表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇女殿下の飛空艇  作者: うにおいくら
第3章 嘆きの迷宮

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/55

嘆きの迷宮

『嘆きの迷宮』という名のこのダンジョン。その名の通り各階層が後悔・悲嘆・絶望といった精神攻撃を仕掛けてくる。物理攻撃の難易度よりも精神攻撃の難易度が勝るダンジョンだった。


 その最たるものが、獲得経験値の低さである。大抵の冒険者はこれの低さに、このダンジョンに足を踏み入れた事を後悔し始める。ただ、これは十一階層を超える辺りから改善される。


「ここは足元に過去の冒険者の亡骸(なきがら)や使い古された装備が散乱してたままになっているから気を付けてね』

とクロードがソフィア達新人三人に注意を促した。


 通常ダンジョンでは亡くなった冒険者はその内にダンジョンに吸収され消滅するか、アンデットになるかだったが、このダンジョンでは所々でいくつかの亡骸がそのまま朽ち果てて放置されていた。その亡骸がギルド所属の冒険者だった場合は、浅い階層であればギルドや仲間の冒険者が回収する事もあったが、そうでない冒険者の場合は放置状態となる場合が多い。


 こういうところから冒険者の精神を徐々に蝕んでいくのが、このダンジョンのいやらしい特徴でもあった。


 廃墟のような回廊を進み、最初の十字路に差し掛かると、早速現れたのがゴブリンだった。それも五匹も。


「嫌~~~っ!!!!」

という叫び声と共に火の玉がゴブリンめがけてダンジョン内を走って行った。一瞬にしてゴブリンたちは灰に帰した。放ったのはマリアだった。


「はぁはぁ」

と肩で息をしながらマリアの目は血走っていた。


「マリア落ち着いて」

とソフィアがマリアの肩に手を置き落ち着かせていた。


「ソフィア様、申し訳ありません。あまりにも予想外に早く出て来たので、思わず捩りつぶしてしまいました」

とマリアは申し訳なさそうに頭を垂れた。


――捻りつぶしたと言うよりも焼滅させたという方が正しい――


マリア以外の他の人間は心の中でそう反すうしていた。


 クロードたちは何度も通った回廊なので、なるべく心をじわじわと折るような罠を回避しながら進んで行った。

 

 暫くして


「この部屋はちょっと面倒なんだよなぁ」

とクロードがある部屋の扉の前で立ち止まった。


「どうして? この部屋には何があるの?」

とソフィアが不思議そうに首を傾げながら尋ねた。


「それなりのお宝が眠っているんだけど、それを取ってしまうと『入った奴らが一人になるまで出られない』っていうお約束があるんだよ」

と苦々しげにクロードは言った。


「え? それってどういう事?」

ソフィアは驚いたようにクロードを見つめた。


「言った通りだよ。何人でこの部屋に入ろうと、出てくる時は一人。仲間を犠牲にしないと出られない。そんなものがこんな低階層で出てくるなんて……経験値の浅い冒険者ならもうここで終わりだ。はっきり言って地獄だ」

とクロードは部屋の扉を見つめたまま言った。


「こんなところで、そんな酷い難題を突き付けられるなんて……」

とソフィアは絶句した。


――あり得ないわ? まだ十階層にも辿り着いていないのに……――


「……クロード達は入ったの?」

ソフィアは迷いながらも聞いた。


「うん。入っちゃった……と言うか入れられた」

と予想に反して軽い反応で返事が返って来た。


「入れられた? 誰に?」


「うん? そりゃぁ艇長と副長に決まってるじゃん」

と答えながらクロードは何故か表情が曇り始めた。


「そっか。で、大丈夫だったの?」


「うん……一応ね」


「一応?」


「うん」


「どういう事? 解らないわ。詳しく教えてよ」

とソフィアはクロードに質問を浴びせ倒し始めた。何故かクロードが何かを隠している気がしてならなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ