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質疑応答 part1

……三十分程経った後、私達は地下隠れ家のとある一室に集まっていた。

この部屋は完全防音のようなので、何を話しても外にはバレない。

ちなみに、応接セットに座っているのだが、とても座り心地の良い椅子だ。


「さて、スノーにいくつか聞きたいことがあるのだが。」


王は昔とは違って、真面目な顔。


「分かりました、陛下。答えられる限りは言いますが、まずはそちらが先に話して下さい。」


私が発言すれば、必ず突っかかってくるのは、勿論この少女。


「オイお前っ! この国の王に向かって、なんて口を利く!!」


はい、予想通り、もう慣れたよ。

美代が『小説家をやろう』を読んでいた時は、転生したら『スキル』があったり見えたり聞こえたり……という話が結構あった。だけど、この世界には『スキル』なんて洒落たモノは存在しない。

自分の使える限度の魔力は、使いながら把握するしかないし、ミニドラゴンだろうが山賊だろうが倒しても、装備が汚れて肌が傷ついてお金が手に入るだけ。

ただ私は今の人生で、一つの『スキル』を取得した。


「まあ、落ち着きなさいソレア。スノーは公爵令嬢で勇者なんだぞ……この国に大切な人だ。」


「ですがこいつは……。」


「その事については、私から話すから、ソレアは一度静かにしていなさい。」


「……はい。」


その名も『スルースキル』……この能力は、いちいち面倒くさい相手からされる『行動』『言動』を目耳にした瞬間、心が傷ついたり考え悩む前にダメージを0にして回避する能力だ。

ゲーム風に表すなら、こうだろうか?


名前/スノー・ホワイト

種族/人間

年齢/15歳

Lv/知らん。ミニドラゴンの首を落とす時に、鱗が飛んできて傷が付く位のダメージしか負わないLv?

SP/知らん。ほうきに乗っても筋肉痛にならなくて、村内一周マラソンしても息がそこまで切れる事はないSP(レイは偉い人の護衛に紛れて暗殺した事あるから、ある意味SPになった事はあるかも)?

能力/油断しなければ無傷で山賊の首を落とせる。魔法はだいたい使える。得意技はミニドラゴンの背に馬乗りになって、首の付け根部分をなるべく鱗を斬らない様に切断する事と、山に住む狂暴な猛獣を捌いてなるべく無駄なく、感謝の気持ちを込めて利用させてもらう事。新たに取得した『スルースキル』は、自動で発動させる事が出来る。


……しばらく文明機器を触ってないから、よく覚えてないなぁ。


「それではスノー、私に聞きたい事があるというが、まずは一言伝えたい。」


「あ、はい。」


いつの間にか、現実に引き戻された気分。

テレビゲーム中に、美代の親がコードに軽く足を引っかけて、良い場面で電源オフになった瞬間を思い出す。

あの時は、転ばなくて良かった~ってオチがあるけれど、今回はあるのかな?


「スノー、五年前は本当に申し訳なかった。この通りだ……。」


「えっ!?」


なんと、王は椅子から降りて、私に土下座をしてきた。


「ちょっと待って、頭上げてください……そんなに何を私に謝って

いるんですか?」


「……勇者の件だ。」


ああ、なるほどね。


「それは私が聞きたかった事の一つです。どうして10歳の私を……なんにも訳が分からないままの私を強引に玉座の間に……?」


「……スノーも知っているだろう、遠い昔に魔界があった事を。」


王は一度立ち上がり、深刻な顔で私を見つめてくる。


「半信半疑でしたが、今は身に染みて良く知っていますよ。」


「実はスノーが10歳になる少し前に、魔界山でミニドラゴンの

出没が、コントラスト側でもシエドー側でも、相次いで確認されたのだ。ミニドラゴンとは、ドラゴンよりも一回り小さいが、それでも全長5mはあって……。」


「それなら知ってますよ、何回も倒しましたから。あいつら鱗が硬くて、厄介ですよね。」


一時の沈黙を挟みまして。


「な、何っ!?それは本当か!?」


「嘘なんてつきませんよ。この甲冑をリメイクする時に、強度を上げるために鱗使ってますから。」


鱗の使い方は簡単、粉砕機で粉々にした後、武器屋が使う特別な魔法『混合魔法』を使って、元々の甲冑や武器に混ぜるだけ。

なんという事でしょう、匠の技を使えば30分程で完成です。


「スノー、ミニドラゴンなんて、どうやって倒したんだ?」


今度は目が点になっている、お父様が聞いてきた。


「それぞれのミニドラゴンの特性に合わせて、剣に憑依魔法をかけてたよ。大体は炎魔法で倒せたけどね。」


「炎魔法を使ったのか!?」


そうだった、一応禁止されてたんだった。


「お父様……確かに私は幼い頃、炎魔法を裏庭で練習した時に、魔力を使いすぎて芝生を焼ききって、家の壁まで焦がしました。今でも小さい炎を出すのは苦手だけど、生きていくためには仕方がなかったのです。」


話すと、当時の事が鮮明によみがえってくる。

一番覚えているのは、丹精込めて芝生を育ててきた庭師が、芝生よりも私が無事だった事を喜んだ時かな。

毎日のように草木に話しかけていた庭師だったから……って、今は回想している場合ではない。


「……お前が無事ならそれでいいよ。」


「ありがとうお父様……この流れで、陛下に一つ謝りたい事を申してもいいですか?」


「かまわない、申してみよ。」


私は一旦元の流れに戻す前に、ずっと言いたかった事を打ち明ける。


「実は私、この特性の女子向け甲冑の兜を……五年前にどこかで落としたみたいなんです。まあ、胴体の部分で十分機能性あるし、軽いし楽だしリメイクすれば15歳になっても着れるんですけど……。」


「そんな事か、かまわんさ。その甲冑は城御用達の武器屋に注文した物で、値は張っても歴史的価値はないからな。」

値は張るのか……だけど、国宝とかじゃなくて良かった……。


「私の話は取り敢えず、ここでストップです。」


「ああ、ミニドラゴンは全長5m……は分かってるんだな。実は歴史書に、昔……約600年程前に魔界が攻めてきて、その際に元々この世界で暮らしていた『ドラゴン』と『ミニドラゴン』が魔界に寝返ったと書かれているのだ。」


つまり……。


「少しだけ生き残ったドラゴン達は、魔界に戻っていったらしいのだが、ミニドラゴンが再びこの世界で確認されてしまった。その事から600年前に起きた『悲劇』を繰り返さないために、城に代々仕える占い師に勇者の適性がある人物はいないか、占ってもらったのだ。」


「もしかして、その結果が私……?」


「ああ、結果が出るのにはかなり時間がかかったし、なにより普段の占いとは違う特別な占い方法を用いたから、余計に時間がかかってしまった。」


……でも、占いなら当たり外れが……。


「ちなみに占いをしたのは、あたしのおばあちゃんだから。」


ソレア……のおばあちゃんが占った。

代々仕える占い師といえば、私も一度占ってもらった事あるな。

幼い頃に……えーっと、何か言われたんだよなぁ。

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