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山賊刈り part1

「これで見つけられないとか……この国の警察はどんだけ無能なの。」


山には山賊達のいる痕跡が沢山残っていた。

大きなブーツの足跡、鋭利な刃物で枝を切った跡、たまに毛皮も含まれる衣類の繊維。

レイは山にターゲットが逃走した場合に、見つけて速やかに任務完了する術を嫌々学ばされた。

その際のターゲットと比べたら、山賊なんて「ここにいますよ」と言っているようなモノだ。

極め付きに刀の破片まで落ちている。

これだけ居場所を主張する物を残してるから、頭は弱そうだけど油断は禁物……罠位は仕掛けているだろうし。

……例えば今私の目の前には、人が楽に通れる一本の道が続いている。

その横には獣道……どちらを通ろうかとなるところだ。

普通に歩きやすい道を行くか、裏をかいて獣道を行くか……まあ答えは分かっている。

正解は獣道だ、高さのある草や木の枝に人間特有の痕跡があるから。

ここら辺に生息しているのは、小動物と猪くらい……わざわざ高い場所に傷なんて付けないし付けられない。

そこを払って通るのは、身長のある人間だけだ。

大方通りやすい道の方には、落とし穴だの上から落ちてくる網だの、仕掛けが簡単でかかればほぼ確実に逃げられない罠が張られていると推測できる。

私はなるべく気配を消して、細く険しい獣道をひたすら進んだ。

一歩一歩進む度に、思考がスノーでは無くなっていくのを感じた。




進み続けて2時間程経ったのだろうか。

数匹の獣と遭遇してきたが、ここからは人間の気配がする。

品が良いとは言えないこの感じ……間違いない、山賊だ。


「ゴホンッ……山賊さんはここにいますかぁぁぁああっ!!」


………。


「無視すんなよぉぉぉおおっ!?」


「うるせぇなぁ!」


「そうだ……って、ガキじゃねぇか。こんな所に来て、ただで帰れるたぁ思ってないよな?」


山賊2人が、藪の中から現れた。

2人ともガタイが良くて、肉弾戦なら敵わないだろう……が、もちろんただで帰れるとは思っていない。


「お前らをただじゃぁ済ませなくしに来たの。」


私が言うと、山賊2人は分かりやすく激怒する。


「何ぃ!? 調子乗ってんじゃねぇぞガキが!」


「俺たちゃ泣く子も黙る山賊様だぜ!?」


んな事知らないし、どーでもいいわ。

それより、山賊は3人と聞いたけど、もう1人はどこにいる……?


「……いや、コイツ良く見れば、かなりの上物だぜ。」


私が周りを警戒していたら、随分と失礼な話をし始めやがった。


「そうだな……お頭なら売り飛ばすルート、知ってるんじゃ?」


良く見ればとは失礼だけど……クズに対して余計な事を考えるのは時間の無駄だ。

そして、ここに居ないもう一人が頭だと、簡単に教えてくれる。


「1つ聞かせて頂戴、この前さらった夫婦は、今どうしてる?」


聞いてみると山賊は、


「夫婦……ああ、あいつらか。今頃土の中でおねんねしてらぁ。」


……やはりそうか、生きてる可能性は低いと思っていたが、ここまで潔く言いきるからには本当なのだろう。

仕方ないが残っている遺品があれば持ち帰って……。


「手のアザが気持ち悪ぃ女か。いい指輪してたけど、抜けねぇから……切り落とした指がそこら辺に落ちてないか?」


「……は?」


「男の方は目ん玉が綺麗だったから、コレクターにお頭が売りに行ってらぁ。」


こいつら……顔をゆがめないで言っている。

思っていたよりもクズだな、まるでレイみたいだわ。


「そ、そんなっ!!」


高い声がして後ろを振り向くと、そこには少年がいた。


「何であんたがここにいるの!」


今話していた2人よりも、さらに巨体な男の持った網の中からこちらを見ている。


「お頭、そのガキは?」


山賊の一人が、低い姿勢と言葉遣いで聞く。

すると、お頭と呼ばれた男が網を降ろして口を開く。


「こいつはなぁ、俺らの罠に引っかかってたんだよ。せっかく目玉売って来たのに、まぁた闇商人の元に行くはめになりそうだぜ。」


地面の上で、少年は泣いている。

よく見ると足には刀傷があり、血が流れ出ている。


「そこの男、少年を傷つけたのはお前か?」


私が聞くと、お頭は快く答えてくれる。


「あぁ、暴れらんねぇ様にな。それより小娘……。」


「何?」


「お前、こっち側だろ?」


お頭は私の目を見て、迷いなく言い切った。


「それがなんで、こんな弱いガキとつるんでんだ? 身なりと雰囲気で……かなりヤるって俺には分かるぞ。」


……流石はお頭という名だけあるねぇ。

今の私は普通じゃないって、すーぐ分かっちゃうんだ。


「少年、ところで何故ここに来た。」


私は少年に一言聞いた。

勝手に来た挙句お荷物になるには、それ相応の理由がいるんだよ。


「だって……僕と同じ年位の女の子に、一人で行かせるなんて最低だから……。」


ふぅ~ん、なるほどね。


「何勝手に話してんだよ!」


雑魚2匹が話に割って入ってくる。


「お頭の質問に答えゴハァッ!!」


まあ、案の定お頭の鉄拳が下されたがな。

血反吐出してぶっ倒れるなんて、山賊としてみっともないわ。


「まあまあ、落ち着いて頂戴。」


「そうして欲しければ、俺の質問に答えろ。」


なんだろう……ね。

今の私って、一体なんだろう。


「……私はつるんでるつもりは無い。ここに来たのは、あんたらを消すため……かな。」


「仲間になる気は?」


「毛頭無い。」


私とお頭の睨み合いが始まる。

どちらが先に動くのか……。


「ハハッ。」


まずい!!


「ガキが死ぬのを見たくなければ、剣を置いて甲冑を脱げ。後は俺に跪けば、ガキと一緒にシエドーに売ってやるよ。」


「チッ……。」


少年の喉元には、お頭の長刀の切っ先が触れている。

網の中で震えるこいつを見捨てれば、私は逃げきれるに違いない。


「おい、決まったか?」


ええ、勿論よ。


「炎よ、我の周りを焼き尽くせ。」


「ま、待てよ!!」


私の手からは勢い良く炎が出て、周りの木々を燃やし始める。

お頭が驚いた隙に、来る途中で拾った刀の破片を網へと投げると、見事に縄が切れて少年は抜け出せた。


「小娘っ、何をしたのか分かってんのか!?」


ええ、勿論よ。


「さあ、始めましょうか。」


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