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皇女殿下の飛空艇  作者: うにおいくら
第3章 嘆きの迷宮

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二人の過去

「おいらがまだあの(ふね)に乗ったばかりの頃で、艇長と副長の二人がこのダンジョンを一緒に回ってくれたんだ。その時はブラウンとダニーも一緒だった。な、ブラウン」

とクロードは振り返ってブラウンに同意を求めるように声を掛けた。


「思い出したくもない話を俺に振るな」

とブラウンは顔をしかめた。


「思い出したくない?」

とソフィアはブラウンの顔を覗き込むように尋ねた。


――彼らは何か面白そうな話を隠している――


とソフィアは確信した。


「いや……」


「どうして?」

と更にソフィアは顔を覗き込むように近づけて聞いた。


 しばらく無言でソフィアを無視していたブラウンだが、観念した様に語り出した。


「はぁ……最初、俺とクロードと二人でこの部屋に放り込まれたんだよ。俺もこのダンジョン入るの初めてだったしさ。入る前に『二人で協力して宝箱の中身を持って帰って来い』って言われてさ」

ブラウンはクロードがこの艇に乗るまでは砲術手だった。クロードを一人で冒険させるわけにもいかないので、魔力が強くて冒険者としての経験もあったブラウンが配置換えで冒険者チームに加入することになった。


 もっともクロードがこの艇に乗ってから最初に仲良くなったのもブラウンだった。なぜかこの二人は最初からウマが合っていた。このダンジョンでの話はまだ二人がパーティを組んで間がない頃の話だった。


「え? たった二人で?」

とソフィアは驚いて思わず声が出た。


「そうだよ。案外強いモンスターが出て来たんだけど、ブラウンは元は冒険者だからね。それなりに経験値も積んでいたから何とか倒す事が出来たんだよ」

とクロードが口を挟んだ。


「まあ、そう言う事になるかな。それで宝箱を開けると中に旦那の言う通りお宝が眠っていて、それを俺とクロードが手にして部屋を出ようとしたら扉が開かない。『どうなっているんだ?』と喚いていたら扉に『一人のみ出る事を許す』と文字が浮かび上がって来たんだよ」


「それでどうしたの?」

と今度はマリアが聞いた。彼女も興味津々だった。


「何とか二人がかりで出ようと扉を剣で切りつけたり魔法で焼いたりしたけどダメだった」


「それでそれで?」

マリアとソフィアは身を乗り出してブラウンの話に聞き入っていた。


「お前ら、なんか楽しそうだな?」

とブラウンが怪訝そうな顔で言った。


「うん。少し楽しい」

ソフィアは本当に楽しそうに聞いていた。隣でマリアもうなずいていた。


「悪趣味だな」


「そんな事はいいから、それで?」

とソフィアはブラウンの言葉は聞かなかった事にして話の続きを促した。


「はぁ……しばらく奮闘していて力尽きてから『どうする』っていう話になったんだよ」

ブラウンは何を言っても無駄だと悟った。


「そうなるよねえ……」


「で、どうしたの」


「……言いたくない」

とブラウンは口を閉ざした。


「えぇ? ここまで話しててそれは無いわ!」

ソフィアはそう言うとクロードに視線を移した。


 慌てたようにクロードは


「最終的にはシバが扉を開けてくれたんだよ」

と吐き捨てるように言った。


「ふぅん。そうなんだぁ……なんだかオチがつまらんなぁ……」

とソフィアは全く納得がいかないようだった。


――この二人はまだ何かを隠しているな――


と思えてならなかった。


 その時


「ソフィア様……言葉遣いが……冒険者に染まってますよ」

とコーネルがソフィアの耳元で言葉遣いを注意した。


「あら? やだわ」

とソフィアは笑って誤魔化した。元々は女子高生である。その上この世界でも同じぐらい生きている。どちらの記憶もあるのだから、中身は何事にも興味津々なお年頃の三十代だと言っても差し支えないだろう。


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