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(Nooooo!!)ダメ×人×間×コン×テス×ト×V★2  作者: gaction9969
最終章:ダメ息の花だけ束ねた風景
92/176

#092:先攻かっ(あるいは、勝利をつかみとれ!展開遅ー)


<言い忘れましたけど、『DEP』着手する場合は、まず口頭で撃ち放つ相手を宣言してから、『右親指と右小指』を合わせてくださいねっ!! それが、それこそが『着手』の合図……>


 実況ハツマの後付けと見まごうほどの解説がそこで入ったわけだけど、何で後半余韻持たせた? いや、もうその界隈につっこむのはやめだ。無益過ぎる。それよりも今。今なすべきことを粛々とやり切るだけだっての。


 手指の第二関節までを覆う、目に来る鮮やかな黄緑のプロテクターに包まれた左拳を、軽く握って目の高さまで上げる。反対の右腕は力を抜いてだらりと下げておく。左前の半身となって、左脚は軽く膝を曲げて踏み出し気味に。右足は引いて爪先立ち。重心を後ろ目に倒し、これで私の戦闘準備は完了。


 不安定で、右腕やられて上がらないの? と思われそうな、ちぐはぐな構えだが、私にとってはこれがいちばんすんなりハマった。


 右のローを確実に着弾させるための、超攻撃型の構え。もともと備わっていた右蹴りの強度・正確さを、この二週間、カワミナミ軍曹の元で磨きに磨き抜いた。そして、身体が疲れ切っている今だからこそ、余分な力の抜けた、いいやつが放てるかも知れない。


「……」


 対する金髪ツインテ、イブクロは、右足を前に出したサウスポースタイル。右拳はこめかみ辺り、左拳は頬の辺りで、肩の力は抜けているけど、脇はほどよく締まった基本に忠実な、隙の無い構えだ。


 その上目遣いでこちらを見やる表情には、おっさん達にはおお、と思わせる破壊力があると思われるけれど、萌えとか勿論そんなもんのためじゃあなく、顎を引いて弱点をガードする目的なわけで。これもまたオーソドックスながら隙が無いね。


 下半身は膝も柔らかく使えているし、爪先立ちで軽く上下動する中でも、ブレやバランスの悪さは見えない。こりゃ手練れだ。身長は私の目線より下くらいの小ささで、リーチもそれほどとは思うけど、全然侮れない。こなれたフットワークによって余裕でその穴は埋められそうな気がしてならない。


 対するこちらの右ローなんだけど……左利きとは相性悪いのよね。身体の正面が向かって右を向いているから、蹴りの出だしの挙動とか軌道とかを視認されやすいわけで。これが逆だったら相手の左膝、あるいは左膝裏に死角から撃ち込むことがやりやすいのだけれど。


 言うて埒は明かない。格闘が不利でも……「DEP」がある。それも言うて博打だけれども。


 野郎ども(私の中の懲りない面々)には頼らず行くか? 今の私で。今の私だって、放てるもの、あるはずよね。それをブッ込んでから、真っ向格闘勝負へと。それが現時点で採算とれる、最適な手段かも知れない。


「……指名、イブクロ」


 そう思った瞬間、私はもう指名を始めている。何か、適応感が私にしては迅速。大事かつ即決が必要とされる決断を自然にこなせるようになってるわ。何で? いや肚くくったからかも。私はぐいとボクサー構えのイブクロと向き合い、息を吸い込む。トントントーンと更なるBETを行いながら。


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