殺戮王女に気が付かない
可哀そうな王女様、殺戮好きの王女様。
狂ってしまったお嬢様は、仮面を張り付けて今日もニコニコ。
笑顔を振りまいて、笑顔を作る。
でも、笑顔の下で、笑顔を壊して。
ごんごんごん。
がんがんがん。
壊して、コワシテ、コわシてく。
お城の人達はまったく、何も、気が付かない。
今日も明日も、ニコニコニコニコ。
王女様へと、ニコニコニコニコ。
かなづち、はんまー、のこぎり、ないふ。
ドレスの下に隠しても。
ぜんぜんだぁれも気が付かない。
「ねぇ、王女様。おててが真っ赤よ。どうしたの?」
がん。
「ねぇ、王女様。ドレスが真っ赤よ。大丈夫?」
ごん。
「ねぇ、王女様。指先が赤いわ、おてんばさん。今日のおやつはいちごかしら?」
がんごん。
がんごん。
お城の中が空っぽに。
一人残らずいなくなるまで。
ぜんぜんだぁれも気が付かない。