スノーの朝
私の朝は早い。
入学式当日はグッスリ寝入ってしまったけれど、普段は夜11時に寝て、朝4時に起きる生活をほぼ毎日だ。
これはレイが『腕を磨く』または『任務』などの事が11~4時の間に行われた事に関係する。
学校に通っていた為、宿題は当然あるし、ジョギングも毎日していた。この二つの事を4~6時の間に済ませ、6~7時まで旅館の手伝い。
朝ごはんを食べたら、7:30分には学校に向かう…こんな生活を10年以上したら、逆に忙しかった時間に寝たくなった。
まあ、レイは夕方に仮眠をとる以外寝なかったし、今の生活の方が早起き出来てとても良い。
なので、起きたら勉強の時間だ。
私は服を着替えて、裏庭へと向かった。
ここで毎日、何年も何年も魔法の勉強をしている。
今日は苦手な炎魔法の練習なので、いつにもまして慎重にやる。
まず、右手の人差し指を一本立てて、そこに全神経を集中させる。
次に体内の魔力が集まってくる感じになったら、今度はどの位の炎を灯したいかイメージして……。
「炎よ、我の指へ灯りを灯せ。」
ボッ
お、成功した!
いや~、初めて成功したよ!
今までは魔力の使用量が分からなくて、失敗続きだったんだけど……。
「これも努力の賜物だー!(小声)」
って、誰もいない芝生の上で一人、テンションを上げてみる。
指に灯す事は出来たから、いつもやっている憑依魔法の練習もしよう。
憑依魔法というのは、武器などに魔法をかけて………簡単に言えば、パワーアップさせる魔法。
傍らに置かれた真剣を手にし、私は魔力に命令する。
「灯された炎よ、我の持つ剣に憑依せよ。」
ボウッ
お、成功した。でも……。
「これは毎日やってるしな~、他に憑依させられる物ないかなぁ。」
炎が纏わりつく真剣を片手でぐるぐる回していたら。
「ス、スノーォォオ!」
お、お父様!?
やばい、私は一人で炎魔法使うの止められているのに。
なんでコッソリやってたのに、今バレちゃったの!?
「こんな事したら危ないだろう! 外を見ようと窓を開けてみたら……何をしているんだ!」
いつもは遅起きなのに、こんな時に限って早起きしないでよ!……なんて言えるわけがなく。
「すみません、だけど……。」
「だけどもなにもない!今日はもう部屋に戻りなさい。」
いつもは温厚な父が、かなり怒っている。
は~、でも仕方ない。
言いつけを破った私が悪いんだから。
私は憑依魔法を解除し、渋々部屋に戻った。
「あの子にだけは、炎魔法を使わせてはならない。繰り返してはならない。」
父は芝生を見ながら、一人で呟いていた。




