長谷弘工業 バックロードホーンスピーカー
マイナーなスピーカーを使ってみた感想文です。
長谷弘工業のバックロードホーンスピーカーを購入してから早2ヶ月、やっと改造が終了しました。
ユニットをPARCのDCU-F103Wに付け替え、それに合わせて一旦、箱を縦にスライスして分解してスロートの両端を12mmづつ狭くしてスロープ状に広がる駒を付け、吸音材には一握りの和紙を詰め込んでみました。外装も唐木で化粧張りしたりもしましたが、それら音質に関係ないところはまあ今は良いでしょう。
このスロート調整した青パーク搭載のバックロードホーンの音を聴いてみて思ったのは、個人が寝室で日常的に音を聴くスピーカーとして『これ以上の物は求めちゃいけない』という罪悪感のようなものを最初に感じました。
オーディオマニアの人っているじゃないですか。試聴室やマイ電柱含め、オーディオ機器に数百万数千万かけて果てが無い頂上を自問自答し続けてるような人。そりゃ楽しいでしょうけど、その分のお金を子どもにいい靴を買ってあげたり奥さんと海外旅行に行ったりした方が人生楽しいんじゃないかと、フッと思ってしまいました。到達点って到達してしまうと一気にこれまでの罪悪感みたいなものが溢れ出すという事が分かりました。
個人的に一人の時間を楽しむツールとしては、このスピーカーの音で充分というか、これ以上は罪だと思います。貧乏症な一般人な感想ですみません。
私もバカだったので、これまでに6畳一部屋埋まるくらいスピーカーは買いましたし、ユニットだけでも山積みになっていますし、ハセヒロのバックロードホーンの箱も8個買いました(現在どれもユニットは付いていません)。多分、1千万近く浪費してると思います。
こんな私から一つ言えるとするならば、始めから今回私が作った仕様の物以外買わないようにした方が良いです。
これは自惚れとかじゃなく、最初はみんなJBLとかDALIとか中途半端なスピーカーにネームバリューの良さを感じて買ってしまうでしょう、それってホントにムダ遣いになってしまいます。絶対に一年もしないうちに違う物、ワンランク上のものが欲しくなります。メーカーの中級品ってそういう風に作ってあるので。
例えばギターのメーカーで『スクワイア』ってご存知でしょうか。スクワイアというのはギターの最大手『フェンダー』というメーカーの二級品を生産する日本(今は韓国)のメーカーなのですが、技術的には本家のフェンダーよりも上だと言われていて、わざとフェンダーのギターよりも『なんとなく弾きづらく』なるように精密に計算されて正確に『弾きづらいように』作られています。スクワイアのギターはとにかく価格が安いのでアジア圏では初心者はとりあえずみんな買う。でも『なんとなく弾きづらい』ので、そのうちみんなフェンダーのギターに買い替えるという販売戦略の下でフェンダーとスクワイアというメーカーが両立しています。
スピーカーの業界はそこまで露骨ではないにしても、同じメーカーの中でも格下のスピーカーという物には必ず『足りない何か』というのが含まれていて、その『何か』を満たしている物をさらにさらにと求めて行くと、行く付く先は数百万円もする最上位機種だったり、やっぱり一段階前の物の方が自分にはしっくりくるな、なんて思ったり。そんな風に一度掴んだ客の心に食らい付いて、客を離さない蟻地獄みたいな販売戦略を練ってるメーカーも少なくないんです。オーディオなどにハマる人は、そんな企業の思うつぼにハマってしまう人が多いので注意が必要だと言いたいです。
めちゃくちゃ良い音がするスピーカーが欲しいと思ったら、Google でもYouTubeでも何でも良いので3ヶ月間くらいめちゃくちゃ調べてみて下さい。どんなスピーカーが良い音が出るのか、なぜそのスピーカーは音が良いのか、論文が書けるくらい調べ尽くして『これしか無い』と思った物だけを買った方が無駄が無く済むと思います。
始めから今回紹介した仕様のスピーカーを導入していれば、スピーカーにかけた出費は生涯で15万円以内に抑えられたのにと思うと、ほんっとに勉強って大事なんだと後悔しかないです。
なんだか後悔して暗い気持ちになっています。