第一章 モンスターとともに 第八話 戦いの後
俺が目を覚ますと仰向けの状態でベッドに寝かされていた。
そういえば何をしていたんだっけと意識がもうろうとする中頭を起こして周りを見渡した。
武器や防具の鉄の匂いがかすかにすることからどうやらここは武器屋のようだ。
俺は直前までの記憶を思い出した。
そうだった俺はリンに戦いを挑まれて勝負したのか。そして俺は勝った...
勝ったんだ...俺はつぶやき喜びの感情が湧き出てきてガッツポーズをした。
これからはリンになめられることもなくなる!勝ってよかったー!
俺が喜んでいるとコンコンとドアをノックする音がした。
「ミノル!大丈夫?すごかったよ一瞬でリンを倒しちゃうなんて!かっこよかった!」
ん?今かっこいいって言ったか?今まで俺が言われたことのない言葉を聞いた気がする。
「すまんレイシア最後なんて言った?」俺は改めて聞き返した。
「かっこいいって言ったんだよミノル!すごく強くて驚いたよ!」
笑顔でレイシアが言った。なんていい子なんだレイシア!最高の言葉を言ってくれて!
銀色のロングヘアー、女子のように整った顔から誰からも言われたことのない、
かっこいいの言葉。俺は戦いに勝つことで真の男に近づけると改めて思った。
俺がレイシアを天使のように見ているとその背中からリンが顔を赤くして出てきた、
「ミノルに負けるなんて一生の恥だ。でも驚かされたよあんなに強いなんて。」
あれ、もっと悪口とか言ってくると思ったんだが。どういう心境の変化だ?
俺が不思議に思っていると、
「私は弱いやつは好きじゃないんだ。正直ミノルは弱いやつだと思ってたんだ、その見た目だし。」
「おい、見た目のこと話言うなよ。」俺が突っ込むとリンは、
「そうだねごめんよ。でもこれでちゃんとパーティーの一員として心置きなく迎えられるよ。
これからもよろしくミノル!」
リンが満面の笑みで手を差し出してきた。
なんだよこいつ。結構かわいい一面もあるじゃないか、俺はリンの手を握った。
すると本気で握りつぶそうとリンが力を入れてきた。
「でも次は絶対負けないからね!」こいつ!見直して損した!
「リンちょっとやめろ!手の骨が折れる!」
レイシアが笑いながら見ていた。いや笑い事じゃないけど!
リンが落ち着いたところで疑問に思ったのか質問してきた。
「ところでどうして急にミノルの動きが速くなったんだ?」
どうやら俺が使った身体強化について知りたいようだ。
「身体強化っていうスキル使ったんだよ。レベル1だったけど。どうやら身体能力を上げる技みたいだ。」
俺が説明し終わると。
「そんな技聞いたことないよ。誰から受け継いでもらったの?」
受け継ぐってどういうことだ?俺は疑問に思った。
「誰にも受け継いでもらってないぞ。てか受け継ぐってなんだ?」
え?リンとレイシアが言った。
「受け継ぐっていうのはねミノル、普通はスキルって誰かから教えてもらって手に入れるんだよ。
だから見たこともないスキルを覚えたミノルはすごいんだ。」
レイシアがすごいすごい言いながら教えてくれた。
「つまりリンのエンチャントも受け継いでもらったのか。」
「そういうこと。」
俺はどうやら俺だけの技を手に入れたらしい。この技を大切にしよう。
そういえば俺はどのくらい寝てたのだろう。
「俺ってどのくらい寝てたんだ?」
まあ一日くらいだろうと思っていたが、
「三日寝てたよミノル。多分初めてスキルを使ったからだね。」
そんなに寝てたのか!てことは俺の装備はもう完成したのか?
するとドアをノックする音とともに武器屋のおっさんが入ってきた。
「お、起きたか。今ちょうど二人の装備ができたから呼びに行こうと思ってたんだ。」
どうやら俺達の装備ができたようだ。
装備をとりに武器を売っている方へやってきた。
「これが二人の装備だ。どっちも結構自信作だから着てみてくれ。」
俺の装備は黒を基調とした鎧部分はなく、動きやすいように特化した防具だった。
まるでアサシンが着るような防具になっていた。
武器は前のナイフと比べ明らかに切れ味が上がっている短剣と手に装着できるクロスボウだ。
レイシアの装備は、俺と対照的に白色の軽装だった。
レイシアが黒色の髪だからすごく似合っている。手には手袋をつけていた。
おそらく特殊な加工がしてある手袋だろう。
レイシアはそれを着てはしゃいでいた。
「これで私たち三人の装備も整ったから本格的に戦えるようになったね。」
確かに、ここからはひたすら強くなるために戦わなくてはならない。
「うん、みんなで三年後魔族も楽々倒せるくらい絶対強くなろう!」
レイシアが笑顔で言った。最強を目指す猛者たちとの戦いが始まる。