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(Nooooo!!)ダメ×人×間×コン×テス×ト×V★2  作者: gaction9969
最終章:ダメ息の花だけ束ねた風景
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#084:色彩かっ(あるいは、雨降らむ/水も滴る/小婦人)


 会場の熱気を冷まそうとするかのように、空調を全開にでもしているのだろうか。先ほどから頭上を冷風が結構な強さで吹きすさんでいる。


 身体に受けるその風の感じに、私はふと、6F建てのビルの屋上で、狭間の逡巡をしていたあの夜を思い出す。いや、思い出してしまう、か。


 狂乱の中では忘れることが出来るけど、時折襲ってくる、鳩尾の下らへんを締め付けてくる思考と感情。


 この乱痴気が終わったら、終結したら、私はどうなる? いや、どうする?


 対局の直前に考えるべきことでは無かった。考えてはいけないことだったけど、考えなくちゃあいけないことでもあった。


 今の自分と向き合わせられ、過去の自分たちを意識の表層に浮き上がらせられて、私は私というものを全部呑み込もうとさせられてる、そんな気がする。


 その先に待つ私。それは何だ? 何なんだろう……と、そんな根源的シリアス回想を展開していた私のターンは、粛々と続けられていた実況の柔らかな声によって、やんわりと終結させられた。


 とにかく対局やらなあかんよね。もうこうなったら主にカネのために……っ!!


 その後のことはその後考えるということで。と、視界にゴンドラ状の箱に乗り込んだ人たちの姿が舞台の周囲ぐるりに、せり上がってくるのが見て取れた。


 高所作業車……またえらいもん出してきた。くの字のアームが、じりじり持ち上げている先のゴンドラに乗ってるのはセコンドか。背後を振り返ると、私の所にもゴンドラの縁に軽く手を掛けてこちらを見守るカワミナミ君の姿が。あと、その他2名の姿も。立ち直り早くなったね。


<中央の『五角』およびその周囲の十の『三角』によって形成されるっ! この巨大な『五角形』のフィールドが全て戦いの場となりますっ!!>


 実況ハツマがそう高らかにアナウンスを続けるけど、さっき「バトルロイヤる」とか言ってたよな……つまり10人が入り乱れて戦うとかいう、そんな混沌形式じゃあないよね……フオンフオンと何かが宙を回転しているかのような錯覚が私を襲ってるんだけれど。


<今回、皆様に装着していただくのは、『ニューD:プロテクター』!! 皆様の武器にもなる反面、枷にも成り得るという、諸刃的な特殊スーツですよ!?>


 「ですよ!?」と言われても。と真顔の私を差し置いて、素早く壇上に現れた黒服たちが、対局者各々に二人がかりでその何とかプロテクターを装着させていく。


 やわい質感だ。でも結構な重さを感じる。両肩、両肘、両手首、両膝、両脛、両足首。胸と腹は背中をぐるりと回ってみっちりと。最後にヘッドギア状のものを被せられる。


 予選の時の「アドバンテージ何とか」とは少し違う趣きだ。「武器」であり「枷」……相変わらずいやな予感しかしないけど。


 ていうか色が鮮やかな黄緑なのは何でなん。チラチラ目に来るんだけど。


<プロテクターには……対局者それぞれのイメージカラーを配してみました!>


 その私の内心に応えるかのように、実況ハツマの間のいい説明が。


<……ミズクボ選手には、お名前通りの『若草色』をっ!! 下の黒いスーツによく映えますねっ>


 なるほどねー、春の訪れを感じさせる鮮やかな芽吹きのって……いらんっ!! そんな要素!!



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