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楽園のディストピア  作者: カワキリ マヤ
始まりの前
1/3

001



【正義のヒーロー】



今は亡き母親は世間からそう言われていた

“敵”を前にしても物怖じしない精神の強さ、誰にでも優しい性格、多くの男性を魅了した見た目。誰が見ても俺の母親は完璧と呼ばれる人物だった

...らしい。俺はそう呼ばれてたという情報しか知らない。何故なら俺が生まれ、他人の言葉を理解できる頃には、母親は侮蔑の対象となっていたからだ



俺が産まれ、妹が産まれ、母親は戦場から一線を引いた

それだけで、世間の評価は変わった。お前が今の日本を守らなければ誰が守るのだ。と

子育てをする暇があるのなら、1匹でも多く“敵を”滅せ。と

当時は母親が悪く言われてるとしか認識していなかったが、今思うと本当にバカバカしい。守られておいて、何様なんだろうな



母親はいつも俺たちに謝っていた。自分のせいで俺達が学校で浮いてる事に対してだろう

けれど俺も妹も、何も気にしていなかった。母親が凄いのは分かっていたし、何より大好きだったから

俺は気にしないし、妹が苛められたら俺が助けるから心配しないでと言ったのを覚えている。それを聞いた母親は少し苦しそうな顔をしていたが笑ってくれた



母親が死んだのはそれからすぐだった。今でも覚えている。街中にまで現れた“敵”を、何年も前に引退したにも関わらず、飛び出して行った母親を



いや、それだけなら多分ケロッとした顔をして帰ってきていただろう。おれが、あのときじっとしていれば


よけいなことなんかせず、いえでじっとまっていれば







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