#073:選択かっ(あるいは、コラプス無双/瀬戸のプラグマ)
第3ピリオド、ご指名タイム。
<No. 1(島大佐)-No. 9(塗魚)
No.11(衣袋) -No. 3(遊獅子)
No.10(黒戸) -No. 2(千木良草)
No.14(阿菰出)-No. 7(鎌田)
No.15(志木) -No. 6(木佐)
No.16(水窪)………… >
と、予想外なことに、私に「指名権」が回ってきた。最悪、抜け番を覚悟していた私にとっては、ラッキーとも思える。
が、そう言い切れるものかは、前述の通り全くの不明なのだけれど、初めて自分がこの決勝第一戦に介入できた気がして、それはそれでちょっと嬉しい。
いや喜んでいる場合じゃない。指名だ指名。
No.8「天馬屋 仙子」か、No.13「里無 仁実」の二択。
センコ残ってんじゃん。女とは思えないほどの力士オーラ全開の彼女とは、予選で相まみえ、そして「格闘」で私(正確には姐やん)が敗北している。
ただ前も言ったかもだけど、ダメ勝負は苦手みたいで、予選でもカリヤだかダテミかがDEPパートで勝ったとか言ってた。
であれば、センコを指名? 私のちょうど真正面で神妙な顔つきで窮屈そうに身をこごめている巨体を見やる。何か、「元老」ということを表明して以来、予選までの気迫が感じられてこないけど。やる気なさそうなら、尚更指名すべきなのでは。
しかししかし、「今後」の事も考慮するとなるとどうだろう。
今や、塗魚率いる「造反組」が優位に立っているのは間違いない。
例えばこのまま押して押して、「造反組」が6人がとこ、勝ち上がってしまったら……?
「第一戦」を突破できるのは「8名」。仮に私が残れたとしても、残り1名、おそらくは島大佐、みたいな展開になろう。
不利じゃね? 数で圧倒されるのは正直、不気味だ。うーん、じゃあ少しは「造反」の奴らの頭数を減らしておいたほうがいいのかも。
煮え切らない思考のままの私に、実況が早くしろと急かしてくる。ええい、もう考えるな! やりやすい相手を後に残す! ということは、
<No.16(水窪) -No.13(里無)
※No.8(天馬屋)……抜け番 >
と相成った。よし、とにかくやったる。私は偵察がてら、右斜め前方の「里無」とやらの姿を見やるけど。
「……」
あっるぇ~、特徴薄い……黒のストレートは顔の半分くらいを覆っていて、その黒いすだれみたいな物から垣間見える顔貌も表情も何か普通。細身の体はやや猫背気味で搭乗する装置にも何かただ「乗っかっているだけ」みたいな妙な浮遊感を感じさせるのだけれど。
いやしかし、この手の輩の方が実は手ごわいというのは、このダメ関連においては大いにあり得るわけで。私に覚醒アイテムを届けてくれた「室戸少年」も、全体的に淡い感じだったけれど、「レジェンド」とか言われてて、畏怖というか恐怖されていたわけで、この「里無」もまったくもって油断はならなさそう。
ま、どの道やるしかないわ。やったる!