#072:根底かっ(あるいは、十六夜トゥルーベイベー)
で、もって、他の進行はどうなると考えられるだろう?
大佐VS塗魚の直接頂点対決があって、残る「8700万」持ちの衣袋っていう「No.11」が、上位の所持金低い方から狙い撃ちしたと仮定すると、これがこうして、こう。こうなってこれが……あれあれあれ? おかしいですね。これとこれとがこうで……こう。
ひゃー。そうすると私は「抜け番」になることになる。ええー、そこまで蚊帳の外なん~、と私は白目でのけぞりかけるものの、
いや、相性はわからんから、逆に所持金ある方から叩いていったらどうなる? と再度シミュレーションを頭の中で構築していく。
そうすると、この私に最後の「指名権」が渡ってくる算段となる。可能性のある四人の中からの三択、みたいなことになるけど、その中にセンコが残ってる可能性は割と低そう。
よって指名権があろうが無かろうが、あまり関係のないことが分かってきた。
もとより戦略なんて無かったし、持ち金が少し増えたくらいでそんな「うまく勝とう」みたいに色気出してる場合じゃなかったわ。
全力。私のスタンスは変わらない。変わるのは……私の中の「私たち」だけだっつうの。
<第3ピリオドっ!! BET願います!!>
実況の合図と共に、私は全財産「5100」を躊躇せずにスロットに滑り込ませる。そうだこいつはたかだかの目盛り。元より負けたら即終わりの気概でやって来たわけじゃないの。自分に勢いをつけるためにもここは全額張り。それ以外の選択肢は、おそらく全部エセだと思うから。
総勢13名のBETが完了したことが、電光掲示板に踊る文字で告げられる。どう出る? 双陣営っ!?
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01:8800:一
02:3600
03:3600
06: 900:
07: 900
08:3500
09: 100:
10:5800:三
11:8700:二
13:1100
14:5800:四
15:5800:五
16:5100:六
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おっとぉ~予想外。私にぎりぎり指名権。ま、「六番目」なんでそれより上位から指名もらったらそれまでなのだけど。でも現在の指名権持ちは大佐と私除いて全員が「下位組」だ。こいつらが「上位組」を狙い撃ちするのならば、私にも選択権が回ってくるやも知れない。
「……」
「……」
いや、そんないい悪い分からないことよりも、両陣営のトップの賭け金だ。
大佐が「8800」に対して、塗魚が「100」。
自分を指名してくることを見越しての、ミニマムBET……それは完全なる挑発、おちょくりであるわけであって。
一直線上で睨み合う二人の間に、濃密な空気がどんどんその圧を高めているように、私には見えた。
こら穏便に収まる気配は毛ほども無いね……願わくばその影に隠れての、ちゃっかり生き残りを目指したいけど、私は。