげで今私はこの飛空艇に乗っていられるのよ。本当にあなたには感謝しかないわ」
とソフィアは落ち込んでいるクロードを慰めた。
確かにクロードと知り合いになれたおかげで、今この場にソフィアがいるのは間違いなかった。ソフィアの感謝の気持ちは後半に関しては嘘偽りはなかった。
「本当?」
クロードは上目遣いにソフィアを見た。
「うん。本当だよ」
ソフィアは瞳を逸らさずにクロードを見つめた。
その気持ちが届いたのかクロードも気を取り直したように笑顔を見せて
「そっかぁ……余計なお世話でなくて良かったよ」
と安心しきって意図せずにソフィアの痛いところを突いていた。
――いや、そこは本当に余計なお世話だったんだけど……でもクロードのおかげで今があるのは確か。本当に感謝しているのよ――
と何故かソフィアは自分に言い聞かせるように反すうしていた。チート持ちもそれはそれで苦労が絶えないようである。
「さてと……ソフィアが予想以上に戦える事が分かったのは、嬉しい誤算だな」
とクロードと違ってブラウンが嬉しそうに言った。
彼にとってはソフィアが強い事は純粋に喜びに変わる。それはフローラも同じだった。
「そうだな」
とクロードもブラウンの意見に同意した。彼もこれ以上、自信を失いたくなかった。だから余計な事はもう考えるのを止めた。
「では次に行こうか」
と気を取り直したようにクロードは一歩踏み出した。
「よし!」
と言ってフローラも歩み出した。
クロード達は次の階層に続く階段を降りて行った。めでたしめでたし……。ソフィアは男の扱いのスキルが1ポイント上がった。




