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(Nooooo!!)ダメ×人×間×コン×テス×ト×V★2  作者: gaction9969
最終章:ダメ息の花だけ束ねた風景
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#056:久方かっ(あるいは、ノロシー、狼煙をあげるのです。(誰?)

 ふっ、と意識が戻ってきた。何だろう、二週間くらい気絶していたかのような感覚が大脳を覆っているけど。遮断されていた歓声やら四方から遠慮なく照らしてくるライトの熱さなんかが知覚されてくる。


 夢を見ていた。この二週間に起きた諸々を辿る走馬燈のような夢を。何だろう、ひどく苦しんでいた感もあるのだけれど。何というか産みの苦しみ? いや産んだことないけどね。でも時間にしたら二秒くらいのことだったらしい。主催者ハツマの説明はまだ続いている。


<対局形式は、16名全員参加の、バトルロイヤル! まずは提示された『お題』に対し、全員がBETします。最も高い『賭け金』を提示した選手から、自分と一対一で対局する相手を『指名』することが出来る……そしてその供託された『賭け金』を巡って、『DEP』バトルを行っていただきます! そして『評価ポイント』が上回った選手が『賭け金』を総取りと。非常に分かりやすいルールになっておりますっ>


 なるほど持ち金が物を言うと。まずいやん。説明を続けるハツマの後ろの大画面をぱっと見るけど、上位4名は「9600万」。そこから8人も「4800万」が続いた挙句、「2400万」3人のようやくその後に、私を示す「16番:1200万」の文字がやっぱり明滅しているのだけれど。最大8倍差……金に物を言わされたら何も出来ずに封殺されてしまう展開も充分ありうる差異感だ。どうする? 私。


<対局フィールドっ、オープンっ!!>


 全くもって脳が回ってない感の私を置き去りに、場は遂に戦いの様相を見せるのであった……そんな改まるほどのことでもないけど。いやとにかく頭を回していかないと、取り残される気がしてきた。


えーとえーと、今までの説明から、初っ端の対局は絶対に落とせないことが分かった。そこが最下位の私にはいちばんの難所だ。逆に言えばそこさえ乗り切れば、対等くらいにはのし上がれるんじゃないの?


 と、会場内にけたたましい金属音が鳴り響く。「スタジアム」を模した会場の外野側の水色のフェンスが、凄まじい勢いで、引き戸のように左右に割れていった。そのぱっくり割れた黒い空間から、底部に付けられた車輪で自走しながら、軽い地響きを発生させつつ、巨大な「装置」が姿を現す。


「……!!」


 何だろう、鉄骨っぽい材質で出来た、クレーンのようなものが左右に展開している。幅は15mくらいはあるだろうか。逆に高さは私の身長くらい、と平べったい構造をしている。


 場の何とも言えない「何これ」感を払拭するが如く、ハツマはそつなくその「対局フィールド」とやらの説明を始めるのであった。ぬうう、やはり只者ではない。


<こちらが『対局フィールド』を真上よりご覧になった図となります! 『正十六角形』の中心部から、十六方向へと! 『脚場あしば』が展開されていることが分かるかと思います!>


 大画面が切り替わり、ほぼ円形に近い中心から、放射線状に16本くらいの細長い長方形が張り出しているのが見て取れる。


<対局者は各々、このレール上の『サークリック=ハーフナーパイプ』に搭乗していただきます>


 小さなウインドウが開くと、そこには縦長の楕円形の枠のようなものに囲われた、簡素な座席シートの図があった。「枠」は上下で十字に交差していて、シートをカプセルのように、籠のように覆っている。これに……座るってことよね。何となくの嫌な予感を内包しながらも、私はハツマの説明を逃すまいと集中を高める。


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