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二つ名
むかしむかし。
ある田中の国がございました。
その国の王様の姓は田中。氏は田中。字を田中と申しました。
王様だけではありません。
王妃様や家来はもちろん、国民の全ても田中と申しました。
さすがにそれでは生活に差し障りがございましたので、全ての田中に二つ名を持つことが許されておりました。
勇猛な騎士田中〜赤い死神〜と、美しい魔女田中〜氷の微笑〜の間に産まれた勇者田中〜白銀の剣〜はある日、国王田中〜田中中の田中〜に申し出ました。
「どうか僕が魔王を倒した暁には、他の姓を名乗ることをお許し下さいませんか」
神様〜黎明の創造者〜は怒りました。
「なんでや!二つ名かっこええやろ!」
神様の怒りは不遜なる勇者田中〜白銀の剣〜に降り注ぎ、勇者は白銀の剣になってしまいました。
悲しんだ母親が泣きながらそれを国王に刺したのが、シュラスコの始まりとされています。