表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/53

救出

「だ、誰!?」


「……あんたこそ誰よ! 私は王様達を助けに……あっ、もしかして敵ね!!」


いやいやいや、それはないよ。


「そんな事ありません! 私の娘になんて事を言うのですか!?」


あ……そんな風に言ってくれるなんて。

私みたいな親不孝者に……。


「娘……ああ、ノア様の娘といえば、国を捨てた裏切り者じゃないですか。」


少女はそう言うと、私を見下すように睨む。

身長は私の方が高いが、心臓を掴まれた気持ちだ。

それよりも、国を捨てたってどういう事?


「まてまて、その事については後で話す。そなたの格好は、反乱軍のものであろう?」


「はい、陛下。ご無事で何よりです。ライ王子とイルア公爵とノア様も、今まで待たせて申し訳ございません。」


私の時とうって変わって、深々と頭を下げている。別に頭を下げて欲しいワケじゃないけれど『国を捨てた裏切り者』なんて。

確かに家出はしたし、コントラストに戻るつもりは無かったけれど、少女の言い方では一方的に私が悪いみたい。

けど、長年培ってきた経験上、この少女の様なタイプの人間には、安易に言い返さない方が穏やかに事が終わるケースが多かった。


「反乱軍とかいう事情は良く分からないけれど、取り敢えず味方なんですよね?」


……ので、無難な質問を王にして、一旦少女の流れを切る。


「ああ、スノー。シエナに反乱する者達は、皆右手の中指に銀の指輪をはめているのだよ。」


そう言う王の指にも、指輪がはめられている。


「陛下、そんな事説明している場合ではありません。私が牢屋の鉄格子をダイヤモンド配合ヤスリで、切り落としますから!」


いやいやいや、私はただ味方かどうか気になっただけ……って。


「あのさ、ヤスリで切ってたら、時間がかかる気が……。」


「じゃああんたは、どうやってここを開けるっていうの!?」


そんなに、いちいちガン飛ばさなくてもいいのに。


「風魔法で手の上に小さな強風を出せば、かなり鋭利だから鉄も切れる……。」


「じゃあ、あんたがやれば!?」


「我の手の上に、鉄をも切れる風を起こせ。」


……私が言うと、イメージ通りの風を作り出せた。


「よし、それじゃあ鉄格子から、なるべく遠ざかって。」


「お前本当に大丈夫か?」


「ライは一回黙れ、集中してるんだから。」


「王子に向かってなんて事を!!」


この少女は無視だ。

私が風を鉄格子に当てると、少し鉄の削りカスが出るだけで、スイスイ切れていく。

約1分程で、全ての鉄格子を切る事が出来た。


……最後に両親の牢だったのだが、人が通れるだけ切ると、すぐに私に抱きついてきた。


「ああ、こんな姿になってしまって。あの日……お前を城に連れて行かなければ良かった……!」


スノーの父さん……いや、お父様。


「スノー、顔を良く見せて頂戴。」


お母様……。


「私は元気ですよ、片目が無いしボロボロのローブの下に甲冑なんて着ているけれど、家を出てから一度も風邪はひいてませんから。」


「スノー、愛しいわが娘……耳も無くしてしまって……。」


「心配しないで下さい、お父様。ちょっと上部が欠けただけですよ。」


こうして急がなければいけない状況の中、久しぶりに三人で話した。

スノーにとっては、転生後初めてちゃんと『親子』として、話したかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ