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Black material  作者: ミマイカ
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異世界への誘い① 朝

世界は何ともつまらないものか・・・・・

毎日の繰り返し、変わりのない日常。

テレビをつければいつか聞いたことのあるような殺人事件、くだらないスキャンダル、面白くもないバラエティー番組.....

窓を開けても、通勤ラッシュに嫌気がさしたサラリーマンや近所のババぁどもの群がりしか目に入ってこない......


この日常をなんとか変えたいと思っているのはけっして俺だけではないだろう。

いやむしろ全人類の半分以上はそうだろう。

いやそうであってほしい。



新宿駅から歩いて15分ほどの位置にある2階だての4部屋しかない、築40年の年木造アパート。

この4月から数えて2ヶ月半。

東大から自転車で20分という魅力的な立地でありながら、家賃が5万円という破格な値段であったため、俺は不動産の紹介を受けて即決した。



引っ越し当初こそ、初めての一人暮らしに心を躍らせたものだが。

やはりすみ慣れてくると悪いところが目立つ。

なんと言ってもこのボロさがとんでもなく嫌である。

床は軋み、雨が降ればそこら中で雨漏りがするのだ。

トイレと風呂・キッチンは共同だし、部屋の広さも6畳の畳部屋一つととても狭い。


唯一の良い点といえば同じ2階に住む、高校生の美少女が毎日笑顔で挨拶してくれるぐらいだろう。

何故こんなところで、女の子が一人で住んでいるのだろうか考えたが、本人に聞くのも悪いと思い入居してから時が経過した。


俺はしとしとと降る雨をしばらくながめながら、立ち上がり、1階にある共同のトイレに行く。

すると、キッチンで朝ごはんを食べていた先ほどの女子高生が挨拶してきた。




おはようございます橘さん。今日も雨で嫌ですね。


おはよう、新宮さん。そうだな。早く梅雨が明けるといいんだけどな。


本当ですね。私雨は嫌いじゃないんだけど、やっぱり洗濯物が乾きにくいのはどうしても嫌で、、、あ、そうだ今日の朝ご飯も作りすぎちゃったんで食べてくださいね。



彼女は、いつもそう言って、多めにご飯を作ってくれる。

これは本当に助かっていた。

前までおれが住んでいた孤児院では、料理もやはり当番制で小学6年生までの間の週に3日はご飯を作っていたのだが、どうにも下手のようで中学からは担当を外された程だ。


本当にいつも助かるよ。俺料理本当に苦手でさ。新宮さんのご飯プロ級に美味しいし、将来の旦那さんは本当に幸せものだな!


そ、そんな事ないですよ、、、



冗談混じりでそんな事を言うと、彼女は少し顔を赤め、

セミロングの真っ直ぐ伸びた茶色の前髪をクルクルと回して照れた。



何とも可愛らしい女の子だ。俺に時間の余裕があれば、すぐに好きになってしまうだろう。

しかしながら、いかんせん俺には色ボケしてる余裕などなく、やらなければならない事が山ほどある。


一旦トイレに行き出てきたあと、キッチンに置かれた4人がけのテーブルに向かい、彼女の対角線上の椅子に腰をかけた。


そういえばもう7時30分だけど、今日はあの子来ないね。

あの新宮さんの仲の良い女の子。


そうですね、、、昨日夜更かししてたみたいだから寝坊してるのかもしれないです。でも、もうすぐ来ると思うので、準備します。


彼女はそういって立ち上がり、食器を片付けて部屋に着替えに行った。


するとすぐに、玄関から元気な声がする。


まーなーちゃーん!!

迎えにきたよー!

遅くなってごめーん!


はーい!今行くよー

すかさず、まな(新宮さんの名前)がこれまた元気な声で返事をする。


制服に着替えおわり、階段を急いで降りてきたまなだが、

キッチンの前で足を止める。


では、橘さん!今日も行ってきます!

ご飯食べたら、食器を洗面台に置いといてもらえれば大丈夫です!あと、1階の理玖君の部屋の前にご飯置いといてもらっても良いですか?

多分、今日は部屋にいると思うので。


了解!食器は新宮さんに悪いから洗わせて貰うよ!雨だから気をつけて行ってらっしゃい。


彼女は笑顔でぺこりとお辞儀して、パタパタと駆け足ででていく、、、


さて、俺も学校に行くか。

そう呟き、ご飯を食べて食器を洗う。


そして、テーブルに置かれた、残ったもう一つのご飯を一式おぼんに乗せ、ラップをかけて1階の理玖君?の部屋の前にそっと置いた。


1階の住人は、理玖君?という男性?らしいのだが、あったことは一度もない。玄関にある郵便受けには、片桐理玖と記載されているため、住んでいるのは間違いない。

まなはこのアパートに住んで今年で2年目になるので、あったことがあるのだろう。


他人の事に深く入り込むのもどうなのかと思い、忙しい人であんまり家に帰って来れないのかなぐらいに思っていた。


キッチンにもどり壁掛け時計を見ると8時を過ぎていた。

さて、学校に行くか!


部屋に戻って着替え終わり、傘を持って部屋を出て鍵を締める。


玄関でもう一度鍵を閉め、家を後にした、、、



大学の門をぬけ、駐輪場に自転車を止めた後に1限目の講義がある部屋に向かう。

部屋に入ると、真ん中の後ろの方で手を振っている男がいる。

友人のトミーだ。髪の毛は短いが金髪で、首にはネックレスをしている。背も175ぐらいで、ゆるんだ愛嬌のある顔が特徴だ。

本名は富岡了平なのだが、大学に入ってから仲良くなり、言動がチャランポランなところもあってトミーと呼んでいる。



源氏(俺の本名)おはようオッパイ!

今日もお前はカッコいいなー

背も190センチあるし、凛々しいまゆげ、キリッとしたお顔立ちに、女受けの良い黒髪ショート!おまけにいつもいい匂い!オネエさん好きになっちゃうぞ!


誰がオネエさんだ、、、!


トミーの横にすわると、いつも通りの軽口で話かけてくる。


今日はやけに来るのが早いなトミー!授業嫌いのお前がこんなに早く来るなんて、嵐でも来るんじゃないか?


馬鹿にすんなよー!俺だって一応東大生の端くれだぜ!ただ勉強が嫌いだけど、負けず嫌いで本気出せば頭いいわけ!わ、か、る?


はいはい。その軽口がなければね。頭いいアピールお疲れちゃん。


何を〜!!


そんな風に冗談を交えながらトミーと会話し、授業が始まるのを待つ。


始業の10秒前になり、前回の課題を確認していたとき、

ギリギリになってもう一人の友人、島津涼子が息を切らせながら教室に入ってきた!


ギリギリセーフ!


大声で、喜びを噛みしめる涼子に部屋中の生徒がまたか、と息をもらす。


涼子は、そんな周りのそぶりを全く気にすることなく、

俺とトミーの横にあたり前のようにきて座る。


おはよう、トミー、ゲン、相変わらずお二人は早いことで!真面目、真面目!ハハハハ!


声を落とせ!


トミーと俺の声がかぶる。


彼女は、トミーの幼馴染みらしく、トミーの紹介で仲良くなった。赤い髪の毛に肩までかかるポニーテール。身長170センチで少し筋肉質な体型。鼻が高い美人だ。


大人しくしていれば、とてもモテそうなのだが、ガサツで、男勝りな性格が災いして、周りからは少し距離を置かれている。

しかし、本人は全く気にしてないし、色恋沙汰にも一切の興味がないのだろう。

格好も、トレーナーとサルエルパンツの組み合わせで、男受けなど全く狙ってない!

最初こそ、いきなり馴れ馴れしくされ、なんだこいつはと思ったが、一緒にいるうちにその表裏のない性格に清々しさを感じ、最近では好感を持って接しているのだった。




しばらくして教授が講義室に入ってきて、前のスクリーンに資料を映し出す。


やっと授業がはじまるか、、、




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