表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【短編】習作・アイデア切り抜き

旅をしよう!

作者: 結崎 梟

あらすじ・タグのご確認をお願いします。

「唖?A、アーぁあーーー」


 シューーーーっというような融解音や、まるで湯煙のごとくあがる場所から幽かな声がもれた。


「ぁぇぃぅぇぉぁぉ」


 煙も凪ぎ、発声も確かになったそこから現れたのは…………骨だった。


「あ~?ここまで戻されたかー」


 どんな原理で体を動かし声を発しているのかも定かではないが、自身の体を体をひねって見回し、肉のかけらもないことを確かめたらしきその骨は、骨でも伝わるがっくりとした風情を漂わせながら嘆いた。

 目的の方は定まっているようで、周囲を確認してそこは日の光もあまり届かない薄暗い森の中で一筋、月光が届くようなやや開けた空間であることを確かめると、なにかを確認しながらさっさと歩み始めた。


「【影槽】」


 何事かをつぶやくと、森の影よりも暗きその骨の影から赤い液体が骨にまとわり始めた。

 それを芳しいといわんばかりにカタカタと歯を震わせ、下から這い上るソレが口腔に消えた途端、見る見るうちに肌艶もいい綺麗な白い肌に黒い髪と立ち上がった獣耳、そして紅い双眸の女性が現れた。


「【空納】」


 またもや何かをつぶやいて右手を横にふるうと空中にぽつりと影が生まれたかのような黒い穴が生まれ、そこに躊躇なく手を突っ込むと、衣服を取り出した。

 ドレスのような印象を与えつつ儀典用の軍服のようでもあり、それでも動きやすさや着やすさは損なわれていないと感じさせる上下を今ばかりは歩みを止めて身に着けた。

 今までその裸身をあらわにしていた時とは印象ががらりと変わり、艶やかさは薄まって刃物のような空気すら感じさせ、まるで大国の近衛がそこに現れたかのように感じさせた。


 それもふにゃりと相好を崩しおちつくーと声を出すまでではあったが。


「まったく!あの竜ときたら!ちょぉっと縄張りをかすめた程度でこんなとこまでぶっ飛ばすんだから!」


 これだから図体がでかいやつはダメなんだ。と対象となるその竜が聞いていたら、縄張りとしてる竜峰の端どころか寝床として使ってる頂上付近を突っ切ろうとしやがったくせに!と猛抗議するようなことをぐちぐち言いながら歩みを再開させた。


 ときどき獣の絶鳴が聞こえるほか、その声の方向からひとりでに赤い液体―――血液―――が女性の足下の影に潜りに来る以外は静かな森を満喫しながら、次の目的地を思案し始めた。


「結局竜峰の頂上から景色を眺めることはできなかったし、近くに高い山があったら登って~、海が近ければ深海に潜るのもいいなー!」


 にっこにこと相好を崩しながら、近くの高い山の不死鳥や深海に神殿を持つ蛸が聞いたら全力でお互いの名所を並べ立てていくような言葉を漏らしながら、不老不死の理不尽、吸血鬼にして高名な旅行家である彼女はひとまず森の奥地に歩みを進めるのであった。


お読みいただきありがとうございました。

習作ですので様々なご意見ご感想のほどよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ