豆腐屋の子
「今思えば、とても幸せな人生だったわ……親にも友人にも恵まれて。」
お母さんとお父さんの笑顔、柚の笑顔……私……美咲の笑顔。
美咲は毎日美味しいご飯を食べて、楽しく学校に通って。
「この世界とは違って、凄く平和だった。」
「スノー、それは色々な世界があると?」
王が聞いてきた。
石壁の部屋にいるからか、空気はひんやりとしている。
「ええ、鉄がペガサス車よりも速く飛んでいた。」
「鉄が飛ぶ……信じられん。」
それはそうだ、鉄の乗り物なんてこの世界には存在しないのだから。
鉄砲位までしか、まだ作る事が出来ない。
「信じなくても大丈夫ですよ、貴方が転生しない限りは関係の無い話です。」
言葉遣いは公爵令嬢ではなく、ただの『スノー』だ。
四つの人生全てを合わせて出来た、一番新しい自分で話している。
「家は裕福でもなく貧乏でもなく、美咲は順風満帆に17歳まで生きたわ。」
目を閉じれば、美咲の世界が見える。
ヘルシーで美味しい豆腐ハンバーグ、手作りの豆腐アイス……どれもスノーは食べれない物。
「では、スノーは17歳で……亡くなったのですか?」
「そうよ、お母様。美咲は両親と崖下に転落死、死んだ後は何故か幽霊になったけど。」
私の転生の中で、かなり謎なのが幽霊化した事。
これまでに2回もあるが、法則はいまだに分かっていない。
「17歳って、まだ若いのに……。あたしと同じ年じゃない。」
そうそう、ソレアと同じ年……って同じ年!?
「ソレアって、私より2歳も上だったの!?」
「あれ、知らなかったの? その前に……どう見たって、私の方が年上に見えるでしょ? あと、今はそれよりも、スノーの話でしょ。」
……う~ん、正直に言わない方がいいな。
私よりも頭一つ分小さくて、黒髪ショートのソレアはどう見たって、私と同じか下に見えてしまう。
でもまあ、私の話なのは間違いない。
「で、何故か幽霊になって……。」
「理由は知っている気がする……何か書いてあった様な……。」
サリーさんが呟いたのを私が聞き逃す……ワケがない。
「それは例の歴史書に書いてあったんですか!?」
「そんな気もするが……忘れてしまった。城の図書室に行けば、歴史書があるんじゃがのぉ。」
城の図書室に……。
「スノーよ、それで美咲はどうなったのだ?」
ああ、途中だったな。
「美咲は幽霊化した後に、気がついたら転生してたの。旅館の娘……『レイ』として。」




