#070:既視かっ(あるいは、踊る!マハーラーニーTOKYO)
「バンジャビキぃぃぃぃぃぃマァァァァァァッッッ!!」
諸々あったけど第2ピリオドは<先手:14,652ボルティックブースト>にて終局した。
「……い、「10,000ボルティック」超級! き、棄権を推奨しますっ、印南選手っ!!」
切羽詰まった感のある実況ハツマの忠告も聞かず、
「落ち着くんだ……20までの掛け算を唱えて落ち着くんだ……」
ぶつぶつと何事かをつぶやいている内に、印南は相当きつめの折檻電流に貫かれ、冒頭のちょっと形容しにくい叫び声を上げて、果てた。
のけぞったその身体は、そのままハンドルと一体化したディスプレイに覆いかぶさると、次の瞬間、レールの上を搭乗装置ごと流れ始める。
それから先は知鍬と同じ展開となったので割愛するが、この「勝ちを拾った感」に、私は正直事態を飲み込めないままでいた。
「レジェンド……」
「前元老の手筋……」
そんな畏怖が込められた呟きが、観客席から降り落ちて来るけど、意味は分からない。ラッキーはラッキーと、そう思わざるは得ないけど。
とにかく、しのいだ、しのげた。我が「ジェネレーション六期衆」最弱と思われていた「24歳」で、勝利を収めることが出来たのはでかいんじゃないの? とか思ってみたりする。けど、何かまた体の方がだる重くなり、頭の中も反動からか、ぐちゃぐちゃにとっ散らかった状態のまま、何というか思考の焦点が合わない感じで、私は装置に跨ったまま、両足を下ろして立ち尽くしていることしか出来ない。
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01:13500:島=ワシントン大佐
02: 5700:千木良草 紆余
03: 5700:遊獅子 我飛兎
04:XXXXX:知鍬 環奈→失格
05:X3500:印南 楓→失格
06: 900:木佐 和佳
07: 900:鎌田 珠歌
08: 3500:天馬屋 仙子
09: 8700:塗魚 ミカ
10: 6100:黒戸 美咲
11: 8700:衣袋 音子
12:XXXX0:胡来 小狐→失格
13: 1100:里無 仁実
14: 6100:阿菰出 紫音
15: 6100:志木 寧奈
16: 5100:水窪 若草
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ディスプレイに示された現況に、観客からはどよめきが。かなりの動きがあったようだ。
塗魚率いる「下位造反組」がほぼほぼ勝っている……ひとり抜け番で、もうひとり除いての5人が「上位」に勝利している。
上位で勝利したのは、島大佐のみ。それは流石なんだけれど、その表情は非常に硬い。硬いというか、私のすぐ隣で、真正面の塗魚を射殺そうとせんばかりの眼力を発している。
そして、むうう、印南の他にも一名失格になっていたようで、残り13名で第3ピリオドは争われる模様となりそう。
て言うかどうなる? 今後の流れ。