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後家さん
むかしむかし。
あるところに、美しい後家さんがおりました。
後家さんは、床に伏せる夫の世話をメイドに任せ、若い愛人と遊び回ります。
ある日、後家さんが家に帰ると、夫がメイドに遺産を譲る話をしておりました。
介護はしないが遺産は欲しい後家さんは烈火の如く怒り狂い、メイドを叩き出してしまいます。
夫はそのまま誰にも世話をされることなくこの世を去りました。
それからと言うもの、後家さんは愛人を家に呼び寄せ自由と放埒の日々。
遺産はあっという間に溶けてしまいました。
神様は怒りました。
「天に徳を積むって概念知ってる?」
神様の怒りは残った家と愛人に降り注ぎ、愛人は本物のツバメに、家はツバメの巣になってしまいました。
悲しんだ後家さんが泣きながらそれらを煮込んで食べたのが、太平燕の始まりとされています






