第一章 モンスターとともに 第十一話 狐の獣人
俺たちは次に倒す目標の獣人アビダルを探して森の中をさまよっていた。
「なあ獣人アビダルってどこにいるんだ?」
俺は疑問に思い一番前を歩いているリンに聞いた。
ちなみに俺たちは先頭からリン、レイシア、俺の順番で歩いている。
理由はリンが次は一番最初に攻撃したいといったからだ。
「前に戦った時はアビダルが統治している小さな町に何も知らずに入ったときに戦ったんだ。」
「つまりその街に入ればアルビダに会えるのか?」
「多分会えると思うよ。もし会えなかったらそこにいる獣人に話を聞けばいいよ。」
どうやら獣人アルビダは自分の街を持っていてそこに向かえば会えるようだ。
俺たちは次の目的地をアルビダの街に決め向かうことにした。
しばらく森の中を進んでいくと、
「誰か!助けてー!」
と森の中をこだまするほど大きな叫び声が聞こえた。
「おい、聞こえたかお前ら。」
俺が二人に助けを求めている声が聞こえたか確認をとろうとしたが、
俺が聞くよりも前に二人は助けを求める声の方へ向けて走り出していた。
「おい!待てよ!」俺は叫びながら二人の元へ向かった。
助けが呼ぶ方へ俺達三人が進んでい行くと、大きな木の下で銀色と金色の髪をした狐の獣人族
二人が、ガタイのいいライオンの獣人族二人に追い詰められていた。
「なんで見逃してくれないの!たまたまマリがアビダルにぶつかっただけじゃん!」
金色の気の強そうな獣人族が銀髪の獣人をかばうようにして叫んだ。
「アビダル様にぶつかって水をぶっかけただろうが!許されると思うのか?」
どうやら食事中にたまたまぶつかって水をアビダルにかけてしまったようだ。
「そんなことでどうして私たちが殺されなきゃならないの!?おかしいじゃない!」
確かに故意でぶつかったわけでもないのに怒るのはおかしい。ましてや殺そうとするなんて
アビダルは相当頭のいかれた野郎だと俺は思った。
「お前誰にぶつかったと思ってるんだ我らがアビダル様だぞ!相応の罰を受けるのは当たり前だ!」
二人のライオンの獣人族は迫りながら言った。
「おい、助けに来たはいいがどうやってたすける?」
木の後ろに隠れているリンに聞いた。
「私にいい考えがある。」というと俺の耳元で作戦を伝えてきた。
「なるほどな。それなら安全に助けられそうだ。」
「でしょ。」俺達二人はレイシアを見ながら作戦を実行することにした。
当のレイシアは不思議そうに俺たちを見ていた。
「もうこれで逃げられないな。お前たちはここで死ぬんだよ!」
とライオンの獣人族二人が狐の獣人が逃げないように逃げ道をふさぎ言った。
「大丈夫マリ。絶対私が守るから!」
金色の狐の獣人が銀髪のマリをかばっていた。
「もういいシノこれ以上は!あなたには傷ついてほしくないの!」
マリが涙目で訴えた。
「どうやら覚悟は決まったようだな!せいぜいあの世で仲良しな!」
ライオンの獣人たちが同時に剣を振った。
マリとシノは死を覚悟した...しかし斬られることはなかった。
え?マリとシノは何が起こったかわからないという顔をしてライオンの獣人を見た。
ライオンの獣人たちの手から剣が消えていたのだ。
「ライオンさんライオンさんもしかしてこれが欲しいの?」
レイシアが二人の剣を持って立っていた。
「な!誰だお前は!その剣を返せ!」
獣人族たちが奪い返そうと同時に、
エンチャント、身体強化とかすかな声が聞こえた。
なんの声だと、不思議に思ったのかライオンの獣人族は後ろを振り返った。
するとライオンの獣人族の影の中から赤髪の猫のような獣人族と、長い銀髪の整った女子のような
顔をしたをした少年が出てきた。
「悪いなお前らどうやら死ぬのはお前たちのほうだ。」
俺とリンは同時に剣を振りライオンの獣人の首を一閃した。
「大丈夫かお前ら。助けに来たぞ。」
俺は驚いた顔をしている狐の獣人マリとシノに手を差し伸べて言った。